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すのーでいず   作者: まる太
第二章
30/84

3人でお出掛け 1

 キスキス煩い氷兄を放置し、僕は遥達との待ち合わせ場所、並木駅に向かっている。

 時刻は10時。待ち合わせの10時30分には余裕そうだ。



 人の多い場所に来ると毎度の視線を感じるが、流石にその手の視線にもいい加減慣れ、受け流すスキルを身に付けていた。



 本日の格好は、ロングTシャツに、紺のキュロットスカート、それに薄めのトレンチコートを羽織っている。足元は茶色のブーツだ。肩からはお弁当を入れたトートバックを下げていた。

 我ながら、見事に女の子してますね! 

 うう……もういいんだ。

 どうせ男モノ着てても女の子に見えるみたいだし。

 無駄ってモノだよ! 

 本音は携帯止められたくないだけなんだけどさ……



 駅の改札入り口に着くと10時10分、遥と楓ちゃんは? 見当たらなかった。

 少し早すぎるかな。

 大人しくポスターの飾ってある柱を背に待つことにした。



「やほー。キミ可愛いねぇ。今暇かな?」

 茶髪に着崩したシャツ、パンツが見えるぐらいまで落としたズボン、頭の悪そうな奴に声を掛けられる。



 ……どうしよ……この手のってしつこいんだよね。

 とりあえず、撃退プラン1(汎用バージョン)でいってみる。

「そーりーあいきゃんとすぴーくじゃぱにーず。ぷりーずふれんち おあ すぱにっしゅ?」

「え……あ! うぐ、あ……その……そ、そーりー」

 慌てて逃げていく。

 思ったより、他愛もない奴だったなぁ。英語万歳!

 この見た目も意外と役に立つよね。外国人のフリをすればほぼ信じるし。

 大体英語で喋ってるのに、フランス語とスペイン語は無いだろとツッコム奴は居ないのかと言いたい。


 

「はぁーい。今から僕とお茶しないかい?」

 先程よりは少しマトモっぽいけど、それでも軽い印象の男が絡んできた。

 またか……まだ5分も経ってないのに2人目ですか、いい加減めんどくさいなぁ。

 此処で小悪魔が心に囁いてきた。ちょっと遊んでみよう。



「あ、らっつぁつぁ や りびだびりん、らば りったん りんだん れんらんどう?」

 某葱回してる女の子が歌う歌詞だ。

「え、え、何語? うわ、くそーすげー美少女なのに、あああ、わかんねー」

 悔しがりながら去っていく。


 

 うわ、それっぽく喋れば、なんでもオッケーじゃん。

 ちょっと賢くなったね! 適当な暇つぶしになるかも。



 スマフォの時計を見ると、10時20分。

 そろそろ、2人が来る頃かな?

 そう思っていると、

「だーれだ」声が聞こえた瞬間、目に体温を感じ真っ暗になる。

 こんなことするのは一人しかいないし、話し方ですぐ判る。

「遥でしょ?」遥もまだまだ子供っぽいよね。

 パッと手が目から外れて肩に置かれる。それと同時に視界が回復した。

 背後を振り返る。

「えへへ、わたしだよーん♪」喜ぶ楓ちゃんの顔が目に入る。

 そして、後方に居る意地悪い表情の遥。

 やられた! 声だけ遥が出してたのだ。

 こんな古典的手に引っ掛かるとは! でも何故だろう? 楓ちゃんが犯人だと、その容姿から微笑ましく思えてしまうのは。

「むふふ、見たよぉー。雪ちゃん本当にモテモテだよね。たったの数分で2人にナンパされるとか、さすがだよ!」

「うむ。あれは本当にすげーって思った。アタシもそんだけチヤホヤされてーわ」

 あれ? 今来たばかりなのに、なんで知ってるんだろ? 

