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すのーでいず   作者: まる太
第三章
68/84

海に来たよ 4

「いつまで見てるの?」

 僕が目を潤ませながら真っ赤な顔で文句を言うと、

「いつまででも見ていたい」

「雪姉ちゃん、いい……」

「雪くんは肌が白いから赤くなると綺麗ですね」

「…………」

 男性陣からはロクデモナイ返答があった。

 そこは、悪い! とか言って目を逸らすという謙虚な反応が必要だと思うんだ。

 にも拘らず、現状はガン見状態。

 太一は何も言わなかったけど、僕のビキニトップから出ている胸を見て、手をニギニギさせているのだから考えていることは一目瞭然、余計性質が悪い気がする。

 かといって隠したら又母さんから文句言われそうだし……

 不幸だ! やっぱり海なんて来ても全然楽しくないよ。

 ホテルでネットゲーム三昧して方が有意義だよね!

「ねぇ、そろそろ、止めて欲しいよぉ」

 仕方ないので、甘えた声を出してみる。

 この中で一番身長が低い僕だから、上目遣いにするのは簡単――って、気付かない振りをしてたのに、僕が一番小さいんだよね。

 中学1年生の冬耶にすら抜かれるなんて、どうして僕だけ身長伸びないんだろ?

 母さん似が僕だけで、氷兄と冬耶は父さん似だから身長が高くなるという説もあるけど、 実際、母さんは僕より高い。

 男だった時ですらそうなのだ。

 女の子になって更に差が開いたというのが悲しいよね。

 はぅ……

 等と考えている間にも、僕のポーズは継続中なんだけど……

 うん、まるで効果がないね。

 逆に興奮している変態が3人いる。

 唯一冬耶だけが、止めてくれた。

 やはり、お前だけだよ冬耶。僕が守ってあげるからね!

 それにしても、一番奇妙なのが此処迄恐怖の女王様に何の変化が無いことだ。

 それが気掛かりといえばそうなんだけど、もしちょっかいを出して、寝た子を起すような真似はしたくない。

 でも、このままだと恥かしいのは終わりそうにないし……

 現状を打破する為に母さんを探してみると何時の間にか荷物をガサゴソしているのが目に入った。

 変態ズの視線を気にしすぎていて母さんまで注意している余力がなかったのだ。

 どうりで静かだった訳だね。

 このまま永遠に探してるものが見つからないといいよ。

 母さんのことは一先ず置いておいて、残り3人の攻略に手をつけることにした。

「ねぇ、僕のお願い聞いてくれないの?」

 現在継続中のポーズに小首を傾げて拗ねた口調で言ってみる。

 最近伸びてきた白い髪が目にかかり、それを手で払う。

「見たい、だが、雪のお願いなら聞かねばならんよな……」

「しゃーないなぁ、雪貸し1やからな」

 葛藤していた氷兄と太一がこれでやっと言うことを聞いてくれた。

 目を逸らした後もチラチラ見られているけど、ガン見よりはなんぼかマシだ。

 残りは父さん――

 くぅ、この手は使いたくなかったけど、背に腹はなんとやらだよ!

「パパ。お願い見ないでよー」

 今迄言ったことがない単語をついに吐いてしまう。

 その瞬間――赤い顔が完熟トマトになるぐらい真っ赤になったのを感じる。

 僕がダメージを受けてどうするんだよ!

 だが、その効果は確かにあった。

「な、雪くん! ついに僕のことをパパと呼んでくれるのですか。判りました。すぐ向きます。ええ向きますとも!」

 父さんは凄い勢いで回れ右をして右腕を目に当ててうううと声を出して泣いている。

 そこまで嬉しいのだろうか? 考えたら負けな気がする。

 だけど、これでやっとプレッシャーから開放されたよ。

 はぅ、長かった。もう帰りたいよ!

