授業
先日の体力測定は散々だったが通常の授業は概ね和やかだった。
力の授業は外部生もいるので最初は基礎から始める。
内部生にとっては復習みたいなモノだ。
教師によって力の分類やレベル等の基本的な事の説明があった。
高等部には年に何回か自由参加の力比べや将来の事もあるので自分の力を全てさらけ出さない方が良いと言われた。
ただ力的に覗ける人もいるので意味がなかったり無闇に言いふらさないように忠告も添えられる。
「漠然と説明されてもわからないだろうし、まぁ分かりやすいので遥都と円はコレ浮かせてくれるか?」
教師は円達にチョークを見せる。
2人は「はい」と返事をし自分の席からチョークを空中に浮かせる。
1つはチョークだけが浮かび、もう1つは水がチョークを包み浮かせていた。
2人同時にやらせるのはどちらがどの力か推測しにくくする為だが円は風紀委員長で遥都は生徒会長で有名なのであまり意味があるとも言えなかった。
「同じ様に浮かべているけど片方は水を使ってるから一般より特殊寄りになる。力ってのは人それぞれなので同じ様に見えても全く違うんだ。小さいモノに力を使うにはコントロールが必要で2人は簡単にやってるが意外と難しいんだよ」
教師が「ありがとう」と言い2人は教師の手にチョークを納めた。
その後も基礎的な説明が続き力の授業を終えた。
終わった後に何故か一花が側にやって来た。
「羨ましいのう…妾にもそち並みの制御能力が欲しいものじゃ」
「一花先輩…」
真顔で言う一花に円は少し驚いた。
一花がこの様に悩んでるとは知らなかったからだ。
この事情を事前に知っていればあの時の出来事は…と円は少し考える。
「遥都先輩は流石っスねぇー」
そんな重苦しい考えを吹き飛ばす様なかなりのんきな麗央の声が教室に響く。
「はっはっは!崇め讃えよ!」
「えー…それは面倒デス」
「残念だ。まぁ麗央も生徒の見本となれるようになれよ」
遥都が麗央の頭をわしゃわしゃと撫でている。
「オレの力は物理的じゃないんで無理っス」
「速答か」
等と少し馬鹿らしい事を言っている。
そんな平和な様子を見て一花がクスリと笑った。
「男共はお気楽じゃな。では、またの」
遥都と麗央の会話に毒気を抜かれた一花は教室の入り口にいるゼンと呼ばれた男子の元へ行った。
麗央は一花が去るのを見て円に向かい笑顔で手をひらひらとさせた。
「わざとか…」
円は呟く。
重苦しい雰囲気を察知してわざと馬鹿馬鹿しい事をしたようだ。
それにのっかる遥都もどうかと思うが一花とは先日の件もあるので教室が変な雰囲気にならずに助かったと円は結論づけた。
「ありがとう」
円は教室を出る前に麗央の方へ行きポツリと照れ臭そうに礼を言って出ていった。
麗央と遥都は顔を見合わせて気付かれてたかと苦笑する。
ただ氷の女帝の貴重な表情が見れたので価値はあったと2人は思った。
その話を聞いて何故か叶真が不機嫌になるのはまた別の話。