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異世界でのセカンドライフ  作者: サイン
第七章
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頭を悩ます悠魔

 悠魔の屋敷の大広間には大勢の人が集まっていた。悠魔自身人が集まるのは嫌ではなく、皆でご飯を食べたり遊んだりするのは好きだが、しかし残念な事に今集まってるメンバーは今すぐ帰って欲しいと思っていた。


 それぞれが大きなテーブルにつき、まずはエストア王国の王クランド、その後ろの壁際に立つ聖剣ジェンガ、王宮魔導士のルチアがおり、クランドの隣に座るのは千変の魔王リボーズ、その後ろの壁際に国王の補佐

クリル、さらにリボーズの正面にはダイヤス帝国皇女のサリア、その後ろの壁際に王宮魔工技師のマクスと白い布で顔を隠した二人組、どちらも女性の様な体系をしている。


 そしてサリアの隣に座るのは蒼海の魔王ユミナ、その後ろの壁際に彼女の側近の半魚人のミアハとヤギの獣人でユミナの友人のミルク、さらにユミナの隣に座るのは、今日初めて出会った少女のシルヴェスト・ジルフ・フォルスティア一見少年にも見える外見の少女で肩に触れるか触れないくらいの所で切りそろえられた髪型で、身長が低く童女だがその正体はフォルスティア王国の王女で、その王女の後ろの壁際にフォルスティア王国騎士団長のエドナが立っており、このメンバーの集まりに頭を悩ます悠魔だった。


 遡る事数時間前悠魔を訪ねてサリアがやって来た。


 どうやら起源龍討伐の作戦が大失敗に終わり、その後話を聞いたサリアは悠魔の事を心配していた。


「無事だと聞いてましたけど、やっぱり直接お会いして安心しました」


「かなり危なかったですけど何とか生き抜きました」


「本当に無事に帰って来てくれてよかったです」


 サリアは涙を浮かべる。彼女が屋敷を訪ねてきた時は、悠魔と対面した時は立場も忘れて彼女は涙を流しながら悠魔に抱き着き、サリアが落ち着き解放されるまで数十分の時間がかかった。




 テーブルにつきサリアは恥ずかしそうに俯いている。


「先ほどはお見苦しい所を見せて申し訳ありません……」


「いえ、大丈夫です。そう言えば何故エストアに?」


「エストア王との今後の話し合いがありまして、私だけではなく現状起源龍を討伐の同盟を結んでいる国の王たちは皆さん呼ばれてます。私は少し時間があったので此処に足を運ばしてもらいました」


「これからどうなるんでしょうね……」


「わかりませんそれを今から話し合ってきますから……そう言えばアリスさんは無事でしょうか? 大きな怪我をしたと聞いたのですが……」


「はい、あの人断固としてエリクサーを飲みませんし、あれ程の傷をポーション類で無理矢理治すのは体に負担掛かりますから」


 実を言うとエリクサーは一本だけ悠魔は持ってる。アリスに昔腕を治す様に渡したものだが、今回の事で有効活用しろと突き返された。


「どうしてアリスさんはエリクサーを飲まないのでしょうか? 傷もそうですけど彼女の片腕って義手ですよね。治せるなら治した方がいいと思うのですけど……」


「えっと……」


 これは勝手に言っていいのか迷う、アリスが腕を治さないのはその腕が悠魔を傷つけた腕だからで、そんな腕はいらないと切り捨ててしまっている。


 無論悠魔はそのような事をしてほしくないし、無論悠魔も傷つけられた事など気にもしてない、彼女なりに悠魔を守ろうとした結果あのような事になった。


「……その事は僕もあまり強くは言えないので」


「?」


 不思議そうにサリアは首を傾ける。悠魔の脇腹にはアリスが付けた傷跡が今も残っており魔法で傷跡は簡単に消せるが今だに消してない。


 傷は塞がってるせいかエリクサーを飲んで消えなかった。確認した時悠魔は安堵したが、同時に自身の気持ち関係なく消えてしまった方が良かったのかもしれないと思っている。


「……僕のは戒めのつもりですけどて……案外同じなのかもしれません」


 独り言のように呟く悠魔をサリアは不思議そうに眺める。


「何でもないです。申し訳ないですけど僕の口から語っていい事か分からないので本人にでも聞いてください」


 どうやら軽々と触れてはいい話題ではないと思いサリアはこの話を切り上げた。


 時間が許す限り近況報告などお茶などを楽しんでいると、メイド長のアヤが悠魔にお客様が来たと耳打ちをしてくる。


 そろそろ話し合いの時間が近づいてるのでサリアもちょうどいいと思い、悠魔と一緒に玄関の方に歩いて行き、悠魔は玄関に立っていた人物を見て驚く。


「エドナさん何で此処に?」


「えっと……先に謝っておくわ。ごめんなさい」


 彼女には珍しく歯切れが悪く使い行き成り謝罪をしてくる。玄関に立っていたのは背中に愛用の斧を背負い短めの金髪をサイドテールにして、その表情は無表情ながらも何処か申し訳ないような雰囲気を漂わせた少女のフォルスティア王国の騎士のエドナ・イエーガーだった。


「それってどういう――」


「君が悠魔君だね!」


 理由を聞こうとした悠魔言葉にかぶせてエドナの背後から童女が飛び出して来る。その人物はフォルスティア王国女王のシルヴェスト・ジルフ・フォルスティアだった。


「っ陛下、他の護衛と共に馬車でお待ちくださいと言いましたよね」


「え~いいじゃん! 色々と彼には教えてもらったんだからお礼を言わないと、エドナちゃんがさっさと解放しちゃうから僕会えなかったんだよ!」


 シルヴェストは頬を膨らませてぷんぷん怒るが、エドナはため息をはきながら額を抑える。この人が絡むと面倒な事になる可能性があるから、エドナは殆ど独断で悠魔を解放した。仮にも妹――コレットの友人なので面倒に巻き込むまいとしたが結果は変わらなかった。


「初めまして僕はシルヴェスト・ジルフ・フォルスティアでフォルスティア王国の王女をしているすごく偉い人だよ」


「はいそれはご丁寧にあ……今何て言いました……?」


「もう、もう一度言うけど僕はシルヴェスト・ジルフ・フォルスティアでフォルスティア王国の王女をしているすごく偉い人だよ。よろしくね悠魔君」


「いやいやいやエドナさんこれってどういうことですか⁉ 何でこんな何にもなく少し大きいだけの家にフォルスティア王国の王が居るんですか⁉」


「悠魔さん一応私も一国の王なのですが……」


 後ろからサリアの小さな声が聞こえて来るがそんな言葉を気にしてる余裕は悠魔にはなかった。

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