表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でのセカンドライフ  作者: サイン
第一章
17/227

自己嫌悪、醜い自分

「此処は?」


「目が覚めましたか?」


 悠魔が目を覚ますとコトナがいて魔法で悠魔の傷を癒していた。


「僕はどうやって」


「ジェンガ君を起こして引き上げてもらいました悠魔君崖に短剣で縫い付けられてましたから」


「……っ!」


 徐々に意識がはっきりとして来て悠魔は慌てて起き上がった。


「っっっ!……痛い」


「ダメですよ、まだ傷が完全に塞がってないんですから」


「そんな……事はどうでもいいです……アリスさんは!?」


 悠魔はコトナの両肩を掴み詰め寄ると落ち着いてくださいと両手で静止され悠魔が「すいません」と言い冷静になり気を失っている感に何があったかを聞き始めた。


「剣姫の魔女は谷底に落ちて行きました……今ジェンガ君が行ける所まで降りて見に行ってくれてます……ですが多分生存の可能性は極めて低いでしょう」


「…………そう……ですか……」


「今回の事は申し訳ありませんでした……もう少し私達が冷静ならこんな事にはならなかったかもしれません……本当に申し訳ありません」


 コトナが謝罪の言葉を述べ頭を下げたよく見るとコトナの肩は震えていて悠魔自身思う所があるが今回の二人の対応は間違っていなかったと悠魔自身思っていたアリスが剣姫の魔女と呼ばれていてどれだけの悪事を働いていたかまた、いかに危険な存在だったか二人の反応を見れば分かる事だからと思い言葉を飲み込んだ。


「頭を上げてください別に御二人が悪いわけじゃないんですから……全部僕のせいです結局僕は何も彼女の事をわかってなかったんです」


「悠魔君……」


 悠魔は顔を伏せ自分の無力感に打ちひしがれていたコトナもかける言葉も思いつかないのか黙ってそんな悠魔を見ているとジェンガが崖を登って戻って来た意識を取り戻した悠魔を見て笑顔を見せるがすぐにばつの悪い顔をして顔を伏せてしまった。


「悠魔……すまない……今回の件僕がもっと慎重に対応していれば」


「もういいですよ、御二人の気持ちは分かっていますからただ僕が二人を止めれなかっただけなんです……うただそれだけなんです」


「悠魔……すまない……」


 再びジェンガが頭を下げ謝罪をし悠魔は「謝罪は何度もするものではないです」と言い顔を上げた。


「ジェンガ君どうでした?」


「行ける所まで見て来たが……」


 その先を言わずにジェンガは首を左右に振りその行動ですべてを察した悠魔とコトナは何も言わずに顔を伏せた。


「……帰ります」


「待ってください一度王宮に来てくださいルチアさんなら悠魔君の傷を綺麗に治せますから私では応急処置程度しか出来ないので」


「いえ、いいです痛みはないですから、ポーションでも飲んで治しますから……」


「で、でも!」


「それに少し一人になりたいので」


 悠魔は日が暮れだす中森を歩き出した。


「待ってくれせめて町までは一緒に行こうこの時間の森は一人では危険だから」


 慌てて二人も悠魔の後をついて行き町に着くと別れ二人は王宮に悠魔は宿屋に向かって歩いて行った。




「あれ、悠魔さんおかってえぇぇぇどうしたのその傷!?」


「もう塞がってますから大丈夫です……今日は疲れたのでもう寝るので」


「ちょっ悠魔さん!?」


 服に大量の血の付いた悠魔を見てカナが驚きの声をあげるが悠魔は大丈夫だといい部屋に歩いて行った階段を上がりながら悠魔は服は着替えるべきだったなと思い部屋に着くと前もって買っておいた予備の服を取り出し着替えてベットに倒れ込みそのまま寝てしまった。




「悠魔君起きて」


「ん、んん!」


「やっと起きた」


「ナナさん!?」


 悠魔が目を覚ますと目の前にナナの顔があり悠魔には彼女が何で此処にいるのか分からなくそもそもどうやってカギをした部屋に入ったのか分からないと言った顔をして混乱していた。


「カナちゃん、悠魔君目覚ましたわよ」


「よかった、悠魔さん全然起きてこなかったから心配だったんだよ……もう」


「朝からどんな状況ですかこれ?」


「あのね~もう昼過ぎですよ」


 部屋にはナナとリウスがいてカナは呆れた様にジト目で悠魔を見て寝ぼけてるんですか~と言いパンとスープを持って部屋入って来た。


「昨日の夜から何も食べてませんよね」


「あ、ありがとうございます」


「む……まだ寝ぼけてますね……先に顔洗ってきなさい!」


「あ、はい」


 悠魔がタオルを持ちふらふら部屋を出て行ったそんな悠魔を見てナナは心配になりついて行った。


「すいません、流石に昨日の様子から部屋から出てこないのが心配で」


「いや、パーティーメンバーの様子がおかしいのを教えてもらって助かった」


 カナは昼過ぎになっても部屋から出てこない悠魔が心配になり、ちょうど悠魔を訪ねて来ていたパーティーメンバーのリウスとナナに様子を見て来てもらった。


「何があったんでしょう?」


「さぁ俺らも此処数日一緒にいたわけじゃないからな」


 夕食などは一緒に食べていたがここ最近悠魔は日中アリスと一緒にいたので行動を把握していなかった。




「……」


「悠魔君?」


「いえ、何でもないです……タオルありがとうございます」


 ナナが隣からタオルを差し出し悠魔は受け取ると顔を拭いた元気のない悠魔にナナは心配になり何があったのかを訪ねるが悠魔は何も答えずに「すいません」と言い部屋に戻って行った。


