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すのーでいず   作者: まる太
第二章
33/84

これはデート? 1

「うわ! これ限定のボトルキャップフィギュアだ。すごいなぁ、売ってるの初めてみたよ」


 

 本日は、氷兄曰くデートの日。桐木駅の近くにあるトイショップを見物していた。

 前回、遥と楓ちゃんと来た時に、妨害されて行けなかったお店でもある。

 氷兄の思惑はどうあれ、僕の中では、家族で遊んでるだけという脳内変換をすることにしている。

 世間から見てもその通り、何も間違ったことはない。

 しかし、腕を組もうとしたり、手を繋ごうとしたがるのを何とか出来ないものか……溜息が出るね。


 

「どれどれ――雪これ持ってなかったか? 部屋に飾ってあるペプ○のやつだろ?」

 氷兄がショーケースのボトルフィギュアを見ながら話しかけてくる。

 その際に、背後から肩に手を載せてきた。


 

 今日着てきた格好は、氷兄がう、る、さ、いので、ベージュ柄のワンピースに、膝上高のソックス、茶色のパンプスという組み合わせだ。

 ワンピースの生地はそれ程厚くない為、氷兄の手には僕の肩の感触がはっきり判るに違いない。

 現に邪な雰囲気が感じられる。


 

「あれは、市販で売ってる奴をコツコツ集めたの。これは、専用葉書にシールを貼って貰える懸賞品なんだよ」

 軽く体を捻って、氷兄の手を外そうとする――が動かない。

 ちっ……強気に出れない弱味があるからって、調子にノリ過ぎてると思うんだ!

「てか1万越してるぞこれ。たっけーな。他のモノ買ったほうがいいんじゃね?」

「氷兄はコレクター心理ってモノが判ってないね。一つ買うと全部揃えたくなるものなんだよ。そして、これは限定レア! 心に響くモノがあるでしょ?」

「うーむ。俺にはその限定って言葉、あまり意味を成さないけどな。どうして、皆限定って言葉に弱いのか謎なぐらいだ。普通のモノの色違いとかそんなもんだろ?」

「ひゃ」何さりげなく、首筋とか撫でてるの!

「氷兄!」ジロリと睨む。

「うんなんだ?」氷兄は白々しい態度をとっている。口笛でも吹きそうなぐらいだ。

「……いい加減にしないと怒るよ?」

「なんのことだよ? お兄ちゃん♪さっぱり判らないぞ」

 殴りたい……

「この肩の手がいやらしいんだよ! 邪魔、どかして!」

「えっそうか? そんなつもりは無かったんだが、ごめんごめん」

 意外と素直に外してくれたけど、顔が緩んでるのが良い証拠。

 まったく、なんでこう変態なのかなぁ。年がら年中発情しないで欲しいよ。

「俺だったら、これのほうが欲しいけどなぁ」氷兄がこの雰囲気を紛らわすように指差したのは、ヴァンパイアプリンセス、エリカのフィギュアだ。

「……一応聞いておくけど、なんでそれなの?」

「いやさ、この娘って雪ソックリだろ。俺の部屋に飾って置いてもいい気がする。2000円でお得だしな」

 はぁ……そんなことだと思ったよ。 

「てかさぁ。その何でも僕に関係したものとか、そういうの止めた方がいいと思うんだよね。氷兄モテるんだしさ。好きな娘とかいないの本当に?」

「別に好きな娘ならいるぞ?」

 え? 意表をついた反応。

 これでやっと、僕離れしてくれるのかぁ。

 その為の協力は惜しまないよ!

「誰、誰? 僕の知ってる人?」

「ああ、良く知ってるぞ――だって『雪』だから! 雪以外の女? はっ、ありえねー」

 鼻で笑われたよ……

 そして、結局そうなのね……この際、氷室様ファンクラブとやらに接触して、氷兄を正しい方向に導くべきな気がしてきた。

 明るい僕の未来の為には必須かもしれない。

 僕が考えていると、氷兄が話しを続ける。

「ここで、本当? ボクもお兄ちゃん♪のこと大好き、とか、お兄ちゃん♪さえ居ればいいの! みたいな台詞はいつ出てくるんだろうなぁ。中々壁は手強いぜ! しかし、壁は高ければ高いほど、越した時の喜びはひとしおってモノだからなぁ」

 僕の反応を無視して、勝手に夢物語を構築してるんだけど、どうするのこれ?