 しかし、僕の開放された時間は長く続くことな無かった……

「あらあら、皆どうしたの? 雪ちゃんの肢体に悩殺でもされたのかしら?」

 恐怖の女王様が覚醒されたからだ。

 女王様は右手に長方形型のチューブ容器、アルテマウェポンを所持していた。

 出来れば、桃○のように数ターンでミニ女王様になって被害が少なくなのを祈るばかりだ。

「いや、雪が恥かしがるから、遠慮しているだけだ」

「うん、雪姉ちゃんにお願いされたら聞かないとね」

「恥じいる美少女はめっちゃストライクですわ!」

「雪くんが僕をパパと呼んでくれたのです!」

 氷兄と冬耶までは、なんとか母さんの返答になってる気がするけど、太一と父さんは自分の世界に入ってるだけとしか思えない。

 それに、いつ父さんはこっち向いたの? 見えなかった。

「あら、そういうことなの。本当に皆雪ちゃんに弱いわね。雪ちゃんのような美少女に頼まれたら断れないのも判るんだけど、それじゃ、鍛える意味が無いじゃないの」   

「でもさ」「でもね」「でもですね」「そんなん言われても」

 4人はすぐ不服を訴えるが、母さんに「はぁ……」と溜息をつかれて面目ないとでもいうように俯いた。

「まぁ、いいわ、やっぱりこの私がしないといけないみたいね!」

「え!」

 恐れていた展開に遂僕も声を出してしまう。

 ミニ女王様にはなりそうにないよ!

「雪ちゃん、ちょっとこっち来なさいな」

 母さんが手招くように言うが、僕は行きたくない。

 この2m近くの距離を自分から縮めるなんて、自ら斬首台に向かうようなものじゃないか。

「ねー、氷兄、アイス奢ってくれるんだよね! 今食べたいなぁ」

「おおそういえばそうだったな。腕組んでいこうか!」

 氷兄は僕の思惑通りに、すぐ歓喜して乗ってくれた。

 この際、母さんよりは氷兄の腕組みぐらいたいしたことないよ。

 無視された形の母さんが眉をピクリと動かして氷兄をジト目で眺める。

「氷君、それは後にしてね」

「あ……うん、判った」

 その氷兄は母さんの一言であっさり僕を見放してくれた。

 腕組みとか二度としてあげないからね!

 氷兄を睨んでも、母さんには勝てませんと首を高速で左右に振るばかりだ。

 気持ちは判るけど、頼りにならないよ!

「太一、あっちに遊びに行かない? 2人だけで!」

 氷兄と一緒だと苛められるからね。太一に賭けるよ!

「おお、ええな。どこ行こか? 今すぐやよな」

 太一もすぐ乗り気になる。

 ふふふ、やっぱり持つべきものは親友だよね。

「太一君、もうちょっと待って頂戴ね。だ、い、じ、な用事があるのよ」

「そですか、わかりました」

 太一も母さんにあっさり懐柔された。

 桜子オバサンを敵にしたくないと顔にありありと書いてある。

 なんで! 僕の味方は居ないの?

 父さんは――うん、駄目だ。

 この格好で写真撮らせろとか言うに決まってるもん。絶対無理。

 残ったのは冬耶か……母さん>冬耶、考えるまでもないね。

 はぅ……どうしよう!

「雪ちゃーん。は、や、くぅ♪」

 母さんは艶のある声を出してるけど、その捕食者の目をなんとかして欲しい。

 絶対近寄っていく人なんていないよ!

「ええとね。僕の代わりに冬耶でどうかな!」

 ごめん、冬耶、後で好きなだけ甘えさせてやるからな。

 僕の盾になってくれ。

「へ? 僕でもいいのお母さん?」

 冬耶は純粋だ。うん、摩れてないね。

 このまま育って欲しいよ。

「冬君じゃ駄目なのよ。ゆ、き、ちゃんじゃないとね!」

「そっか」冬耶は素直に頷く。

 母さんもそんなにはっきり僕の名前を言わなくてもいいんじゃないかな?

「ええと、僕は行きたくないなぁ、あははははは」

 もう笑って誤魔化すしかないね。

「い、い、か、ら、来るの!」

「はい」

 くすん、母さんに逆らえる筈も無く、僕は渋々母さんの元に向かうのだった。

 たった3歩で付いたけどね!

 いいじゃないか、恐いんだから。絶対不幸になるのが判るんだからね。

「で、何? 僕は忙しいんだからね」

 見られて恥かしがってただけで何もしてなかった? そんなこと忘れたよ。

「はいはい、別にそんなに時間が掛からないから安心しなさいな。これをしとかないと雪ちゃんの白い肌が酷いことになっちゃうわよ?」

 僕の白い肌?

