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ルキスの剣  作者: 夜津
第一章 聖剣の喪失
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番外編1 とあるモブ騎士の一日

*オマケ番外編です。

聖剣盗難事件が起きる前の、平和な王都のとある一日。


 ○月×日…天気(晴)


 【5:00】 


 今日も爽やかな朝だ。僕は珍しく早起きして、騎士団訓練広場へ向かった。

 まだ僕は新米の下っ端だし、同期の中でもすごく弱いから多少はやる気を出そうと思う。


 そういえば、この広場では自由に相手を決めて手合せできるというけど、よく隊長や小隊長クラスの人も来てるのだとか。

 特に僕が最近よく聞く名は、町警備隊の小隊長だという人の名前。強さだけなら隊長にも匹敵するらしい。


 広場で会った同期生が、僕を人だかりの方へ連れてった。そこで、びっくりするほどカッコいい青年が鬼のように暴れまわっていたのを目撃!

 どうやらこれは朝の訓練の名物らしい。鍛え上げられた体、きりっとした表情、つやつや輝く黒髪…。まさに男前。

 その人が噂に聞く小隊長、シフィルハイド殿だという。男にも女にもモッテモテらしいけど…確かにこれは男でも…惚れ…い、いや!憧れるだけだから!


 シフィルハイド殿は向かってくる相手を呆気なくかわして打ち倒し、さらに倒れている相手に爽やかな笑顔で手を差し伸べる!うわああ!こんな人がいていいのか!

 僕より少し年上って感じだけど…なんだか眩しい。…うん、確かにこの人を見られるなら早起きも楽にできるかもしれない。


 僕がこの人に勝負を挑めるようになる日は来るんだろうか…。



 【7:00】


 朝礼を終えて宿舎で朝飯を食べる。僕はこの王都じゃない田舎で暮らしてたから、王都の食事はちょっと野菜が少ないように感じる。

 今日の僕の仕事は相変わらず、町の警備。ふらふらと歩き回りながら事件が起きないか見張る、退屈だけど大切な仕事だ。

 僕もいつかは出世して、城の警備の隊に入るんだ…!それまではここで下っ端生活。今日も一日頑張ろう。


 それにしても…入隊してから3か月経つけど、僕はまだうまく鎧を着こなすことができない。

 歩くたびに情けなくカチャカチャ言うの、どうにかできないかなぁ。



 【9:00】


 迷子の女の子を助けた。聞けば、お使いに来たらうっかり迷子になったのだという。金髪で笑顔の可愛い小柄な子だった。

 薬草屋で暮らしているんだって。可愛いなぁ、妹にあんな子がいたらいいだろうなー…。今度、その薬草屋に行ってみよう。


 

 【11:00】


 屋根の上を走る少年を見た!慌てて近くの先輩に聞いたら、王都では有名な少年らしい。すごく身軽で、数年前まで盗賊をしてて王都中を騒がせてたんだって。

 今ではすっかり落ち着いて、町の人気者らしいけど…。屋根の上は危ないから、できれば普通に道を歩いてほしいなぁ。


 確かに見た感じやんちゃそうに見えたなぁ。けど、ガラが悪いとかじゃなくって、どっちかというと子供っぽさを残した感じ?

 途中、少年が時計塔の屋根で立ち止まって、屋根に群れてた白い鳩と戯れてるのが見えた。とても盗賊してたなんて思えない無邪気さを感じるんだけど…!


 おっと、僕も仕事仕事。見回りに行かなきゃ。


 

 【12:30】

 

 食堂が何やら賑やかだったから、見に行ってみた。そしたら、料理ショーをやってた。自由だなぁ。

 料理の腕に自信があるから、剣じゃかなわないが料理で勝負しろ!と叫んでる人が。あの制服は、城の警備の人かな?


 喧嘩を売られてるのはあの、朝見かけたシフィルハイド殿だった。笑顔で承諾して準備を始めた途端、数人のベテラン騎士の先輩が食堂から逃げ出した…。

 お前も逃げたほうがいいぞって言われたけど、なんでだろう?…その答えはすぐ分かった。


 …試食からは逃げた。シフィルハイド殿…天才的だ…料理でもあのような才能があるなんて…!…わ、悪い意味で…。

 試食から逃げきれなかった同期生の友に、祈りをささげておこうと思う…。



 【14:00】


 疲れたから建物の影で休んでたら、コソコソとした怪しい青年が市場へ向かって行った。城の方から来たみたいだけど、誰だろう?

 帽子とか服で隠してるけど、一瞬見えたあのポニーテールの金髪、切れ長の金の目…あと、肌に描かれた模様…。

 どっかで見た気がするんだけど、…うーん、思い出せない。誰だったのかなぁ。


 気になって追ってみたら、市場で装飾品を買ってまたどこかへ消えていった。謎の青年…、でもやっぱりどこかで見た気がするんだよなぁ。


 

 【15:00】


 休憩に宿舎へ戻ろうと道を歩いてたら、城から王家護衛のすっごいエリート騎士の皆さんが慌てたように町へ走って行ったのを見た。

 僕じゃ手が届かないようなエリートの先輩たちだから、気になったけど事情を聴く勇気はなかった。あれだけ慌ててどうしたんだろう?


 後で宿舎に戻って聞いたら、なんと王様がお城から逃げ出してた…って、すごいな。でも、王様ってどんな人だっけ?

 僕は最近ここに来たからいまいち分からないんだけど。無事に見つかったらいいけど…。


 

 【15:30】

 

 王様、確保のニュースが舞い込む。

 よくあることだからって騎士の先輩が言ってたけど…いいのか、それで。この国やっぱり平和だなぁ。

 結局王様ってどんな人だったんだろう?

 僕みたいな下っ端じゃ、王様には会えないから…。気になるなぁ。


 

 【17:00】


 夕方の町の見回りに行ってたら、町はずれの人の少ない広場でシフィルハイド殿を発見!だけど、誰かと喧嘩?言い合い?してるみたいだ。

 って、あれはあの屋根の上を走ってた少年だ!どうしたんだろう?けど、あの様子だとどうやら知り合いだったみたいだ。

 けどどうしてかなー。あんな爽やかな好青年って感じのシフィルハイド殿だけど、あの少年と話してる今はちょっと雰囲気が違うような。

 気のせいかな?


 一方的に少年が怒ったように叫び、シフィルハイド殿はさらっと流してるみたいだ。少年が殴りかかるのをひらひらと避けてる。

 これは最後まで見届けてると時間がかかりそうだ…。僕は帰ろう。



 【20:00】


 夕飯と風呂と点呼を終え、勤務日誌を書く。ふぅ、今日もいろんなことがあったなぁ。

 騎士団に入ってからの生活は、忙しかったり退屈だったり…だけどいつも濃い毎日を送っている。


 明日もまた早起きして、朝の訓練場に行ってみようっと。

 

 そういえば、シフィルハイド殿のファンクラブが密かに騎士団の中で存在すると聞いた…。

 シフィルハイド殿に限らず、人気の騎士には密かにファンクラブがあるのだとか。…誰だ運営してるのは。

 ぼ、僕もいつか出世したら僕のファンクラブとか…な、なんちゃって!

 それに騎士団の男女比って4:1だからね!女の人少ないからね!モテるなら女の人にモテたいかなー、なんて…。


 ううむ、シエゼ・ルキス騎士団……所属しておいてなんだけど、謎が多いなぁ…!


 

 【22:00】


 消灯時間!さあ、明日の仕事もしっかり頑張るぞ!


 それじゃあ、おやすみ!

  


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