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異世界でのセカンドライフ  作者: サイン
第六章
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平和な休日

 久しぶりに帰って来た自分の屋敷、国王のクランドに半ば無理矢理押し付けられたものだが、畑も大きくなり工房も大きくなった。


「広い家もいいな」


 今この屋敷に暮らしているのは、家主の悠魔にその友人のアリス、ナナ、ニアそしてこの屋敷を維持する為に雇っているメイド三人の計七人。


「おはようございます悠魔様」


 窓を拭いていたメイドは悠魔に気が付き一礼をして挨拶をしてくる。彼女は屋敷で働いてるメイドのカリンで、アヤ、スコアと同じ元王宮に勤めていたメイドで、今はアヤをメイド長とし彼女の部下としてこの屋敷で働いてくれている。


「相変わらずお早い起床ですね」


「そうですか? 僕としてはこのくらいが普通なんですけど……」


 空はまだ薄暗い、早いと言うなら彼女達はまだ空が真っ暗な時間から起きて、屋敷の掃除や洗濯や食材の確認などをしている。


「さて、僕は皆さんの朝食を作ってきます。何か食べて見たい物とかありますか?」


「そ、そんな、悠魔様の料理を口に出来るだけでとても満足です。私などが意見をするなど……」


「意見と言うか……もっと砕けた感じで接してほしいですけど、僕は別に貴族という訳でもないですし……」


「それでもです」


「そう言うもんですかね」


「そういうものです。陛下のご友人の悠魔様はその辺の貴族より力を持ってます」


 力説して来るカリンを見て、少し引き気味に後退する。確かに国王陛下のクランドとはそれなりに親しくしているつもりだが、それとこれは別の様に悠魔は思ってる。


「雑談も程々にして朝食の用意をしてきます」


 彼女の仕事の邪魔をするのもいけないと思い、皆の朝食の用意をしようと厨房に向かう、厨房にはメイドのスコアがすでにおり、清掃や調理器具の用意をしていた。


「悠魔様おはようございます」


「おはようございます。いつもありがとうございます」


 朝食のメニューは鬼人の里で入手した白米、焼き魚、アリテールで購入して来た海苔に卵焼きと、日本の和食メニューに決まった。


 手際よく調理を進めて行き、出来上がる頃にはすっかり日も昇り明るくなっていた。


 悠魔とスコアはそろそろ起きて来るだろう皆の為に、出来上がった料理をテーブルに並べて行く、少しして眠そうに目を擦るナナが起きて来て、そんな彼女に続きニアも部屋に入って来る。


「おふぁひょう悠魔君」


「……おはようございます悠魔様」


 どうやらアリスは今回は参加しないようで、スコアに頼み彼女の分は部屋に運んでもらうことにした。




 朝食終えたナナとニアは店に向かって行く、悠魔も向かおうと思うったが、残念ながらクラウに頼まれて店に置く物を確認があった。彼らとの話し合いでレスキア商会の商品の一部を置く事にしたが、置ける物には限度がある為、置く物の整理をするのに話し合いで決められた商品の目録を整理する必要があった。


「いくつかの商品をローテンションで置くべきだがどうしたものか……それとも商品をもっと絞るか」


 結局悩んだ末に決めたのは置く商品の数を減らす事にした。早速悠魔は置く事を決めた商品を書き出していき手紙にする。


 リウスとクラウは街の宿に泊まっている。泊まってもらおうかと思ったが二人が遠慮した。やはりどうも豪華な部屋は苦手なようだった。


「さて、後はこの手紙を渡しに行くか」


 街に出る悠魔、彼らが泊ってる宿に向かうが残念ながら出かけてる様で、仕方なく手紙だけ渡してもらう様にお願いをして、店の方に行こうとして歩いていると二人に出会う、彼らは裏路地の方に歩いて行こうとする。


