魔女の帰還、悠魔激怒!でも魔女は嬉しそう(このタイトルネタバレ?)
レイラはあれ以来フェレクスと上手く行ってるのかちょくちょく夕食を共にしたりしていてこれは婚約するんじゃないかとパーティ内で話していて、レイラに皆フェレクスと婚約するのか中々聞けなくて日数だけが過ぎて行きある昼過ぎギルドでついにナナがレイラに婚約の話を振ると。
「うにゃ!婚約! ちょっと何処からそんな話になったの!?」
「だ、だってレイラちゃんよく夕食行ってるし何だか上手く行ってる雰囲気だったから……」
驚くレイラに詰め寄られナナが後ずさりながら最近のレイラの行動を説明していたが最後の方はだんだん声が小さくなり最終的には聞こえなくなってしまった。
「違うのか?」
「違うよ! もう何処からそんな話が!?」
うがぁーと怒るレイラに対して皆サッと目を逸らしてとても今のレイラにはフェレクスとの食事を覗き見した事は言えなかった。
「確かに夕食は偶に行ってるけど婚約の話は断ったよ、あたしも今は皆と冒険したいしフェレクス様にもその話をしたら残念そうな顔をして、分かった無理強いはよくないて、言ってくれたし」
「でも、よく夕食行ってるよね」
「今のままじゃあたし自身フェレクス様の事をよく知らないし評判はいいしでも、評判だけで判断するのもどうかと思うしあたしの事も、多分よく知らないと思うよ殆ど一目惚れみたいだったしねそれに、さっきも言ったと思うけど、あたしは皆とまだ冒険したいからね、だから今は婚約しない」
「れ、レイラちゃぁぁぁん!」
「うゃ! ナナっち!?」
その話を聞いて号泣したナナがレイラに飛び付き抱き着いてその勢いでレイラは姿勢を崩して倒れ込んでしまった。
「何と言うか貴族にたいしてすごい上から目線の断り方ですね」
「確かに」
「あぁぁ、俺も貴族のお嬢さんに婚約とか迫られたいな」
「無理だろ」
「無理ですね」
クラウが寝ぼけた事を言い出したので悠魔とクラウがそれを即座に切り捨てクラウが「わかってるよ!」と言い椅子に座り込んだ。レイラは抱き着くナナを必死に引き剥がそうとしているのを見て悠魔とクラウはやれやれと首を振り椅子に座るとギルドの係員に話しかけられ悠魔に会いたいと言う人がいると言われ来て欲しいと言われた。
この時クラウは何か前もこんな事があったようなと思い係員について行く悠魔を見送った。係員に連れられ受付まで行くとそこで悠魔はとんでもない物を見るような目をして受付にいた女性を見た。
「やぁ、久しぶりだね……どうしたんだい化け物を見るような目をして……まぁ僕は魔女だから人間ではないけどね」
受付にいたのは一ヶ月ほど前に出会い魔法を教えてもらい少しの時間だが食事や冒険をして聖剣、ジェンガとの戦いで死の谷に落ちた魔女のアリスだった。悠魔自身もう彼女に会えないと思っていて死んでしまったと思った時は一時期精神的に病んでしまうほど大きな存在でそんな彼女がこうして再び元気な姿をして悠魔の前に立っていたので悠魔は言葉も出ずに立ちすくみある感情が芽生えだして歩き出した。
「おや、これは感動の再開とか言うやつかな?」
「…………生きてたんなら連絡の一つでもしてください!」
「っぅぅぅぅ!」
悠魔がアリスの目の前で立ち止まりアリスのおでこ目掛けて勢いよく頭突きを繰り出しアリスはその痛みでその場に蹲ってしまった。辺りにいた人は悠魔の声とその頭突きの音でビックリして二人を注目するが悠魔はそんな視線を気にせずに痛みで蹲るアリスの胸倉を掴み引っ張り上げるとアリスは涙目になりながちょっと待ってくれと言うが悠魔はそんな事を聞かずに声を張り上げ言いたい事を言い出した。
「いつ帰って来たんですか!?」
「えっと十日ほど前に……」
ばつの悪そうな顔をして悠魔から視線を逸らし結構前に王都に帰って来ていた事を伝えたアリスは力無くハハハと乾いた笑いをして何とかこの場を逃げようとするが悠魔冷たい声で「それなら一言連絡ぐらい入れられますよね!?」と言いアリスは笑うのをやめ焦ったように「話を聞いてくれ」と言い何とか悠魔をなだめた。
係員に此処では他のお客様の迷惑になると言い個室に案内された。騒ぎを聞きつけ駆けつけたリウス達も一緒について行き個室に入ると悠魔は再び話してくださいとアリスと向かい合った。
