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異世界でのセカンドライフ  作者: サイン
第七章
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重なり合う問題

 王都システィーナを出て少しして盗賊風の男たちに囲まれていた。


「殺していいと言われたけど……そう言うのは嫌なんだけどな」


 ただの人間ならどれだけいようと今の悠魔の敵ではなくどうしたものか考える。エドナの言う通り多分反対派の貴族の手のものだろうが、流石に殺すのは気が引ける。


「仕方ないか……制圧するなら剣よりこっちか!」


 跳躍し拳銃を抜き出し、盗賊風たちの四肢を打ち抜いて行く。数秒も経たずに制圧した悠魔は武器をしまい代わりにポーションを少し離れた所に置いてその場から歩き去る。




 いい加減悠魔は嫌になっていた。


「これで五度目だぞ何回襲撃があればいいんだ!」


 彼の周りには制圧され動けなくなった男たちが倒れていた。


「仕方ない少し急ぐか……出来ればもう少しゆっくりとしたかったんだけどな、これから忙しくなるし」


 ため息をつきながら龍の翼を開き飛び上がる。


「ゆっくりと旅をしたいけどそうも言ってられないなやっぱり」


 方角を確認して翼を羽ばたかせて徐々に速度を上げて飛行して行く、普通に歩けば十数日かかるがこれほどの速度で飛翔すればものの数時間でエストアに到着する。


 見慣れた街が見えて来た悠魔は自身の屋敷の庭に着地すると、そんな彼を見てメイド達が駆け寄って来る。


「悠魔様お帰りなさいませ」


 メイド長のアヤが悠魔に挨拶をしてくる。


「色々説明しないといけない事がありますけど、すいません急いでるんで」


 悠魔は早歩きで屋敷の中に歩いて行く、向かうのはアリスの部屋で勢いよく扉を開ける。そこには傷つき包帯を体中に撒くアリスがおり、彼女は悠魔の姿を見て痛む体を動かして悠魔に抱き着く。


「よかった無事で、無事だと話では聞いてたけどよかった」


「すいません帰るのが遅くなって傷大丈夫ですか?」


「問題ないこの程度の傷は」


 とても無事には見えない、無理に動いたせいで傷が開いたのか包帯に血がにじみ出す。今も彼女の傷が残ってると言う事は、どうやらエリクサーは無い様でポーションで治さない所を見ると、無理な治癒をしないで体への負担を軽減してる様だった。


「あの後はどうなったんですか?」


「君達が襲撃された後は……」


 悠魔達が黒い地龍を引き連れて戦場を離脱した後は地獄の様だった。補給物資を失った以上手持ちのエリクサーや雷槌だけで戦うしかなくなった。すぐにエリクサーも雷槌もなくなり残された黒い刀だけでは次々と騎士たちは倒れて行った。


 多くの犠牲がでた。前線の騎士達の七割が倒れて残った三割も酷い怪我を負ったが、それ以上にアリス、ジェンガ、リボーズといった起源龍と直接戦闘した彼らはそれ以上に酷い怪我を負った。


「今生きてるのが不思議なくらいだ。あの馬鹿魔王と聖剣は騎士達を守りながら起源龍と戦ったが」

 

そんな事をすればもちろんまともな戦闘は出来なくすぐにボロボロになり倒れてしまう。残ったアリスはそんな二人回収して戦場から必死に離脱をしようとするが、そこに起源龍のブレスが襲い掛かり三人を飲み込んで行った。


「僕一人で離脱するだけならこれほどの傷は受けなかったんだけど、今彼らほどの戦力を失う訳にはいかないからね」


「ありがとうございます」


「それでその顔は何か収穫があったようだね」


「はい」


 悠魔は預かって来た手紙を王宮に届けに行くと言うと、アリスもついて行くと言いながら掛けてあった服を取り袖を通していく。




「すまない悠魔殿時間がかかって」


「いえ、今は色々忙しいですからね」


 王宮に入りクランドと面会を頼んだがすぐには会えなく一時間程待ちやっと面会が出来、クランドは慌てた様子で部屋に入って来た。


「コトナから事情は聞いてる。色々と助かったまずは礼を言う」


「いえ、あの時は僕も無我夢中でしたから、今思うとかなり危ない橋を渡っていたと思います」


「それで朗報とは何かな」


 悠魔はクランドにフォルスティア王国から預かって来た手紙を渡す。クランドは手紙を開封して目を通していく。


 手紙の内容はフォルスティア王国が起源龍の討伐に参加するのと、起源龍の危険さを世界会議で話し合うのはどうかと言う事で、クランドは手紙を見ながら唸る。


「世界会議か……」


「何ですか世界会議って?」


「文字通り各国の国王が集まって世界の情勢などを話し合う会議だ。会議は期間は三日でその間王達は色々な情報を交換したりする場だ……確かかなり昔から続いてる物だと僕は記憶してるよ」


 世界会議について教えてくれたのはアリスで、こういった話に興味がなさそうな彼女だったが、意外にも詳しく詳細に教えてくれる。


「魔女殿は詳しいですね」


「……まぁそれなりに長生きしてるからね」


 クランドの言葉に窓の外を見ながら答える。外には青空が広がっており、その時のアリスの顔は何処かはかなげな印象があった。


「魔女の僕が口をはさむのはどうかと思うが、確かに世界会議で話すのが一番他の国の支持を受けれると思うな。ただ他の国がどれだけ起源龍の危険性を理解するかは分からないが……」


 自分達は少なくとも起源龍の危険性を知っている。地の起源龍グランは三か国の合同軍で攻撃に向かったが、その結果は惨敗で水の起源龍ネプトゥーと戦った蒼海の魔王のユミナも負けた。それだけではなくエルフの国に封印されていた起源龍も解き放たれ世界のどこかにいる。


 そしてエストア王国の領土内にも起源龍を封印された遺跡が存在している。残念ながら残りの起源龍の封印先は分かってない上にその封印を解こうとする天使の勢力もある。


「六体の内三体は解放され、二体に至っては封印の場所も分からない上にその封印を解こうとする勢力……ハァ~僕も長く生きてるがこれほどまでに厄介事が重なったのないな……さてどうしたものか?」


「魔女殿封印を解こうとしている天使たちについて何か知ってる事はないか? どのような些細な事でもよいのだが」


「そう言われてもね……残念ながらそう言うのはエルフェリアの領分だ。あれが君達に素直に話すとは思えないし……さてさてどうしたものか」


 天使については起源龍の次にこの世界に伝わる神話の様なもので、実在してるとは思ってなかったが、彼らは現に目の前に姿を現した。


「あれ以来天使たちは姿を見せてなが、彼らの目的も起源龍な以上またぶつかる」


「アリスさんの言う通りですね。天使が何人いるか分かりませんが、戦った感じは起源龍と違い絶対的な力を持っている訳ではないですから」


 現にユミナは簡単に一人倒している。アリスもその気になれば負ける事はないだろう、それでもやはり油断ならない相手だと思う悠魔だった。

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