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3話

何か最終行は死亡フラグっぽいですが、勿論打ち砕きますよ。

中国軍による鹿児島空爆未遂事件は即座に首相官邸や各艦隊、そして陸軍部隊に伝えられ、九州四国中国地方には戒厳令が敷かれた。


巡洋艦扶桑CIC(戦闘指揮所)

私は慌ただしいCICで乗員たちを見守っていた。

「レーダーに反応!!サイズは戦闘機級、機種はSu-27です!」

「そうか・・・・・・良し、ソイツの距離及び速度は?」

「距離200(㎞)!!速度540kt!(864㎞)、数は12」

(まだSAM(対空誘導弾)の射程ではないが・・・・・・)

「目的は不明だから一応SM-6(スタンダード)を撃てる様にしておけ」

「目標より高速飛翔物体分離!!ASMの様です!」

目標(ターゲット)情報(インフォーメーション)をミサイルへ入力、第1迎撃ラインは100km地点とする、75㎞地点までは慣性航法、それ以降は自律(アクティブ)誘導(ホーミング)へ変更する!」

扶桑艦長の西村健吾大佐がそう命じると副長で砲雷長の猪口修一中佐が射撃命令をいつでも下せるように席を立つ。

「・・・・・・用意、撃て(サルヴォー)!!」

猪口中佐がそう命じると扶桑が装備する8基96セルのMk-57VLSの内、6セルの蓋が開くとSM-6と言う艦対空誘導弾が飛翔する。

SM-6は前任者で非常に優れた性能を有するSM-2以上の射程を有し、AMRAAMのシーカーを搭載した超高性能艦隊防空ミサイルである。

あ、そうそう、私が属する武蔵級巡洋艦はこのSM-6に加えてESSMとVLA、そしてSSM-3を対地・水上攻撃用に搭載していて、水上攻撃能力も対空攻撃能力も世界トップクラスなんだよね。


中国軍のミサイルは超低空を高速で飛翔し日本艦隊へと接近していた。


扶桑FIC

(さて・・・・・・敵戦闘機はどこから来たんだ?)

司令はその敵戦闘機がどこから飛来したか、疑問に思っていた。

「空母山東機動部隊が台湾沖合400km地点に遊弋しているそうです、目標は恐らく・・・・・・」

副官がそう言うと艦隊司令の島崎少将は通信士官にある事を聞いた。

「そう言えば潜水艦隊はどうしているか?」

「はっ、敵水上部隊を発見した潜水艦高潮が撃沈された模様です」

「そうか、高潮がやられたか、だが敵水上部隊に関する情報が手に入ったと言うなら無意味な犠牲では無かった・・・・・・・」

司令は無表情でそう呟いたが、薄っすらと彼の瞼には涙が浮かんでいた。


仕方あるまい、高潮の艦長の宮木中佐は島崎少将が呉鎮守府勤務時に彼の副官として献身的に畑違いとは言えサポートしてくれた事があるからだ。

(宮木、お前の事は忘れんぞ・・・・・・)

島崎は心の奥底でそう呟いた、だが彼はすぐに自分のやるべき事を思い出した、軍人である彼は勤務中に私情が表れる事は許されない。

最も、島崎の様な軍人もそうだが、空港職員や警官もそうである。

島崎は副官たちや幕僚達に状況分析を続けるように命じた。


一方、戦闘指揮所では・・・・・・・

追跡番号(トラックナンバー)1002~5及び1009~1012を撃墜、1001及び1006、7、8は依然として接近中!」


巡洋艦扶桑やイージス巡洋艦衣笠、足柄の放ったSM-6は6機のSu-27が放った対艦誘導弾12発中9発の撃墜に成功するが、3発は依然として艦隊へと接近を続けていた。

秋月型巡洋艦が手始めにSM-6を放ち、高波型巡洋艦や村雨型巡洋艦もそれに続いてESSMを放ちそのミサイルを迎え撃とうとする。

伊勢から飛び立ったF-35もAAM-6の照準を対艦誘導弾やSu-27に対して合わせる。

10分後、戦闘が終結したものの、日本艦隊には被害は無かった。


日本国防海軍の第1遊撃打撃艦隊は何とか中国軍の攻撃を凌いだが、中国軍は既に台南方面を制圧、フィリピンはほぼ全土が陥落していた。


沖縄方面へ向かう途中、私はある事を考え込んでいた。

そのテーマとは自らの存在意義についてだ。

私がやらねばならぬ事は国を、国民を護り、侵略者を撃退する事だ。

だが、私は本質的に戦いなどは望んでいない。

自らの存在が抑止力となっているのが軍艦にとって最も良い状況であるが、軍艦は兵器であり、本質的には戦いの道具だ。

そしてその軍艦は艦隊を組んでこそ真の価値が発揮されるのである。

そして私には私を信じて共に戦う僚艦と乗員(戦友達)を護る事が求められる。


この巡洋艦の艦魂(化身)たる私も人間同様に苦悩も多い。

「扶桑さん、どうしたのですか?」

私の横に転移してきた暁ちゃんがそう言うと私はふと我に返った。

「あぁ、ごめんごめん、考え事をしてたよ・・・・・・」

私がそう言うと、あの(輸送船団を離脱させる)時に輸送船団の旗艦であった暁に御守りを渡した事を思い出した。

「ありがとう、扶桑さん・・・・・・あの時みたいに死なないで下さいね」

暁がそう言うと私は微笑み、こう言った。

「あの時とは違う、風はこちらに吹いている」

あの時と言うのはトラック沖海戦で暁を旗艦とした輸送部隊を逃がすために艦隊総旗艦で大和型戦艦の相模や重巡羽黒等と共に米艦隊の前に立ちはだかった事であり、あの時、私と相模達5隻の犠牲がなければ米戦艦7隻が輸送船団を襲撃して輸送中の陸軍将兵や陸軍の物資が海没したであろう。

だからこそ、私は彼女に御守りを渡し武運長久を祈り、自らの運命を打ち砕いて、その先にあるなにかへと進もうとする。


私は自らの存在によって祖国を護れてこそ、私には存在意義があると結論付けた、それはかつてビッグ7の一員として日本の誇りと謳われた戦艦長門に陸奥が日本の軍事力の象徴であった事などが挙げられる。


扶桑CIC(戦闘指揮所)

「敵艦隊から多数の高速物体接近中!!」

砲術員の一人がそう叫ぶと各艦が戦闘に備える。

扶桑艦上構造物最上部で私は空を睨む。

何れにしろ、考え事をしている内に敵制海権下へ侵入したのである。

「みんな、行くわよ・・・・・・祖国を護り、領土を取り戻しなさい!!」

私は軍刀を抜くと空へと掲げた。


もう私の目の前で二度と僚艦や乗員(戦友たち)を失いたくない。

私は胸にそう誓っている、だからこそ私は前線での戦いを望む。

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