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2回目奮闘記  作者: 蘇芳
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入学式前日


この世界の人々は皆、何かしらの力を使えた。

大きくは超感覚によるモノと超常現象を起こすモノの2つに分類されている。

皆に使えるが得意なモノがあり力の大きさにも差があった。


帝都学院は幼稚園から大学までの学業が学べる巨大な学校である。

ここには力の強い生徒が多く通っていた。


(まどか)もその中の1人である。

彼女はこの学院の高校2年生に進級する。

円は幼稚園から学院に通っている。

高校生からは全寮制になり、1年経ち寮生活にも慣れたものだ。


ここに来るまでが長かったと円は考える。


彼の計画にのり始まった円のやり直し人生。

まさか本当に最初から、生まれた時からになるとは思っておらず困惑したいた。

誰かに相談出来るような内容ではないので彼女はその思いをそっと胸に秘めて今まで過ごしてきた。

これまで経験した事が全て思い出せるというわけではなく、重要な部分だけは鮮明に覚えており日常に関しては相当靄がかかっている。

故に円にとって幼少の出来事は色んな意味で新鮮だった。

そんな幼少時の話はとりあえず置いといて。


帝都学院は色々と変わったシステムをしている。

その1つに生徒は皆、名字を名乗らない。

家の持つ地位や力関係等はなく誰もが学院内では平等であると言うのを校訓にしているからだ。

それでも名前で呼ぶのは畏れ多いと勝手に諢名を付けられ呼ばれている生徒が何人もいたりする。


円も不本意ながらが諢名で呼ばれている1人だ。

腰くらいまである黒髪に女子にしては高めの身長に少しきつめの顔立ち。

見た目でか性格込みでか円は氷の女帝と呼ばれている。




春休みが終わり明後日からは新学期になる。

円はこの春休みは実家には戻らず明日の入学式の準備を委員会として行っていた。

委員会の仕事が一段落したのでリビングで休んでいた。

寮は2人で一室となっており、それぞれに個人部屋もあるが台所や風呂等は共有である。


明日の入学式、そこからが円の勝負の始まりだ。

それなりの地位につかねばならぬ目標を持ち高校に入学したのは去年の事。

中学での下準備として委員会に部活動、成績もそこそこの結果を出した。

その結果、円は高校で風紀委員になれたので万々歳だ。


「はぁ…」


円はこれからの事を考えると溜め息をついた。

目の前が急に陰り頬を引っ張られた。


「ほーら。スマイル、スマイルっ!」


そう言いながら円の頬をぶにぶにとするのは幼稚園からの付き合いで気心しれている()()()だった。


「にゃにしてるのかい?」

「円。笑う門には福来る!だ」


恵理香に頬を引っ張られてるせいで上手く発音出来ない円を見て笑いながら手を離した。

と思ったら今度は恵理香は円に飛びついた。


「ただいま。やっぱり日本は良いよー」

「おかえり」


恵理香の両親は旅行が好きで、この春休みも海外に行っていた。


「入学式間に合って良かったよ。仕事任せきって悪かった」

「旅行中なのに資料整理とかしてもらって助かった」


恵理香も円と同じ風紀委員なのだが3年の先輩が卒業してから決まり、家族旅行の予定はその前から決まっていたので今回は旅行を優先させたのだ。


「もう仕事は全部終わったんだっけ?」

「そうだ、後は明日だ」


円が恵理香の問いに答えれば、眩しいばかりの笑顔で彼女の部屋に連行され旅行の荷ほどきを手伝わされた。




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