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異世界でのセカンドライフ  作者: サイン
第七章
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エルフェリアの目的

 悠魔はフォルスティア王国の騎士数名とフォルスティア王国領土内にある山中を訪れていた。


 此処に来たのは、最近この付近で存在を確認されてる大型の魔獣の討伐で、悠魔はこの地帯にどのような魔獣が存在するかを調べる為について来た。


 そして、目の前には巨大な蜥蜴の魔獣がおり、この魔獣が今回の討伐目標だった。


「エストアでは見た事ない魔獣だな」


 ここ数日、王都システィーナの図書館などで調べて見ると、フォルスティア王国には多くの大型魔物が生息してる。


「だから冒険者の皆は大きな武器を持っていたのか」


「悠魔殿もう少し離れてください!」


 のんびりと大きな魔獣を眺めてる悠魔に、傍にいた騎士は危険なので離れる様に言うが、この世界に来た時ならまだしも色々な者を見て来た今の悠魔では大した脅威には見えない、少なくとも黒い地龍ほどではないと思い悠魔は地を蹴り跳躍した。


「悠魔殿!」


 悠魔の突然の行動に騎士は驚き声を上げる。


「この程度の魔獣なら!」


 蜥蜴の魔獣の真上に跳躍した悠魔は、片腕を龍化させ魔獣目掛けて振り下ろす。龍の腕は蜥蜴に突き刺さり切り裂いた。


 大量の血を吹き出し蜥蜴の魔獣は咆哮をあげて次第に動かなくなる。腕を引き抜き大きな赤黒い結晶を抜き取りよく観察する。


「流石は大型、大きな魔導核だな」


「おお、流石悠魔殿お強い!」


「ん、大した事ないですよ……」


 悠魔は手にしていた魔導核を騎士に渡す。彼の様子は何かを迷ってる様で魔獣が討伐出来て歓喜してる他の騎士の様に明るくはなかった。


「どうかなされましたか?」


「いえ、何でもありません」


 騎士は不思議そうな顔をするが悠魔はそれ以上何も言わず、ローブから水の入ったボトルを取り出し腕に付着した魔獣の血液を洗い流す。




 エドナの屋敷に帰って来た悠魔を出迎えたのは当主のエドナだった。


「おかえりなさい。魔獣退治はどうだったかしら?」


「大した苦労はしませんでしたよ」


「討伐目標だった魔獣はそれなり強かったと思ったけど、現にそれなりの数の騎士を出したし」


「ん~肌質は柔らかかったですし、龍の腕なら簡単に切り裂けましたから苦労はなかったですね」


 龍の腕で蜥蜴の魔獣を切り裂いた時は、まるで紙を切った時の様にすんなりと爪が通り、簡単に魔導核を取り出し倒す事が出来た。


「そう、そう言えば魔導核は貰ってよかったのかしら? あの大きさのものならかなりの値が付くと思うのだけど」


「いいですよ別にいりませんし」


「ならありがたく貰っておくわ。それとこの資料に目を通してもらえるかしら? 開発を担当している魔導技師達から預かって来た物よ」


 数枚の資料を預かり、悠魔は簡単に目を通していく、大まかな内容は分かったのか資料から目を放し仕舞い込む。


「明日までには返答するので少し待ってもらえますか?」


「わかったわ。それじゃあまずはお風呂に入って来なさい準備させるから、その後夕食にしましょ」




 夜中悠魔は預かった資料の内容を確認しながら、回答の資料を製作しひと段落して伸びをする。


「静かな夜だな」


 使用人達ももう休んだのか屋敷の中も静かで、悠魔もそろそろ休もうかと思っていたが背後に気配を感じ取り、気配の主から距離を取る様に部屋の隅に跳躍する。


 エドナはよく声を掛けずにすっと背後に立たれるが、明らかに異質なねっとりとした寒気を思える気配悠魔もよく知った人物で、今もっとも会いたく人物だった。


「エルフェリアさん……」


「こんばんは、静かなよい夜ですね」


 自身の家で会う分には問題ない彼女の屋敷でも問題ない、何故なら何かあればそのどちらでもアリスがすぐに気が付き飛んでくる。


「おやおや警戒されてますか? それもそうですよね此処にはアリスさんが居ませんからね」


 悠魔の心の内を見透かしたかのようなエルフェリアに、背中に嫌な汗をかきいつでもローブから剣を取り出せるようにする。


「まぁアリスさんも私の庭園に繋がるソフィーさんの鍵しか持ってませんからね」


