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すのーでいず   作者: まる太
第一章
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長い一日の始まり 2

プロローグ、第1話の章編集とサブタイトルの編集をしました。

第一章


長い一日の始まり 2


 今日二回目の脱衣所に入り、姿見に映る自分の姿を見て苦笑する。

 可愛い、確かにうちの親が騒ぐのも頷けるほどだと思う。

 大きな寝間着を着て、困ったようにしている様は保護欲を沸き立たされる仕草である。

 それと同時に、変わる前の姿を思い出す。

 今年、高校生になるというのに155cmしかなかった身長(これは忘れよう)

 まるで女の子みたいだった顔(これも忘れよう)

 は! 思い出さないほうが良いかもしれない……

 不機嫌になる事しかでてこないじゃないか!

 それでもよくよく観察してみると、以前の自分の部分も見て取れる事が判った。

 初め見たときは動転してそこまで気が廻らなかったのだ。

 鈍感ともいえる。鏡を見るまで体が縮んでいる事や胸に膨らみがあるのも、気付いてなかったのだから。

 そこを敢えて言い訳するならテンションが高かったからだということにした。

 


 はぁ……このまま佇んでいる訳にも行かず、上着を脱ごうとする。

 そこで、手が止まった。

 気付いてしまったのだ。

 いや気付かない振りをしていたといったほうが正しいのだろうか。

 脱いでしまえばアレが見えてしまうのだから。

 思春期の男子なら興味惹かれてたまらない二つのワンダーランドがそこにある。

 ゴクリと喉を鳴らして、寝間着の上の前ボタンを一つ、二つと解いていく。

 好奇心と羞恥心がドンパチした結果、好奇心に軍敗が上がった結果だった。

 全てボタンを解くと、隙間から白い肌と柔らかそうな双胸が見えた。

 心臓がドクンと高鳴り、顔が上気してくるのが判る。

 うわ、どうしよう。

 でも……

 数旬躊躇するけども、手は止まらない。

 上着に手をかけて、肩、腕と思い切り抜き取った。

 急に体が寒くなったが、目は自分の白い頂に釘付けになっていた。

 ひょっとしたらその目は血走っていたかもしれない。

 それ程大きいという程では無いが、形が良く小さななピンク色の突起が佇む姿が愛らしかった。

 震える手をそっと胸に添えてみる。

 じわっとした感じがして、手の体温を感じた。

 気持ちいいなぁ。

 初めての感触にちょっと嬉しくなってくる。

 調子にのって強弱をつけると、体の芯が痺れ変な感覚になってきた。

 まずいこれすごいかも。

 止めなくちゃという脳の指令を体は無視するように動いている。

 そして、偶々視線が姿見に移動された瞬間、ハッと我に返った。

 目を潤ませて、まるで誘うように自分の胸を弄っている姿に衝撃を受けたのだ。

 何をしていたんだ僕は!

 急速に冷静になってきた。

 手を胸から放して自己嫌悪する。

 今日女になったばかりだというのに、この体たらく本当に情けない……

 くそっ! 男の僕が泣いている。

 ……シャワー浴びよ

 当初の目的を思い出し、暗い気持ちのままズボンを脱ぎ捨てた。

 トランクスはぶかぶかになっているものの、お尻が大きくなっているようでずり下がってくる事はなかった。

 一度興奮から冷めた後なので、そのトランスを脱ぐ事は簡単だった。

 しかし、目に入ったものに体が固まる。

 覚悟はしていた。

 頭でも理解していたと思う。

 だが実際に今迄ずっと一緒だった相棒の姿が消えているのを見ると凄いショックを受けたのだ。

 それは女性の大事な処を良く見れるチャンスなのに、まるで気にならないぐらいのことだった。

「本当に女なんだな……」無意識に自嘲の声が漏れていた。

 脱ぎ散らかされている衣類を汚れ物の篭にいれて、お風呂のドアを開けて中に入る事にした。

 


