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異世界でのセカンドライフ  作者: サイン
第七章
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久しぶりに一人だ

 戻って来た悠魔を見てコトナ、イオの二人は安堵する。


「悠魔君がいない間にイオさんとも相談したのですが、もうこの際彼女達の条件を呑むのが良いと私は思います」


「僕はそれでいいと思います。現状では生き残る事の方が大切ですし……それに」


 自分達を此処まで逃がしてくれたステールや倒れて行った騎士達を思い出す。


「それではそのように私が伝えてきますわ」


 そう言いイオは歩いて行く、これで一先ずは安心し悠魔とコトナは肩の力を抜く、しかしまだまだ問題はあり、安全は保障されたが素直に帰してくれるかや帰れたとしても、これだけボロボロな状態でどうやって帰るかや問題は山積みだった。


「さて、これで一先ずは安心出来ますね」


「はい、まだまだ解決しないといけない案件は沢山ありますが安全面では取り合えず大丈夫だと思います。そう言えば何の話をしていたんですか?」


 悠魔はエドナとの話の内容をコトナに話す。


「それじゃあ、コレットさんはエドナさんの妹さんだったんですね」


「はい、驚きました。あの人は覚えてないと言っていたので、どういう経緯でダイヤス帝国に流れ着いたのかは分かりませんが、すべての話が本当ならそうなります」


 彼女の話を全て信用するのはどうかと思うが、悠魔にはエドナが嘘を言ってる様には見えなかった。




 話はまとまりすぐに解放されることとなったが、ここで一つ問題が発生してしまった。


「ちょっと待ってください!」


「何か問題でもある?」


「あります! 何で悠魔君をこの国に残していく必要があるんですか⁉ エリクサーのレシピも雷槌の設計図も渡したじゃないですか!」


「それが本物だという証拠がないのと、それを開発した彼が居れば分からない所を聞けるでしょ? それに彼は冒険者の身分だから貴方がとやかく言うのはおかしいと思うのだけど?」


 素直に帰国させてもらう事になったが、悠魔だけはこの国に滞在してもらうという内容にコトナは納得が出来なかった。


「それに客人として迎えるのだからそれなりの待遇を約束するし働いてもらった分の報酬も出すわ。問題あるかしら?」


「っ」


 エドナの言ってる事は何処もおかしくない、確かに残る事は強制されたが、しっかりと客人としての対応をするし、少しの間滞在したら自由に帰ってもいいし何なら送り届けるとも言っている。


「そ、それなら――」


「ダメよ貴方をこの国に残すのは問題になるし、私達としては出来るだけ早く帰ってもらいたいの」


 不法入国者の彼らを置いておくつもりはなかった。面倒事はこの国も望まないその為にコトナの滞在は認められなかった。


「エドナさん」


「何?」


「僕が残れば皆さんを無事に国に送り届けてくれるんですよね?」


「ええ、安心しなさい。貴方も用が済めばすぐに帰すし約束するわ」


「分かりました。それなら知り合いへの手紙を彼女に送り届けてもらうのはいいですか?」


 この国に残り帰りが遅くなるのをアリス達に知らせたかった。


「いいわよ。あくまで貴方は客人だからそこまで制限するつもりはないわ」


「ありがとうございます。コトナさんお願いします」


「わかりました……」


 納得は出来てないという表情だが、自分にはどうしようも出来ないと思いコトナは頷いた。




 コトナ達がこの国を去ってから一日が経過して、悠魔はエドナの屋敷に用意された部屋で目を覚ます。


「さて、今日はどうしようか」


 特別行動は制限されてなく、屋敷の者に伝えれば街に出るのも出来るし、同行者が付くが街の外にも出られる。昨日はこの街の冒険者ギルドにも行って来た。


 依頼を受けようと思ったが、いつ王宮の方から呼ばれるか分からないので、あまり勝手な事は出来ないので、仕方なく昨日は大人しくしていたので暇でしょうがなかった。


「取り合えず今日一日は何か時間を潰せる物を捜すか」


 そう思い身支度を整えていると、ドアをノックする音が聞こえ返事をすると、朝食の用意が出来たとの報告で悠魔は向かう事にした。




 すでにエドナは朝食を食べており、悠魔も彼女の前の席に着き用意された朝食を食べだす。


「部屋の方はどうかしら? 後何か必要な物あるかしら」


「今の所はないです。部屋の方も満足してますから」


「そう、私はそろそろ王宮に行くから、何かあったら屋敷の者に言って」


「分かりました」


 それだけを言うと残りの朝食を食べて部屋を出て行く、悠魔はどことなくエドナにコレットの面影を重ねる。


「そう言えばあの人もこんな感じで用件だけ言って出てってたな」


 悠魔は朝食を食べ部屋に戻り何をしようか考える。


「この街の魔道具店回ってみるか」


 早速やる事を見つけた悠魔はこの屋敷の執事に話をし、執事に教えてもらった魔道具店に向かう。




 店の中は綺麗に装飾されており、店内を歩く冒険者もそれなりに良い防具や武器を持っていた。


「品ぞろえがいいな」


 棚に陳列されている商品は各種ポーションなど、他にも見た事もない物が並べられており、冒険者たちは品定めをしながら購入して行く。


「エストアとはだいぶ雰囲気が違うな、皆武器が大きめだな」


 よく見ると冒険者たちが持っている武器は少し大きめのものばかりだった。


「生息する魔獣の違いかな……後で調べて見ようかな」


 そんな事を考えながら悠魔は取り合えず買い物をして行く、ポーション各種から見た事のない魔道具などを購入し、次の店に向けて歩き出す。


 自身の魔道具の開発の参考になりそうな物を購入し、教えてもらった店はすべて回ったので屋敷に戻り購入した魔道具の検証に入った。




 魔道具の検証に入って気が付けば窓の外は夕焼け空になっており、薄暗い室内で悠魔は空腹に襲われる。途中で何度か呼ばれたような気がしたが、殆ど集中していたので相槌程度の返事しかしてなかった。


「ん」


「……」


 悠魔は立ち上がろうとして隣にいたエドナと目が合いお互いの間に沈黙が訪れる。全く気配に気が付かなかったが、どうも彼女とコレットの雰囲気が似ているせいか、悠魔はあまり驚きはしなかった。


「……何をしているんですか?」


「昼食も食べずに部屋に籠ってると聞いて様子を見に来たのよ」


「すいません集中しすぎました」


「これこの街で販売されている魔道具よね?」


「はい、魔道具の制作の何かしらのヒントを得られるかと思いまして」


 魔道具を開発するに至って悠魔がやる事は、取り合えず思い付いた物を形にしてそこから手直しをして行くか、既存している物をヒントに改良したものを作る。


「見た事ない物は取り合えず分析解析してどんなものか調べますから」


「ふ~ん……まぁいいわそれより夕食にしましょ。雷槌の設計図で少し分からない所があるのよ、夕食の後王宮の魔工技師を呼ぶから説明してあげて」


 雷槌はこの世界にない技術を盛り込んで作り出した武器なので、設計図を見ただけでは分かりにくい部分もあったようだった。


「ほら行くわよ。私お腹が減ってるんだから」


「はいはい」


 昼食を食べてないのでお腹は減っていたので、彼女の申し出はありがたいものだったので、悠魔は文句を言わずに彼女について行った。

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