#02 旅立つ前に。
翌日、朝9時ジャスト、私はダイブインした。
▼▼▼
目を開けると部屋の中だった。
タンスに机に椅子にベッドに…
「宿?」
<ストーリークエスト:旅立ちの朝を開始します。>
すると廊下がバタバタし、ドアが開いた。
『あら?起きてたのね、ワラ。早く顔洗ってらっしゃい。今日でしょ?貴女が旅立つ日は』
「え?うん、そうだけど…」
『何で知ってるって顔ね?当然でしょ?私は貴女の親なんだから』
……マジか。
これってそう言えばそう言うタイプのゲームだった。Ⅳから手を着けてなかったから忘れてた。やっぱ、画面越しとじゃ全然違うわ…
「分かった。今行くわ」
そう言って私は起き上がり、部屋を出てリビングへ行って顔を洗った。冷たい水だったので、バッチリ目が覚めた。
「じゃあテーブルの上のご飯全部食べちゃいなさい」
「ありがとう」
テーブルの上を見る。
そこにはテーブルいっぱいのご飯が並べられていた。飲み物は一升瓶でコップなし。
……まさかこのまま飲めと?
『旅詩人はね、お酒に強く大食らいでなければ遣っていけないの。大丈夫よ、ワラ。貴女なら出来るわ。だって私の娘だもの』
「もしかして母さんもそうなの?」
『ええ、当然でしょ?』
……常識なの?旅詩人って皆そうなの?
『大丈夫よ。まだまだお酒は余るほどにあるから』
とりあえず出されている料理の数々を食べていく。
お酒も料理も確かに美味しい。でも朝から食べる量じゃないと思う。そんな事を考えてる内に料理を半分平らげ、一升瓶を飲みきった。その後、二升瓶目を母さんが持ってきた。そして食べ終えたお皿をさげて新しい料理が乗ったお皿が追加された。
―アビリティ【鉄の胃袋/1】を取得しました。―
―スキル[消化催促Lv1]を覚えました。―
追加された料理は如何にもゲテモノな料理だった。
でも勇気を持って食べると美味しかった。そしてお酒が進む料理という事もあってかあっという間に二升瓶目を飲み終え、三升瓶目に入った。
―アビリティ【鉄の胃袋/2】になりました。―
そこからペースが上がり、結局私は出された料理126皿と七升瓶全て食べきった。
―アビリティ【鉄の胃袋/3】になりました。―
―スキル[消化催促Lv3]になりました。―
『もう大丈夫ね。クエストクリアよ、ワラ。報酬に母さんが昔使ってたキャンプセットをあげるわ。』
<ストーリークエスト:旅立ちの朝をクリアしました。>
<報酬にキャンプセットを貰いました。>
キャンプセット
・テント(HPMP回復機能有り)
・折り畳み式ミニテーブル
・ダッチオーブン
・焚き火台
『この先を真っ直ぐ行って二つ目の角を曲がったところに冒険者組合があるから、まずはそこに行きなさい。』
「分かった」
『ワラはワラらしく頑張んなさい』
「うん」
『困ったら楽器弾いて歌いなさい。そうすれば大概の事は解決出来るようになるから』
「分かった」
『いってらっしゃい、ワラ』
「いってきます、母さん!」
不覚にも感動を覚えた私は、やっと我が家から旅立った。
さてさて明地姉妹に会えるのはいつになるのやら……。
アビリティ【鉄の胃袋】でAP1消費しました。
現在残りAP8です。