「……まずは僕が生きていた経緯だがあの谷の下は川になっていてね落ち方がよかったのか、崖をすべる様に落ちたせいで勢いが殺されてね即死は何とか免れてね、そのまま川に流され下流に住んでいた人に助けられて一命を取り留めたんだ、その後傷を癒した後どうしようか考えてると……君の事が心残りだったもんでね王都に戻って来たんだ」
「そうですか、それで何で十日も連絡をくれなかったんですか?王都にいたんでしょ……と言うか何処にいたんですか?」
「ああ、王宮にね僕の事はこの国ではばれてるからね王都の近くで魔力を放ってそれにつられて出て来た聖剣に話を付けたんだよ……それでこの国の国王と幾つか取引をしてエストア王国内での行動を許可してもらったんだよ…………少々高くついたけどね」
「……王宮にいたのなら尚更連絡できましたよね」
「うぐ、そうなんだが……その……何と言うか…………か……た……ん……」
「はい、聞こえなかったんですが?」
「っ! ……は……か……っ……だ」
「ん?」
「ああああ! もう、恥ずかしかったんだよ! 悪いか僕だってこんな気持ちは千年ぶりくらいなん
だ……確かに帰って来てたのに連絡をしなかったのは僕が悪いだけど! 流石に後ろから刺した人間に会うのには勇気がいるんだ! ……はぁ……はぁ……はぁ」
悠魔の反応にアリスは声を張り上げて胸の内に秘めていた思いをぶちまけた、その話を聞いて悠魔はポカーンとなりこの人でもそんな事を思うのだと少々失礼なことを考えてしまいその考えを読んだのかアリスが何か失礼なことを考えてないかと目線で訴えて来たが悠魔はそれを無視して話を再開した。
「ハァ~……まぁもういいです無事に帰って来てくれたので刺された事も許しますし……全く……」
「悠魔?」
悠魔は俯きぽたぽたと涙を流し始めて声を押し殺して泣き始めた。
「ちょっ……悠魔!すまない僕が悪かったから泣かないでくれ!」
アリスが慌てて泣く悠魔を宥めるが悠魔の涙は止まらずにアリスはどうしていいのか分からなくなり右往左往して、何とか泣き止まそうと説得をするが悠魔は泣き止まずに困って室内にいた悠魔のパーティーメンバーに助ける様に目を向けた。
「何と言うか今回は悠魔自身かなり気に病んでいた見たいですから好きなだけ泣かせてやってください」
「そうか……」
アリスはそっと声を押し殺して泣き続ける悠魔を抱き寄せた。それを見届けた皆はそっと音を立てずに部屋を出て行った。
「何と言うかよかったのかなこれで」
「いいんじゃないのこれで悠魔君元気になるでしょ」
「そうだねここ最近空元気だったし」
「うん……そうよね」
「あれ~ナナっち元気ない」
「まさかまさかナナちゃん、悠魔君にぃ!」
「ち、違うわよ!」
「まだ何も言ってないけどね」
にやにやいやらしく笑うクラウにナナが杖を向けると慌ててクラウがごめんなさいと頭を下げからかった事を謝りそれを聞いたナナはため息をつき杖を下ろした。
「悠魔君さっき泣いてたでしょ?」
「それがどうかしたか?」
「悲しい時くらい声を出して泣いたらいいのにと思って……あの子自制心が強いのか弱いのか分からないわね」
部屋の外で皆が悠魔について話していると部屋の中から大きな悠魔の声が聞こえて来て皆驚いてしまい慌ててドアを開けて入るとそこには、何故か取っ組み合いをしている二人がいた。
「どうしたの?」
「皆さんからもこの分からず屋の魔女に言ってやってください!」
「君達からも言ってやれこの馬鹿に!」
その光景を見た四人はさっきまでいい雰囲気だったのに何があったんだと思いながら取り合えずこのまま騒げば今度こそギルドか追い出されかねないので二人を説得してギルドを後にして悠魔の泊まってる宿屋の悠魔の部屋に集まった。
「それで、どうしてこんな事になった」
リウスがこめかみを抑えながら二人に質問すると二人は「「こいつが悪い!」」と言いお互いを指さしたそれを見てリウスが「訳が分からんと」と言いため息をはき説明を促した。そうすると悠魔は皆が部屋を出て行った後の事を説明をし始めた。
「落ち着いたかい」
「はい」
アリスが優しく悠魔を諭すと泣きはらした目を擦りスッキリした表情をしてその様子を見たアリスは微笑み悠魔の頭に手を置き撫でると悠魔は不満そうな顔をして「子供扱いしないでくださいと」そっぽを向いたそんな悠魔を見てアリスはハッハッハッと笑い手を退けた。悠魔はアリスの腕を見て疑問に思いある事を聞いた。