 悠魔が預かる物は一度使えば消滅する鍵だが、アリスが持つエルフェリアの庭園に繋がる鍵は使用して消滅しない作りになっている。


「出来ればあの鍵も返してもらいたいんですけどね」


「アリスさんに自分で言ってください」


「言っても素直に返してもらえると思います?」


「無理でしょ」


「私ってそんなに信用ないでしょうか?」


「頭大丈夫ですか?」


「最近の悠魔さんは冷たいです。私悲しくなってしまいます」


 あからさまな泣きまねをする彼女に悠魔は何の反応を示さず、唯々彼女が動いた時に対応出来るように彼女から視線を外さない。


「もう、もう少し乗ってくれてもいいじゃないですか」


 反応のない悠魔に拗ねた様な反応をする。


「それで何をしに来たんですか?」


 彼女が何の用で此処に現れたのか分からない。もし戦闘になってもエルフェリアと悠魔の力の差は圧倒的に今の悠魔に軍配は上がるが、彼女は幾ら殺してもすぐに何事もなかったように姿を現す。何かの魔法だと思うが、その正体が掴めない以上悠魔に勝ちがない。


「そのように警戒しなくてもいいですよ? 少し様子を見に来ただけですから、どうやら無事に生き残ったようですね」


「……それはどうも」


「無事に生き残ったそんな悠魔さんに一つプレゼントを持ってきました」


「プレゼント?」


「はい。物は警戒されて受け取ってもらえないと思いまして、一つ悠魔さんの問いに嘘偽りなく答えましょう。この知識の魔女エルフェリアが」


 こう言うが素直に彼女の言葉を信用は出来ない。しかし彼女の知識は本物で、今悠魔の目の前に積まれた問題を解決してくれるほどに魅力的なものだった。


「その言葉を信用しろと?」


「出来れば信用してほしいですね」


「……わかりました。少し考えさせてください」


「どうぞゆっくり考えてください」


 何を聞こうか考える。聞いてみたい事は幾つもあるが、一番に聞きたいのは起源龍の事についてもしくは彼女の目的のこの二つが優先される。


「…………エルフェリアさんの目的は何ですか?」


 たっぷり考えて悠魔が聞いたのはエルフェリアの目的で、それとなくいつも聞いて来たが、すべてはぐらかされていたので、素直に答えてくれるかは分からないが、彼女を言葉を信じるなら一番に聞いておきたい内容だった。


「私の目的ですか?」


「何の目的があって僕に力を貸してくれるんですか?」


「単なる善意じゃ納得しませんか?」


「それで納得出来るほど頭の中花畑じゃないですから」


「それでは私が悠魔さんに好意を寄せてるのはどうですか?」


「もし本当にそうなら手放しに喜びますけど……生憎それは絶対にないと思ってますから」


 少なくともエルフェリアという人物は人間……いや悠魔の事を嫌っている。いつもニコニコ笑顔で隠してはいるがそのくらいは悠魔によくわかっいる。


「目的ですか……私の目的ですか……フフフッ、いいですよその問いに答えてあげます」


「っ」


 先ほどまでの好意的な笑顔と違い、不気味な笑みを浮かべて背後から悠魔の首元に両腕を回し抱き着く、一瞬で悠魔の背後に移動した彼女を払いのけ彼女から再び距離を取る。


「あら残念、まぁいいです。そうですね単刀直入に言って私がしようとしてるのはある人物を蘇らしたいですね」


「蘇らす?」


「はい、私はその方を蘇すためだけにいます。我が主にして魔女教団の創設者――黒の魔女いえ影の魔王クロエノーツ様、そして悠魔さんにはある協力をしてもらいたいだけです」


「そんな事に力を貸すと思いますか?」


「いえいえ、その時になれば悠魔さんは力を貸してくれますよ。その時になれば……さてこれが私の目的です納得していただけましたか?」


 ふざけるなと言いたいが彼女には絶対な自身があるようだった。もちろんそんな事に悠魔は力を貸すつもりはない、そもそもリボーズやユミナと違い、影の魔王の事は今も語り継がれる最悪の悪とされている。


「安心してください、私の目的の達成までは私は悠魔さんを守らせてもらいます。そして力を貸しますよ


 少なくとも悠魔とは敵対しないと言われる。どこまで信用していいか分からないが、これ以上は語る事はないと彼女は再び好意的な笑顔を浮かべる。


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