表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

【万U引力の法則】

  

秋の入口にさしかかった夏の終わり。

穏やかな木漏れ日の中に僕らは座っていた。

アールグレイの香りを楽しみながら読むシェリーの詩集。

彼女は隣でワーズワースを開いている。


「もう!」

長い髪を掃いながら不意に彼女が癇癪。

「どうしたんだい?」

本を読む手を止めて尋ねる僕。

「風に舞った枯れ葉が私の髪に纏わり付くのよ」

恨めしげに見上げた枝からまた数枚の落ち葉がひらり。


僕は彼女の髪から一枚の葉を取り詩集の栞にして彼女に言った。

「キミの引力が葉を呼ぶんだね」

「私に引力があるの?」

目を丸くして聞き返す。

「あるさ。質量を持つ全ての物質には引力があるんだよ」

いつか読んだNewtonに書いてあった。


「でも、私は木の葉に引き寄せられないわよ」

「それはね、木の葉の質量が小さいから引力も小さいせいさ」

ふ~ん。

そんな雰囲気の表情。


「だから最終的にみんなこの大地に居るのさ。大きな地球に引き寄せられているんだ」

僕がそう言葉を続けると突然彼女が頭を僕の肩に乗せた。

僕が不思議そうな顔をすると

「貴方の存在が地球より大きいの」

クスクスと悪戯っぽく笑いながらそう言った。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