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異世界でのセカンドライフ  作者: サイン
第八章
201/227

秘境の異変

 結局ミーアを説得出来なかった。今日はもう遅いと言う事でミーアは二人に部屋を用意してくれ、帰るのなら明日にする事を進めてくれた。


「この辺りの夜は物騒ですから」


 そう言い彼女は夕食の用意をするために部屋を出て行った。


「エルフェリアさん何とかミーアさんを説得できないでしょうか?」


「中々難しいと思います。彼女が興味を示せば簡単なのですが、ミーアさんが興味を示すものが分かりません」


 二人がそんな話をしていると外から爆音が聞こえてきて、それを聞いた二人は慌てて窓から外を見ると、外では炎を纏ったミーアが数匹の魔獣と戦っており、どの魔獣も見知ったものだったが体が大きかったり、体の一部が異様に発達していたりと微妙な変化が見られた。


鎧蜥蜴(アーマーリザード)緑大蛇(グリーンスネーク)巨大蝙蝠(ジャイアントバット)どれも見た事ある魔獣ですけど少し見知ったものとは違いますね」


 鎧蜥蜴は名前の通りに鎧の様な鉄の鱗をもった魔獣だが、目の前の鎧蜥蜴の鱗は黒みがかった青色をしていて、緑大蛇は緑の大きな蛇の魔獣なのだが、本来は大きくても二メートル弱くらいの大きさの魔獣だが目の前の緑大蛇はその倍の四メートルほどの大きさをしており、最後に巨大蝙蝠は一メートルくらいの蝙蝠で大きさと凶暴さ以外は他の蝙蝠と大差ないが、目の前の巨大蝙蝠は本来は持たない大きな二本の牙が生えていた。


「これもこの地帯特有の進化をした魔獣なんでしょうか?」


「多分そうだと思います。この辺りは私もあまり着た事ないので詳しくは知りませんが、生態系自体も変化してる様ですね」


 此処に来るときに出会った黒狼と目の前にいる鎧蜥蜴、緑大蛇、巨大蝙蝠は本来全く環境の違う所に住んでいる魔獣で、黒狼なら森の浅い地域に生息しており、鎧蜥蜴、緑大蛇、巨大蝙蝠は洞窟の様な暗いく湿気が多い場所に住んでいる傾向がある。


「ミーアさんなら一人でも大丈夫だと思いますけど、お世話になってるので手伝いに行きたいのですけど」


「わかりました」


 二人は行儀は悪いが窓から飛び出し魔獣の方に駆けて行く。




 三体の魔獣を相手に宙を駆けるミーアは、ため息をはきながら炎の槍を作り出し放つ、しかし狙った緑大蛇は難なく回避をする。


「今日は妙に魔獣が来ますね。悠魔君たちが来たのでその魔力に引き寄せられたんでしょうか?」


 いつもは襲撃に遭ったとしても一匹程度だが、今日は少々多いと思った。そんな事を考えてると背後から巨大蝙蝠が魔力の超音波を放つ、本来なら五感を狂わす程度の威力だが、この辺りの巨大蝙蝠の魔力超音波は受ければ鼓膜くらいは簡単に破壊する程度の威力がある。


「これは当たりますね」


 仕方ないとこの後の事を考えるがそれは無駄に終わる。


「火拳!」


 ミーアと同じ炎を纏った悠魔の拳が巨大蝙蝠を撃ち落とす。


「悠魔君」


「すいません遅くなりました手伝います」


「別に大丈夫ですよこのくらいなら、まぁ手伝ってくれるのならお願いします」


 面倒だが一人でも倒せない相手でもないが、手伝ってくれるのなら楽に片付くと思い、こちらに走って来た鎧蜥蜴目掛けて作り出した炎の槍を投擲する。


 エルフェリアは緑大蛇に幾つもの闇の槍(ダークスピア)を放つが、蛇の独特の地面を這うような動きに上手く当てる事が出来ず回避をされてしまう。


「面倒ですね……でしたら」


 再び闇の槍(ダークスピア)の魔法陣を展開する。それと同時に別の魔法も発動させ、先にそちらの魔法を放つ。


悪魔の植物(デビルプラント)


 地面から黒みがかった緑色の茨が生え出して緑大蛇を拘束する。動けなくなった大蛇の頭部に留めと言わんばかりに闇の槍を放ち頭部を破壊する。


「体が大きいだけでしたらそれほど面倒ではないですね」


 エルフェリアは残りの魔獣の方に視線を送ると、そちらもちょうど決着がつく瞬間だった。


 大量の炎の短剣を作り出したミーアは巨大蝙蝠目掛けて放つ、短剣は回転し円盤のように飛び巨大蝙蝠の翼を切り裂く、ボロボロになった羽では飛べなくなり巨大蝙蝠は落下する。ミーアは起き上がろうとする巨大蝙蝠目掛け残っていた炎の短剣を放つ、今度は螺旋回転をする数本の炎の短剣が巨大蝙蝠の全身を貫き絶命させる。


 最後の鎧蜥蜴は悠魔の炎をその鎧の様な鱗で弾く、炎弾も炎を纏った拳も炎の剣も効果がなくエルフェリアとミーアは助けに入ろうとした瞬間悠魔の両腕から炎が噴き出す。そのまま鎧蜥蜴の周辺を螺旋状に高速飛行すると炎の竜巻が発生し鎧蜥蜴の全身を包み込む。


 悠魔は炎の竜巻から距離を取り少しして炎の竜巻は収まると、そこには鎧蜥蜴の死体だけがあった。


「悪くない戦法ですね」


「エルフェリアさん。はい僕の炎じゃあの鱗をどうしても貫けませんから熱で焼きました」


 ミーアは焼け死んだ鎧蜥蜴を傍で見て少し考えこむ様な仕草をする。


「どうかしました?」


「……妙ですね」


「妙ですか?」


「はい、初めは悠魔君と知識の魔女さんの魔力に釣られてやって来たのだと思ったのでですけど……これほど変異した魔獣が居るのは変ですね」


「そう言えば僕達が此処に来るときも一匹変異した黒狼に襲われましよね、エルフェリアさん」


「はい襲われました」


「四匹は出過ぎですね」


「つかぬ事を聞きますがミーアさんこの様な魔獣はこの辺りに多く生息してるのではないのですか?」


「そのような事はありませんよ知識の魔女さん……これほど変化した魔獣は月に一、二回遭遇すればいい方です。大抵襲撃に魔獣は精々大型種くらいですから……この様な数が襲ってくるのは初めてです」


「僕達が来たからでしょうか?」


「初めは私もそう思ったんですけど……なんだかいつもの魔獣と違って何かに怯えていたような感じがします。このくらいの魔獣が怯える相手ですか……んーもしかしたら起源龍の影響がこの辺りにもあるのかもしれませんね」


 長くこの地に住むミーアも今日の様な事は初めてで彼女が興味を示す内容だった。だからと言って悠魔達に協力するつもりはないようだった。

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