 我ながら綺麗な肌をしていると思う。

 つるつるしてるし、触り心地もいい。

 きっと、皆満足出来るだろうね? って誰が満足するの!

「それって何?」

 母さんが掲げるように右手で持っているアルテマウェポンを見て小首をかしげる。

「日焼け止めに決まってるじゃないの。雪ちゃんは白くて肌が弱いからしとかないと、大惨事になって夜眠れなくなるわよ」

「ああ、そういうことかぁ、確かにそうかも」

 泳ぐ気なんてさらさら無かったから、来る前に塗ったりしてないんだよね。

 痛いのは嫌だから当然かもしれない。

「ということだから、そこに横になりなさいな」

 母さんはレジャーシートを指示している。

「え? なんで寝る必要があるの? 僕が自分で塗るからその容器貸してよ」

「それだと、背中とか塗れないでしょ? 一番焼けるのが背中なのに意味がないわ」

 むむ、それもそうか、一番表面積が広いし、僕の手じゃ無理だよね。

 だけど、なんだろ……いやーな予感がするよ。

「まさか、ママが塗ってくれるの?」

「当然よ、ママが隅から隅まで塗ってあげるからね!」

 母さんは凄いイイ笑顔をしていた。

 そして、隅までって……なに? 

「ええと、他の人がいいな?」

 そんなのを見たら、僕がこう言うのも仕方がないよね。

「ふーん。他って誰かしら?」

 そう母さんに問われると困ってしまう。

 候補は母さんを除くと4人。

 順番に考えてみる。



 氷兄は? 

 変態だ。限りなく変態である。

 邪なことしかしてこないのは間違いないよ、即却下だね。



 父さんは? 

 実の親が僕に何かする筈が……いや、その実の親の片割れである母さんを却下したのだから、危険だ。没にしよう。



 ならば、太一か?

 日頃、揉ませろとか煩い人間に直接肌を触らせるのは自滅してる気がする。

 問題外だね。



 となると、冬耶?

 まだ中学1年生だし、変なことはしないだろう。

 それに僕が可愛がっている弟なんだから問題ないよね。

 うん、そうだ。



「冬耶、塗ってよ?」

「え、僕? いいの?」

 何故か冬耶が顔を赤らめているけど、きっと暑いからに違いない。

 お前を信じてるよ!

「えー、ママは? 雪ちゃんの肌をスリスリしたいのよ」

 それが本音か!

「ママは父さんを塗ってあげてね、僕は冬耶にしてもらうから」

「ああ、お願いできますか?」

 父さんにそう問われると、母さんもまんざらでもないらしい。

「判りました。隆彦さんも私に塗って下さいね」

「勿論ですよ」

 いつのまにか、二人だけの空間をかもし出している。

 本当に仲が良いよね。

「それじゃ、これは冬くんに渡しとくわね。私達はもう1本あるからそれを使うわ」

 母さんはそう言ってまた荷物をガサゴソしだした。

 日焼け止めを受け取った冬耶はどうしよう? と僕の顔を伺っている。

 氷兄と太一がズルイ! 俺たちにも塗らせろみたいな戯言を言っているけど放置だね。

 それと……

「ああ、氷兄達は僕が塗ってもらってる間に、周りを監視しといてよ。他の人に見られたくないからね」

「はっ! それもそうだな、お兄ちゃん♪ に任せとけ! 雪の裸は他の野郎には見せん!」

「ああ、オレが雪の柔肌を守ってやるわ!」

 急にやる気になったけど、微妙に嬉しくないのはなんでだろう?



 母さんと並ぶようにして、レジャーシートにうつ伏せになり、ビキニトップの紐を解く、その間に冬耶が僕の横に来て準備していた。

 気のせいか鼻息が荒いような……まさかね。 

「それじゃ、雪姉ちゃん塗るよ」

「うん、お願いね」

 冬耶の掛け声で覚悟を決める。

 人にやってもらうってくすぐったいよね?

「ひゃん!」

 その瞬間、冷たい感触につい声を出してしまった。 

 

やっぱりサービスシーンは必要ですよね。

次回冬耶がどうするか、楽しみですね(にやにや)



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