 シャワーの蛇口を捻り、頭から適温のお湯を被ると気持ちが多少上向いてくる。

 肌を伝わる水滴がとても心地良く、朝起きてからの嫌な事全てを水と一緒に洗い流してくれているようだった。

 しばらくそのお湯で汗を流し、次に髪の毛を洗い始めた。

 幸か不幸か判らないが、長さがそれ程変っていなかった為、適量のシャンプーを手で泡立てて洗っていく。

 手触りから髪質はそれほど変ってなくてホッとする。

 元々女子がうらやむ程の猫ッ毛だったのだから、悪くなったりしてこれ以上精神的負担をかけたくなかったのだ。

 シャンプーを流した後に、使った事の無いトリートメントの容器を探す。

 これかな?

 いくつかのシャンプーと似たような物の中から、一つの容器を手で持って確認する。

 どうやら合っていたようだ。

 顔を近付けて、裏返して説明書きをさらっと読む。

 シャンプーと大差がないけど、つけた後に少しそのまま時間を置かないといけないらしい。

 めんどくさい。正直な感想はそうだが、トリートメントを手につけて髪になじませるように塗っていった。

 リビングから出る時に、母さんから絶対つけるようにと口やかましく言われたからだ。

 サボった事を指摘されてぐちぐち文句言われるよりは、多少の手間をかけたほうがマシってものである。

 なんだかんだで家で一番の権力者は母さんなのだ。

 母さんに逆らってはいけませんというのが、阿南家で15年生きてきた僕の哲学である。

 過去に逆らったときなど―――思い出して急に背筋の辺りに寒気がした。

 うん、忘れよう。

 そうしよう。

 恐ろしくなった思考を強引に切り替えた。

 考えている間に結構時間がたっていたらしく、再び髪にシャワーを当てて落としはじめる。

 綺麗にしすぎては意味がないと書いてあったので、適度の感覚で洗い流した。

 髪が終わったので次は体だった。

 下を見ると滑らかな曲線をした胸が見える。

 先程の自分の行為が頭をよぎり少し頬が赤くなる。

 忘れるように顔を左右に振って、無難な腕から洗う事にした。

 改めて近くで見ると、白い決め細やかな肌はとても美しかった。

 ちょっと躊躇しながら触ると、少しくすぐったい感じがし、つるつるしていて男だった時とはまるで違う感触に驚いていた。

 へぇ。柔肌とはよく言ったものだな。

 自分の体なのに関心してしまう。

 そして、これを普段のように垢すりでゴシゴシ洗ったら大変かもなと思ってしまった。

 手ごろなものが無いか探すと、母さんが使っている丁度良さそうなスポンジが見つかった。

 それを拝借して、軽く腕を擦ってみたが特に問題なさそうだった。

 まぁ、だから母さんが使ってるのだろうけど。

 早速ボディーソープをスポンジに垂らして洗い始める。

 体が泡まみれになり、綺麗になっていくのを感じていた。

 ずっと寝込んでいたので、この感覚は格別というものである。

 胸や、もっと大事な処も無難に洗う事が出来た。

 先程の行為がここで生きていたのだ。

 敏感な部分と判っていたので、多少反応してしまったけど、耐えれない程でもなかったのである。

 泡を全て流し終えてから横の浴槽を見てちょっと残念な気になってしまう。

 湯船に入りたかったのだ。

 いままでは余り好きじゃなく烏の行水というぐらいで、熱いお湯に短時間だけ入るスタイルだった(あまり体には良くないらしい)が、この体になってみるとお風呂が楽しいのだ。

 女が良く長風呂する理由を少し理解した感じだった。

 まぁこんな時間だし、お湯が貼ってないのだから仕方ない。

 素直に諦めることにする。

 でも、不思議だった。

 入る前はあれほど憂鬱な気分だったのに、今ではそれ程でもなくなっていた。

 やはり、日本人にはお風呂。

 お風呂は偉大である。

今回会話シーンがなかった分、次回では某人が弾けます。


お楽しみに


改行できないで苦しんでいたところ、PBR記号の意味をやっと今理解しました。

編集を沢山して申し訳ありません。

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