「そう言えばその腕」
「ああ、これかい?」
アリスが着けていた手袋を外すとそこには木製で出来た関節のむき出しの義手がついていて悠魔はそれを見ると罪悪感が出て来たのか暗い顔をしてしまいそんな悠魔を見たアリスは、気にする事じゃないと首を振り手袋を付け直し再び悠魔を見ると。
「こうなったのは、すべて僕の責任だ……多少不便ではあるがまぁ、仕方ないよ」
「治しましょう最後の一本ですけど……これを使えば治せます」
「何?」
悠魔がローブの中からエリクサーを取り出しアリスに見せた明確な薬品名は避けたが人体の損傷を治す事が出来ると伝え渡そうとするがアリスは首を振り薬を受け取らなかった。
「何故ですか?」
「さっきも言っただろこうなったのは僕の責任だ……それにその薬はもしもの時の為にとっておいた方がいい、僕なんかの為に使う必要はないよ」
「腕を失う事になったのは僕を助けるためです、なら!」
「そうなる原因を作ったのは、今までの僕の行動が原因だ!…………それに君を傷つけた腕なんていらないんだよ」
「アリスさん……」
「分かってもらえたないい」
「いいからこの薬飲んでください」
悠魔が瓶の蓋を開けアリスに飲ませようとするがアリスが抵抗して飲もうとしないで取っ組み合いになりそうなった所で皆が入って来たのだった。
「「……」」
「どうしたんですか皆さん?」
「まぁ何と言うか……最早ただの痴話喧嘩だな」
「右に同じく」
「えっとアリスさんの言い分も分かるんだけど」
「あたし的には悠魔っちの気持ちも分かるんだよね」
四人とも心底呆れた顔をして、ため息をはきリウスはどうしたものかと言う顔をして二人を見比べしばらく考えて一つの結論に出た。
「悠魔まぁそんなに急いで彼女の腕を治す必要はないんじゃないのか?」
「治せるなら治した方が良いですよ、不便ですし……それに」
「気持ちは分かるだけど腕を失った原因は彼女自身にもあるんだから……そうだな、彼女自身が自分で治していいと思うまでは待ってやれないか?」
「…………わかりました」
「うん、君は中々良い事を言うね」
「えっと、魔女さんも、もう一度悠魔と話し込んでください……悠魔自身貴方の事で結構気に病んでいましたんで貴方も悠魔には笑顔で居てほしいでしょ?」
「うっ、わかった」
痛い所をつかれたのかドヤ顔をしていたアリスがばつの悪そうな顔をして俯いてしまった。その後日が暮れてしまい皆疲れたと言う顔をして宿屋を出て行くとアリスだけが残り悠魔が帰らないんですか?と言う疑問を投げかけるとアリスが不思議な顔をして「此処にいたらいけないのかい?」と可愛らしく首を傾げた。
「いいわけないでしょ!此処は一人部屋でベットが一つしかないんですよ!?」
「ん~無理をすれば二人くらい寝れるだろ」
「馬鹿ですか貴方と言うか今まではどうしてたんですか?」
「ああ、王宮で世話になっていたからね」
「なら、王宮に帰ったらどうですか!?」
アリスは何を言ってるんだこの子はと再び首を傾げて「もうやる事はやったしあそこに戻る必要はないだろ」と言い首を左右に振った。
「そもそも僕は君の所に戻って来たんだから王宮でこれ以上働く必要ないしね」
「……そう言えば前は何処で寝泊まりしてたんですか?そこに戻ればどうですか?」
「何を言っているんだ君は、魔女教団のいきのかかった宿屋になんか戻れるわけないだろそもそも、この国で活動するために知っている魔女教団の情報を洗いざらいぶちまけちゃったから今頃裏切者扱いだねハッハッハッ!」
「…………」
いや、それって笑ってる場合じゃないんじゃと悠魔は思いそんな悠魔の心情を察したのかアリスは。
「ああ、安心してくれ純粋な戦闘能力なら僕は教団一だからまとめて返り討ちにしてあげるよ」
「初めて会った時は気のせいかと思いましたが、今確信しました貴方は、頭おかしいです!」
「ハッハッハッ!君は、何を言ってるんだ魔女なんて皆頭のネジが一本、二本抜けた頭のおかしい奴しかいないよ!」
悠魔は陽気に笑うアリスを見て頭痛を覚え頭を押さえてこの人、前は猫を被ってたんだなと思い仕方ないのでカナ色々詮索されて一人部屋から二人部屋に替えてもらい移動した。アリスは一緒のベットでもよかったのにとぼやいていたが全て無視をして話をつけた。だが悠魔には今のアリスはとても楽しそうに見えた。