「明後日からですか?」


「ああ、レイラの様子もだいぶ良くなったし、明日は一応休みを取って明後日から仕事を開始したいが大丈夫か?」


「あ、はい平気です」


「なら、また夜にでも集合時間を決めるか」


 用事を済ませるとリウスはクラウと用事があると言い宿屋から出て行った残されたナナはどうしようと言う顔で悠魔を見た。


「ナナさんは?」


「ん、私は暇なのよ今日は予定もないしレイラちゃんも殆どいつも通りだし」


「なら、少し魔法教えてもらえませんか?」


「それは、いいけど私あんまり教えるの上手じゃないわよ?」


 ナナが頬を指でかきながら苦笑して目を逸らしたそれでも悠魔は「お願いします」と頭を下げたナナは諦めた様にため息をつき「あまり期待しないでね」と一言言い悠魔に魔法を教える事を承諾してくれた。


「それで、何を教えてほしいの?と言っても悠魔君の方が魔法上手よね?」


「魔力の形状変化を教えてもらいたいんですけど」


「えっと、魔法剣や魔法盾とかの技能ね……私魔力操作苦手なんだけど」


「……」


「ハァ~……最初に言っておきますけど私も魔力の形状変化は昔ちょっと勉強して初歩くらいしか知らないし……私が魔力操作が下手だから全く使えなくて挫折したのそれでもいい?」


「はい、お願いします」




 街外れにあるギルドが管理する訓練所に入るとそこには、戦闘訓練、魔法訓練などを練習人達がおり悠魔とナナは隅っこの空いているスペースに移動した。


「えっと形状変化を教えて欲しいて言ってたけど悠魔君は魔力の放出と固定は出来るのよね?」


「はい」


 悠魔が魔力の球体を作り見せるとナナは感心半分と呆れ半分と言う目を悠魔に向けナナはこの子に魔法を教える嫌だな~と思いだした。


「固定されている魔力を剣の形に変化させるんだけど……イメージしてみて剣のイメージ」


「ん~」

 

 悠魔が辺りを見て剣を持っている人を見つけてその剣をジーと見てしばらくすると目を閉じ剣をイメージした。


「イメージ出来た?」


「はい」


「それなら今固定してる魔力をイメージした通りに固定しなおすの」


「……」


 悠魔の手の平で固定された魔力が揺れるがそれ以上の変化は起きなく時間だけが過ぎて行った。


「ダメか……何かコツとかあります?」


「コツ?と言われても私も知識で知ってるだけだからん~……ごめんなね分からないわね、そもそもそんな簡単に出来る事じゃないのよ形状変化は、悠魔君も放出、固定の技術も難しかったでしょ」


「はい(こう思うとアリスさん教え方てかなり上手だったんだな)」


「悠魔君?」


 悠魔は昨日までいた居た魔女の事を思い出ししまい本当にもういないんだなと思ってしまいもし、彼女が生きていたのならナナではなく目の前にアリスが立っていたのではないかと思い考えの途中でナナがアリスの代用品などと思い自分が失礼な事を考えてるだと思い自己嫌悪をしてしまった。


「……すいません」


「ん、何謝ってるのこんなの一朝一夕で出来ないわよ……と言うか私も出来ないしそんな私が教えるなんてああ、こんな事ならもうちょっと勉強しとくのだったわハァ~」


「……すいません」


「別に悠魔君のせいじゃないわよ」


 暗く肩を落としているナナを見て悠魔は申し訳ない気持ちになりさらに深い自己嫌悪に落ちて行きさらにはそんな悠魔を見てナナが明るく振舞い。


「大丈夫よ!悠魔君は魔力操作が私より全然うまいんだからすぐに出来る様になるわ!」


「すいません」


「な~に、謝ってるの、よし今日はここまでにしましょ! 悠魔君何だか体調悪そうだし、そうねご

飯食べに行きましょ、レイラちゃんも今日は元気だし、リウス君やクラウ君も戻って来てると思うから、久しぶりに皆で食べましょ!」


「……はい」


 明るく振舞うナナと対照的に悠魔は気を使ってくれるナナを見て罪悪感が大きくなってしまい泣きそうになってしまったが何とか涙を見せない様に我慢してナナに背を向けてしまった。


