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すのーでいず   作者: まる太
第三章
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忘れたころに…… 1

 6月になり、星桜学園の制服も衣替えされた。

 紺に桜色のラインが入った、チェックのスカート。首周りに桜色のラインの入る丸首の半袖ブラウス。それに、スカートと同色のリボンタイという組み合わせだ。

 ぶっちゃけ、ブレザーの上が消え、半袖ブラウスになっただけとも言う。

 それにしてもこの格好、よろしくないです。とても心細い感じがするんだよ。

 絶対、ブラとか透けて見える気がするもん。

 母さんに聞いたら、「見せ付けてやればいいのよ」とかいう訳の判らないアドバイスだった。

 遥に至っては、「別に今更って感じ?」まるで眼中にないみたいだ。

 うーん。恥かしいの、僕だけなのかな?

 でもなぁ。うちには変態が居るし、嫌なんだよねぇ。

 キャミソールを着るのも手らしいけど、此処で一つ問題が……

 僕、暑いの駄目みたい。さすが、雪女! 6月の段階でも結構しんどいんだよ。

 女になってから割り増しした感じがする。

 真夏とかどうしようと心配になってくるね。


 

「はぁ」暗い気持ちで学校に登校している時だった。

「ひょっとして雪にゃん?」大学生ぐらいだろうか? 道端で男の人に声を掛けられた。

 僕は怪訝な顔をその人に向ける。

「うわー、実物の雪にゃんだ。応援してるから!」

 そう言うと僕の反応を無視して去っていった。

 ……何今の? 新手のナンパだろうか――でも、なんで名前知ってるんだろ?

 というか何故『にゃん』さっぱり判らない。

 その後も、同様のことが繰り返され、

「がんばって雪にゃん!」

「本物の方がもっと可愛い!」

「握手してください!」

 とか理解不能なことまで言われる始末。ちなみに握手はしてあげたよ。

 女性だったしね。


 

 悶々とした気分で教室に入ると既に楓ちゃんが登校していた。

 遥と太一はまだみたいだ。

 僕が自分の席に付くのを待ってたかのように、楓ちゃんが目を輝かせてコッチを向いた。いやーな感じがぎゅん○ゅんします。

「雪ちゃーん見たよー。もう何で言ってくれなかったのぉ!」

「見たって何? 楓ちゃんが見れるなら、ネ○ーランド?」 

「へ? なんでピー○ーパンの世界なの?」

 僕は人の悪い笑みを浮べる。

「だって、純粋な子供だけが見れる夢の世界でしょ♪」

「むぅ、雪ちゃんそんな酷いこと言うんだ……」

「別に酷くないよ。純粋って誉めてるんだから♪」

「そ、の、あ、と、の、子供って部分が余計なんだよ!」

「そうかなぁ? 楓ちゃんが子供って言うのは世界の常識でしょ? 今更じゃない」

「むきー、そうやって馬鹿にしてればいいんだよ! 雪ちゃんの身長なんていずれ抜いてみせるんだから!」 

 ぐさっ……心にト○ピー大の角が突き刺さった。

 身体測定の時、確かに楓ちゃんの身長は伸びていたのだ。一方の僕は下がっている。

 僕って伸びるのだろうか? いやいや、まだ成長期。

 シュークリームを食べていれば育つはず! 

 同じ乳製品だし、牛乳みたいなものだよね?

 この話は不味い、お互いに傷口を深くするだけだ。

「それで、さっきの話だけど何を見たの?」

「雪ちゃんが変なこと言うから、話がずれたんだよ! ええとねぇ」ムフフといやーな顔が復活する。

「雪にゃんのことだよ♪」

 またそれ? 

「何故か今日登校してる時も、見ず知らずの人からその名前言われたんだよねぇ? どういうことなの?」

「あれ? 雪ちゃんが自分でやってるんじゃないの? 凄い人気が出てて、もうすぐ1位になりそうなのに」

「1位? 判らないなぁ。何かのランキングなのかな?」

 楓ちゃんが先程までと違い、困惑した感じになった。

「本当に雪にゃんのこと知らないの?」

「うんうん。まるっきり心当たりが無いね」

「そっかぁ。じゃーコレを見てもらったほうが判り易いかなぁ」

 楓ちゃんがピンク色のスマフォを取り出し、僕にサイトを見せてくれた。

 タイトル名『ネットアイドルは君だ』

 ……名前からして、嫌な展開しか思いつかない。

 そのまま楓ちゃんはURLをクリックし、ランキングのページを開いてくれる。

 1位、『雪にゃん♪』名前と一緒に、どこかで見た猫耳の写真が掲載されていた。

 恥かしそうにポーズしてるのが初々しいね――って忘れたい黒歴史じゃないか!

「おおお、1位になってるよ! 昨日まで2位だったのに――さすが雪ちゃん!」

「…………………」

 更に、その名前部分のURLをクリックすると、公園でポーズを取る僕の写真が複数枚確認された。

 最後に、応援してにゃん♪ とかいうふざけたコメントまで。

 くくくくく、殺す! 

「ゆ、雪ちゃん、ど、どうしたの?」

 僕の殺気に反応したのだろう。楓ちゃんが怯えた声を出した。  

「ああ、うん。こんなことする変態に心当たりがあるん、だ、よ!」語尾に怒りが漏れてしまった。

 絶対氷兄だ! この写真、以前氷兄のPCで見たもん。

 最近大人しいと思ってたらこんなことしてやがったのか!

 ふふふ、いい度胸じゃないか。僕を怒らせるとどうなるか思い知らせてやる。

 スマフォの時計を確認する。時間は――もう無いか。後10分もしないでHRが開始されてしまう。

 とりあえず、楓ちゃんからこのページのURLを貰い、この次の休み時間の為の作戦を練る。いや、それでは足りないかもしれない。

 となるとお昼休みか……後少しの命を満喫するがいい。


短いです。そして、たぶん2部、3部? 2部で収めたいなぁと思っています。


そして、ここから3章スタートです。

今後とも宜しくお願い致します。



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