「おーい二人共!」


 悠魔はそんな二人に声を掛けると、二人は驚き悠魔の方にバツの悪そうな顔をして振り向く。


「何してるんですか?」


「えぇぇと悠魔さん何で此処に?」


「ん、卸してもらう商品の最終確認が出来たので書き出して持って来たんですが、宿の方に行ったんですがいなかったので、宿の人に預けて来たので後から受け取ってください」


「ああ、分かったよ悠魔さん」


「それで二人は何……を」


 悠魔は彼らが歩いて行こうとした路地に視線を送ると、そこには何人もの色っぽ女性がおり、悠魔は納得する。此処は娼館が集まった場所で、どうやら二人はそこに向かう所だった。


「いや、そのな……」


「せめてもう少し暗くなってからの方がよかったんじゃないですか?」


「そうだ! 悠魔さんも一緒に行こう! ここは俺が金を出すからなっ!」


「なっ! と言われましても僕は興味ないですし、安心してください秘密にしますから」


 どうやら此処で遊ぶのは内緒にしてほしい様で、別に悠魔は今回の事を誰かに話すつもりはない、二人はナナやレイラかつての仲間にバレるのが嫌なようだ。悠魔もその気持ちは分からなくもない、二人も男だし悠魔も男だそう言う行為を行いたい気持ちはもちろん分かる。


「ほらさっさと行った方が良いですよ? 誰かに見られると面倒ですから」


「そ、そうだな」


「悠魔さんどうか二人には内緒にしておいてくれ」


「大丈夫ですって」


「何が大丈夫なんだい?」


 後ろから聞きなれた女性の声が聞こえて来て、三人はその場で硬直する。


「あ、アリスさん……どうしてこんな所に……」


「散歩だ、この奥は確か……ああ、そう言う事か」


「アリスさん何か誤解があるようですけど行こうとしていたのは二人だけですからね」


「ん、大丈夫だ君も男だそう言う行為に興味があるだろ、別に気にはしない存分に遊んでくるといいよ」


「ですから僕は……」


「誤魔化さなくていい、皆には黙っておいてやるからさっさと行っておいで、何だったら僕が相手をしよう」


 名案だと思い提案して来るアリス。この魔女は相変わらずだと思うが、アリスと行為に及んでしまったら、その後の彼女との関係が非常に気まずくなる。アリスは多分全く気にせず今まで通りだろうが悠魔はそうはいかない。


「話を聞いてください! 僕は行きませんから二人からも説明してください!」


 急に二人は話を振られて驚きながらも説明しようとするが、アリスの誤解は中々解けない、それどころかさらにひどい方向になって行く。


「……前も思っていたが悠魔……君は――」


「ちゃんと機能しますからねっ!」


 いつだったか彼女にとても不名誉な事を言われた。今度は慌ててそれを阻止する。


「他の人より確かに控えめですがちゃんと機能しますから、それ以上言わないでください、本当にお願いしますからっ!」


「おぉう……なんかごめん」


 悠魔の剣幕にアリスは思わず誤って来る。


「取り合えず何度も言いますが、僕は行きませんし! アリスさんとの行為に及ぶつもりもないです!」


「少々残念だがそれは仕方ない、君達二人は行くのかい?」


「いや……その」


「えっと……どうでしょう」


 二人は完全に逃げ腰になる。以外に二人とアリスの関係は良好で、そんな女性にこの様な所を見られたあげくに行っておいでと言われる。アリスは悠魔以外にしか興味がない、だから二人が何をしようとどうでもいい事を二人はよく知ってる。だけどそれでも、この状況で娼館に行けるほど神経は図太くなかった。


「やっぱりやめとくか……」


「ああ、そうしよう……」


「ん、行かないのかいナナにもレイラにも黙っておくよ?」


 長年生きてる彼女は理解がある。男も女もそう言う行為は行うし、アリス自身も女性としか経験はないが行為に及んだ事はある。


 これなら蔑んだ目をされた方が二人にはよかっただろうが、残念ながらアリスの対応に二人は行かない事にした。

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