「悠魔君?」


「な、何でもないです行きましょうご飯食べに」


「うん」




 レイラ、リウス、クラウと合流して屋台や飲み屋が集まってる所に向かい適当な店に入り席に着いた。


「「かんぱ~い」」


 色々な料理が運ばれて来てテーブルに並べられたそれぞれ好きな物を食べだしたお酒も進みクラウがふとした疑問を悠魔に投げかけた。


「そう言えば悠魔君ここ最近なにぃしてたの?」


「…………」


「悠魔どうした?」


「悠魔っち?」


「悠魔君?」


「あれ、何か変な事俺聞いちゃった?」


 それまで普通に会話をしていて料理を食べていたのに悠魔の雰囲気が変わり持っていたフォークを落としてしまい他の四人もそんな悠魔の変化に食事をやめ視線が悠魔に集まった。


「此処数日は、最近出来た知り合いに魔法を教えてもらっていて……」


「あ~それで魔力の放出も固定も出来たのね……うん納得……あれ、ちょっと待ってなら悠魔君は、たった数日で魔力の放出と、固定を覚えたのすごいわね……その知り合いの人私と違って魔法教えるの上手なのねぇ~……あれ、でもそれなら私なんかよりその人に教えてもらった方が仕事は明後日からだしそうしたら?」


「…………」


「悠魔君?」


「どうした悠魔今日は何か変だぞ?」


 ナナは自分が教えるよりこの短期間で魔力の放出と固定を教え悠魔に習得させた相手の方が効率よく出来るんじゃないかと言い提案したが。


「……迷惑……でしょうか?」


「え、全然そんな事ないけど……魔力操作の下手な私が教えるよりそっちの方が良いかなと思ったんだけど?」


「…………」


「悠魔っちどうしたの?やっぱり変だよ?」


 レイラの言葉に悠魔がビクッと肩を震わしそれを見て皆やはり悠魔の様子が変だと確信してリウスが席を立ち皆に場所を変えようと言い勘定をして店を出た場所は悠魔の止まってる宿屋の部屋に移動した。


「さて、何があったんだ悠魔」


「……っ」


「ちょ悠魔っち!」


 悠魔の目から涙が出て顔を伏せてしまった。皆急に涙を流し始めた悠魔に困惑してどうしていいのか分からずに慌てだしたしばらくすると悠魔がポツリポツリとここ数日の事を語りだした。皆静かにそれを聞き誰一人悠魔が話終わるまで口を挟まなく聞き続けた。


「そいつは、辛かったな」


「それだけならまだ、我慢できたんですアリスさんが谷底に落ちていなくなって・・・・・僕が無力だったから二人を止められなくてアリスさんを助けられなくていつも僕は大切な人を助けられなくて!」


 悠魔はまるで吐き出すかのように語りだした自分を責めだした。


「悠魔っち落ち着いて!」


「そうよ、貴方が悪いわけじゃないんだから!」


「一番最悪なのはアリスさんがいなくなった事でまるで、アリスさんの代用品を求める様にナナさんに魔法の教えを頼んだ事なんです!」


「落ち着いて悠魔君私はそんな風に思ってないから……私こそえっと、魔女のアリスさんの様に教えれなくて」


「違うんです!今日ナナさんに魔法を教えてもらってる時に思ったんですアリスさんがいたら今日も昨日と同じように魔法の練習をしてまるでナナさんをアリスさんの代用品みたいに考えたんです!」


「悠魔君ちょっと落ち着けて!」


 泣き狂う悠魔を四人は必死に宥めるが徐々にひどくなり言ってる事も筋の通らなくなって来て四人は悠魔が精神がまともじゃないと思いリウスが近くの魔道具店に精神を落ち着ける道具が売っているのを思い出して部屋を飛び出していった。すぐにリウスがドアを開け帰って来るがいくら何でも返ってくるのが早すぎて気になり視線を入り口に向けるとそこには、ジェンガ、コトナ、ルチアが立っていて悠魔の状態を見るとルチアが慌てて悠魔に近づき魔法を発動させた。しばらくすると悠魔は規則正しい寝息と共に眠ってしまった。




「どうしても悠魔が気になって来てみたんだが正解だったようだよ」


「……正解も何も原因を作ったのは聖剣様達じゃないんですかね」


男性陣は一階に降りテーブルに着きジェンガと話をしていた女性陣は悠魔の治療をするためと心配だから二階に残っている四人ともジェンガ、コトナ、ルチアに余りいい顔をしなかった大切なメンバーが眠ってるのは騎士団のせいだと思い始めてあった時はビクビクしていたがこの時は流石に怒りの方の感情が強かった。


「確かに今回の事は僕達がもっと冷静に対処していれば防げたことかもしれな……本当に申し訳ない」


 ジェンガが頭を下げこの行動に流石に二人は驚き怒りを少し収めた。 


「まぁ、悠魔の事を心配しての行動だとはわかりまし起きた事は仕方ありません」


「すまない」


「悠魔君はよくなるんですよね?」


「ああ、ルチアが言うには今は一度に色々な事が起きて精神的に疲れてるだけだからて精神を癒す魔法を掛けてる少し時間は掛かるかもしれないけど……彼は優しすぎるんだろうね本来なら僕達を責めればいいのにそれをしない」


「そんな事貴方に言われなくてもわかってますよもう数か月一緒にパーティー組んでいるんですから」


「そうだね、すまない」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