「まさか! 隠れて見てたの? 性格悪いよ!」

「だってぇ。私服姿の雪ちゃん。可愛すぎて近寄りがたかったんだもん!」

「そそ、後光が射してるんだからさ。少しその光を庶民にも分けてくれよ」

「何それ? そんなの出てないし。2人がさっさと来てくれれば、変なのに絡まれずにすんだんだから!」

「いや、それはどうだろ? 雪ってさ、その見た目もあるけど、ぽわぽわしてて隙だらけに見えるんだよな。なんていうか、そう! すぐ言う事聞いてくれそうなんだよ。ナンパしやすく見えるんじゃないかと思う」

「そんなことないって、ボクぐらいしっかりした人は居ない筈! それに、ぽわぽわしてるのは楓ちゃんだと思うよ」

「うーん、楓は、ぽわぽわというより、バブバブしてるって感じ?」

「それじゃ赤ちゃんだよ! 幼児より退化してるってば!」

 リボンを揺らして抗議している。

 その姿は、本当の幼子みたいで和むものがあるね。

 思わずなでなでしちゃうよ。

「ちょっと……雪ちゃんなんで撫でるの?」

 良い子に育つんだよ♪ なでなで。

「すごい嫌な感じがするよ?」

 大きくなるんだよ。なでなで。

「雪ちゃんが子供扱いする! これも全部、大○神のせいだよ!」

「ああ、ヨチヨチ、だめでちゅよー、大人しくしなくちゃ。楓は本当に駄々っ子なんでちゅね」

 両手をおちょくるようにふりふりしている遥。

「ムキー、2人とも覚えててよ! この仕打ちは忘れないんだからぁ。ふんだ!」

 楓ちゃんは怒って、さっさと自動改札に向かっていった。

 しかし、切符を買って無いのを思い出したのだろう、再び戻ってくる。

 これ、笑っていいのかな?

 まぁ、横の遥が大爆笑してるから、いいのかもしれない。

「遥ちゃん煩い! もう、こんなダイダラ○ッチ置いてさっさと行こうよ!」

 楓ちゃんに手を取られて、切符を買いに行く。

 目的地の駅までは210円だ。

「あ! 楓ちゃん。子供ボタン押すとお得だよ♪」

「うううう、雪ちゃんもいじめっ子だぁ。わたしは大人なの!」楓ちゃんが涙ぐんでいる。

 はじめにボクをからかったのは楓ちゃんだしね。

 因果応報だよ! ――やばっ! はしゃぎ過ぎて、さっきフッた連中に気付かれてしまった。

 日本語で話してるのがバレバレだ!



 素早くこの場から逃げることにした。

 その際に軽く舌を出すと、凄い悔しがっている。

 見た目だけで判断すると痛い目にあうと彼らも悟ったことだろうね。



 隣町に着く頃には、楓ちゃんの機嫌も直っていた。

 僕がお弁当を持ってきたのを教えたからだ。

 美味しいものは、人を笑顔にするのである。



 そのまま電車は隣町の桐木駅に到着した。

 改札を抜けると11時近くになっている。



 久々に来た桐木の町、相変わらずの人混みだった。

 今日が土曜日なので、尚更かもしれない。

 大規模商業施設や複合アミューズメント、飲食店が乱立し、この地域の中心都市だけのことはある。


 

「さて、これからどうすっかぁ」遥が楽しそうに辺りを見回している。

「うーん。折角雪ちゃんがいるんだし、どうせだから雪ちゃんに決めてもらおうよー」

 楓ちゃんの発言から推測すると、2人は結構来てるのかもしれない。

 僕も太一と遊びに来た事あるし――おまけで氷兄も付いてきたけどね。

「じゃー雪、何処にする?」

 うーん。そういわれると困るんだよねぇ。

 別段行きたいってところもないし、あっどうせだから。

「それじゃ、トイショップに――」

「よし、アクセサリーから見て周ろうか」

「りょーかいだよー」

 2人にあっさりスルーされる。

 えええ? 僕に意見聞いたよね? トイショップは?

「雪もそれでいいよな?」

「トイショッ――」

「オッケーらしい! とりあえずそこから行ってみようぜ」

 ……やっぱりスルーだよ! ナ○タ? シ○ンスケ? カ○ワですか!!

「そこのビルに新しく入ったお店、可愛いの多いらしいよー」

「おお、楓グッドインフォだ!」

「それじゃレッツゴー!」遥と楓ちゃんに両腕をがっしりと掴まれて、引き摺られていく。

 僕の意見はどこいったんだよー!

ええと、2部構成です。

またです。またやっちゃいます。

どうせなら、長いほうが……大は小を兼ねる筈です!


※ 誤字、脱字、修正点などがあれば指摘ください。

評価や感想、コメントも是非にです。

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