「ねぇ、氷兄。どうせだし神社でお参りして帰ろうか? 変態が直るようにお祈りしてあげてもいいよ?」

「ふふふ、雪は素直じゃないよな。本当は嬉しい癖に。今はツンデレのツンしかないが、いずれ壮大なデレがあるんだよな? 待ち遠しいぜ!」

 又、どこかの次元に思考が飛んだよ。

 もういいや、このままほっとくことにしよう。

 変態につける薬は無いしね。

 再びボトルフィギュアを注視する。

 うーん。でも欲しいけど高いなぁ。せめて半額なら手が届くに。

 ぐぬぬ……仕方ないか。



 他に何か目ぼしいモノは――店内を見回すと、沢山のショーケースのの奥、壁際にある赤いガチャポンマシーンが目に入る。

 そこにあった、一つのガチャポンが目を引いた。

 あ、あれはっ! 伝説の武器コレクションじゃないか。

 これは、やるしかないでしょ!

 全6種+シークレットで、そのうち5種は手にいれているんだよね。

 目指すはシークレットの聖剣デュランダルとエクスカリバー。

 此処であったが、なんとやらだよ!

 その勢いのまま、100円玉を2枚スロットに入れて、丸い取っ手を回す。

 ……コロコロと中のカプセルが落ちてきて、下のトレイに留まった。

 それを緊張しながら手に治める。

 この確認する瞬間が楽しい。

 その中身をゆっくり見ると――――ゲイボルグだった……

 あはは、1回で出る訳が無いよね。軽く自分を慰める。

 これは冬耶にやろう。最強の槍だし、きっと喜んで貰ってくれるに違いない。


 

 くそぉ、もう1回やるか。業者の思惑通りな気もする。

 でも次回したら出るかもしれない。この理論に、いつもひっかかると知ってても止めれないんだよ。

 再びお金を入れて、ガチャガチャと取っ手を回す。

 今度こそ! 

 下のトレイに留まってるカプセルを今度はすぐには取り出さない。


 

「サモン、デュランダル!!」



 少し、念を掛けてから、取り出してみる。

 モノは――――エクスかリバー……

 ぐぬぬ。確かに聖剣だし、持ってなかったけど、何か微妙に違う。

 ううう、諦めるかぁ。6種コンプしたし、シークレット狙いは辛すぎる。

 そう黄昏ていたら、氷兄がこっちに来た。

 いつの間にか、現世に戻ってきたらしい。

「ふーん。雪はコレが欲しいのかぁ? ちょっとどいてみ」

 氷兄は僕の居た場所に立つと、何の気無しに200円を入れ、ガチャポンマシーンを回す。

 そして、無作為にカプセルを取り上げてから、首をかしげた。

「この武器良くわからねーな。なんていう奴だ?」

 氷兄からカプセルを受け取って確認する。

 中身は――――デュランダルだった……

 何故だ! 僕がやっても出ないのに、変態がやると出るなんて、これは細工でもされてるのだろうか? 

 ちょっとマシーンの左右を見てみる。

 しかし、なんともない。

「こらこら、何してる。それで、そのカプセルどんなのだ?」

 くそー、無欲の勝利って奴かこれが。

「うんとね。シークレットのデュランダルだよ……」

「ふーん。そっか。それって価値あるんか?」

「うん、一応このシリーズのシークレットだしね。一番価値があると思うよ」

「そかそか、なら良かったな。嬉しいだろ?」

「へ? 別に僕が手に入れたものじゃないから嬉しくないけど?」

「馬鹿だなぁ。俺がコレを欲しくてやったと思うのか? 雪が欲しそうだからやっただけだ。だから初めから雪にやるつもりだって」

 氷兄と遊びに来て正解だったかも!

 まさかこんなに簡単に手に入るなんて思ってもみなかったよ。

「本当! やったー。氷兄は優しいよね♪」  

「それじゃ、そろそろ他の場所いこうぜ」

「うん♪」

 氷兄が差し出した左手を、右手で握り返していた。

 あれ? これって手を繋いでるような……

 ま、どうでもいっか、デュランダル手に入ったし、うれしいなぁ♪

 


少し短めです。

今回作者迷ってまして、部数の宣言ができません。


※ 誤字、脱字、修正点などがあれば指摘ください。

評価や感想、コメントも是非にです

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