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2回目奮闘記  作者: 蘇芳
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日常は穏やかに過ぎていった。



恵理香は竜田の事を部屋で良く語っていた。


「今日のたつりんも可愛かったよー!」

「そう」


半分以上話を聞き流しながら適当に円は相槌を打っていた。

確かに「気をかけてあげて」と言ったがここまで仲良くなるとは驚きだ。


竜田はほんわかとした雰囲気とちまちまとした行動で小動物のようだ。


円と恵理香が校内を巡回していたら後ろから「エリー先輩、円先輩~!」と竜田がパタパタと駆け寄ってきた。


「たつりん!どうした?」

「廊下は走ってはいけない」

「すいません…まーちゃんから美味しいお菓子貰って、そしたら先輩達を見付けたので」


目を輝かせてお菓子を渡してくる竜田を恵理香は「可愛いー」と言って抱きしめている。

円はそれを見て微笑ましくなりながら竜田の頭を撫でた。


それをたまたま一花に見られてしまい 「あー!」と叫び近づいてきた。

3人は顔を見合わせる。

竜田と仲良くしていると度々、一花が一花理論を喋ってくるのだ。


「妾があれほど言うておるのに何故理解してくれぬのだ!だいたいの…」


また始まったと3人は苦笑するしかなかった。

暫くすれば善丸(ぜんまる)が一花を迎えに来る。

善丸は一花と同い年で恵理香より少し身長が高く左耳に銀のZの形をしたピアスをしていた。

飄々としており一花の我が儘もさらっと受け入れたり突っ込んだりと彼女の扱いに長けているのだ。

何時ものように善丸が現れひょいっと一花を肩に担ぎ上げる。


「姫さんが毎度毎度すいません。回収しますのでお許しを」


そう言い去って行くのはお馴染みで一花が「妾を俵のように扱うでない」と叫ぶのも見慣れたものだ。

初めて見た時は3人とも口を開けて固まっていた。


「善丸先輩最強」


恵理香の呟きに円が吹き出した。




1学期も半分以上過ぎたある日、唐突に力比べの開催が張り出された。

今回はバトル形式のトーナメントだった。

自由参加なので参加する生徒は本日より1週間以内にエントリーするようにとの事。


勿論、円は恵理香と組んで参加する。

竜田は自分の力をよく理解していないので参加は見送るそうだ。


「妾は善丸と参加するぞ!負けぬからな」


と聞いていないが一花はわざわざ報告をしに来た。

生徒会は遥都と叶真が組んで出るらしい。

遥都が教室で麗央に力比べについて話していたのが聞こえたのだと麗央は力の分類的に今回は出ないと宣言していた。

出ない宣言をした麗央がふと目が合った円に尋ねてきた。


「円ちゃん先輩。竜田ちゃんだっけ?あの子は出るの?」


麗央は円の事を始めは「円ちゃん」と呼んでいたがその現場に叶真がいて先輩は敬うべきだとの意見の元、ちゃん付けに先輩付く不思議な呼び方に定着したのだ。


「今回は参加しないそうだ」

「麗央ー、行くぞ」


円の答えに麗央は不満そうに「折角面白い力なのにざんねーん」と呟いて呼ばれた遥都に着いていき生徒会に向かった。


そう、麗央の呟き通り竜田に珍しい力があるのを円は過去の経験上知っていた。

麗央が知っているのは彼の力が関係しているのだろう。


円は深呼吸してこれからの事に集中する。

あの日が近づいてるから気合いをいれるのだ。


もう、あんな後悔はしない為に。









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