1話
次回から2020年秋に時系列が飛びます
2017年10月14日、横須賀港
午前中に横須賀に入港した私は巡洋艦霧島の隣に停泊すると着任を知らすべく第1国防艦隊旗艦のヘリ空母日向へ私は向かった。
日向船体上
「第1国防艦隊第21戦隊、ミサイル巡洋艦扶桑着任しました!!」
「アンタが扶桑か、私は第1国防艦隊旗艦ヘリ空母日向、これからよろしく頼むぞ、と言うか、扶桑も戦艦時代と変わらないじゃねーか、そう言えば1945年4月の横須賀以来だな・・・・・・あの時はトラックで要塞を建築する為に私もアンタも輸送船団の護衛に駆り出されてたなぁ・・・・・・」
「いえいえ、日向さんも変わらない様で・・・・・・」
「あぁ、それはそうとアンタの横に停泊していた明日には霧島が佐世保に転属予定だったよな、じゃあ21戦隊の資料の引き継を頼むぞ」
「はいっ!!」
私はそういうと日向さんに言われた通りに霧島へと転移した。
霧島艦上
「おう扶桑か、来ると思っていた、これが21戦隊旗艦としての資料だ、私は明日から24戦隊旗艦として佐世保に移る、あんたが私の代わりに日向達をサポートしろよ、何せあんたは最新鋭艦なんだからな」
「はい、わかりました、貴方も戦艦時代と変わりませんね・・・・・・」
「そうか!?良いや・・・・・・私は今日の午後にも出るつもりだ、はぁ、本当にあの隣国は迷惑だわ・・・・・・」
霧島さん、あなたは戦艦時代も本当に面倒臭がりでしたよね・・・・・・
私はさっき受け取った資料を手に自分の船へと戻った。
ミサイル巡洋艦扶桑・士官室
「おい島木、俺と金田は公試が終わった直後にこの船の化身とか自称している軍服を着た女の人を見たんだけどさぁー、信じてくれるか?」
「おいおい倉本、冗談はいい加減にしろよ・・・・・・まぁ、あんたが大ほら吹き野郎だって事は兵学校時代から有名だけどさぁ・・・・・・」
倉本機関大尉が海軍兵学校同期の島木砲術中尉にそう言うと島木は呆れた様な表情をしつつ倉本の話を聞いていた。
「金田、島木にこないだの話をしてやれ」
「島木、あんたは信じないと思うが本当にいたんだよ、んで物凄く凛々しい武人の鏡の様な女の人だったんだよ・・・・・・」
「おい金田、お前まで頭が可笑しくなったのか?ちょっと二人ともカウンセラーの資格を持った補給課の宮本大尉の所に行って来いよ・・・・・・」
「いやいや島木、マジでいたんだよ、マジで」
「まぁ、俺が遭遇する訳は無いだろうし・・・・・・って!?・・・・・・お前らの後ろに女の人の幽霊がぁあああ!!」
「幽霊とは失礼しちゃうわね、私がこの船の化身、扶桑です、貴方は砲雷科の島木中尉、ポジションは12㎝主砲の射撃指揮官よね」
「はい、そうです・・・・・・って・・・・・・マジかよ!後、本当にこの船の化身なのか証明できる話をしてくれよ!」
「私の前世・・・・・・1945年の4月、トラック沖で輸送船団襲撃をすべく出現した米戦艦コロラドを撃沈した末に、私は僚艦で大和型戦艦相模と共に多数の米戦艦を撃破したけど、相模さんが中破で済んだのに対して私は前部砲塔以外を全て損傷してて、私が仕留め損なった米戦艦メリーランドの反撃を浴びて私は南冥へと消えていったわ、そう沈む最後の最後まで火災が消えなかったわ、でも最後の艦長は部下の進言を聞かず、私と運命を共にしたわ、、今の私の艦長は確か私と運命を共にした宮田大佐の縁戚だったわよね」
「そ、そうなんですか!?」
「そうよ、私が就役した日の夜、艦長は艦内通路で私に話しかけて来たのよ・・・・・・そして私は前世の話を艦長にすると、彼は宮田少将が縁戚であると話をしていたわ、私の艦長に野崎大佐が選ばれたのは何かの因果ね」
「へぇー、そうなんですか・・・・・・」
非番だった金田たちが話を終えると彼らはすぐに当直勤務へとついた。
金田、倉本、島木の3人の士官は中々面白い連中だ、私はそう思いつつも艦上構造物の最上部で今宵の月を眺めた。
あの時と同じで雲一つない空に浮かぶ満月は美しいの一言に尽きる。
私は1951年の朝鮮戦争以来、横須賀が極東の真珠湾として機能している事も日向さんから聞いており、米軍艦の皆さんにも挨拶をしていた。
数年後、私と乗員達は極東アジア情勢を揺るがしかねない大事変を経験し、幾多もの修羅場を潜り抜ける事になる。