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すのーでいず   作者: まる太
第二章
28/84

球技大会 2

5/7 球技大会 1 の修正をしました。

 グラウンドのハーフウェイラインに1-A、3-A両チームが整列する。

 審判役のムッチーが来るのを待っていた。

 通常なら4時間目に相当するこの時間、気温も上がってきていて、もう動き回ると半袖Tシャツでも暑そうだ。



「雪、忘れてないよな?」

 僕の目の前にわざとらしく並んだ氷兄が確認してくる。

「くどいよ! そっちこそ約束忘れないでよね!」

「ああ。それにしても、後50分後には雪が悔しがる姿をみれるのかぁ。楽しみだな♪」

「ふん! 好きなだけ言ってればいいさ。後で謝っても許してあげないから!」


 

 他の人達からの何事だという視線と、太一が呆れているのは判るけど、やらなければいけない勝負ってモノがあるのだ!


 

 今の話しからも察し出来るように、僕は氷兄の賭けに乗ってしまった。

 賭けの対象は、氷兄が勝ったら氷兄と一日デート。とても嫌だ。

 僕が勝った時は、一ヶ月間、毎週ルクレールのミルクシュー4個! 太一が以前買って来てくれた1日限定100個のあれ。

 結局シュークリームかと思うかもしれないけど、シュークリームは正義です。

 それも毎週なんて贅沢過ぎだよ! これを受けなかったら損ってもんだよね。

 氷兄の思惑通りに進んでる気もするけど、要は勝てばいいんだよ、勝てば!



 ムッチーがセンターサークルまで来て、太一と氷兄がコインの宣言をする。

 結果、3-Aがボールを得た。

 対戦相手が3年なので、1年に最初から3点のハンデが付く、つまりは3-0からのスタートになる。更に、同点の場合も此方の勝ちだ。


 

「ピッピー」ムッチーのキックオフの笛により、試合が開始された。



 僕はインチキ縦ポン戦術の為、相手ゴール近くまで一人向かっていく。

 すると、そこには氷兄が居た。

「なんで氷兄が此処にいるの? さっさと攻めなよ」

 氷兄はしてやったりの表情をする。

「ふっ、甘いな。今迄のクラスが敗れた理由は唯一つ! 雪をフリーにさせたからだ。俺達がその対抗手段を考えない訳がないだろ? 俺なら雪に触れることなど何も厭わないし、それどころか、むしろ触りたいぐらいだ。早くボールが飛んで来いってなもんさ」

「むぅ、それって反則じゃないの? 触るとか1発レッドカードだよ!」

「馬鹿だなぁ。世の中にはマリーシアという高等テクニックがあるんだ。見えないように触ることなどちょろいものさ!」

「……でも、僕にやったら唯のセクハラじゃない? 犯罪だとおもうよ」

「何を言ってるんだ。同意がある行為にそんなものは発生しない!」

「僕がいつ同意したのさ!」

「素直じゃない雪も可愛いぞ♪」


   

「ピッピーピー!」ここでムッチーの笛が鳴った。

 話しに熱中していて、いつのまにかボールが僕たちの近くに転がってきていたのに気付かなかった。間抜けなことに氷兄もそうだ。

「氷室! イエローカード」ムッチーが胸から黄色の札を取り出してかざす。    

「相手チームの選手と会話をするな。そして、なんかキモイから警告1な」

 おお。ムッチーを見る目が変わったよ。

「は? ムッチーパンダそりゃねーって、雪だって話してただろ。なんで俺だけなんだよ!」 

「女子と男子どっちを非難するかは自明の理だろうが。さっさと離れろ」

 あれ? 良く考えたらムッチーってうちの担任なんだから、自分のクラスを贔屓するのは当然なのかもしれない。

 強い味方が此処にいるじゃないか!

「雪、グッドジョブや!」太一が近付いてきて肩を叩く。

 実は何もしてないんだけどね。

「これで、一番の障害に枷がついたようなもんや。いくら氷室兄ちゃんでも無茶は出来ないやろ」

 そうだといいんだけどね。

 あの変態がこのまま大人しくなるのかな?



 太一の思惑とは裏腹にクリーンなプレーを心掛けた氷兄は見事だった。

 僕に飛んできた高いボールは、その身長差から楽々カットされ、低いボールにも経験の差で先回りされて止められてしまうのだ。

 接触プレーにすらならないので、どうしようも無い状況なのである。

 氷兄が僕に張り付いている為、相手チームも決定力を欠いていた。

 だが時間が経つにつれ、年齢差から徐々に点を加算されてしまう。

 前半が終わる頃には3-2まで追い上げられてしまったのだ。



 ハーフタイム、1-Aチームが集まり作戦を立てている。


 

「このペースは不味いわ」太一がぼやく。

「言われなくても判ってるっつーの」

「そんなことより、これからどう対処していくかだろ?」

「1点を守り抜くのもアリじゃね」

「それは無理じゃないかしら。今だって雪ちゃん一人が相手側にいるだけで、実質殆ど守っているようなものだもの」

 チームメートからは、良い案は出てこない。

「だったら、ボクも守りに参加しようか? そしたら一人増えるから楽にならないかな?」  

「一番駄目な案やな。雪が居るから氷室兄ちゃんが、攻撃に参加しないんや。もし、参加してたらとっくに点差はひっくり返ってるがな」

「そっかぁ……」

 太一の意見に納得させられてしまう。

「問題は、氷室兄ちゃんなんや。あの人さえ排除出来れば勝てるんやけどなぁ」

「そうなのよね。氷室様がネックなのよ。どうしたら雪ちゃんへのパスが通るようになるのかしら――」



 ……氷室様ねぇ――顎に手を当てて考える。

 確かに邪魔だよね。

 馬鹿だし、変態だし、更にあの身長がムカツク。

 ボクと同じぐらいだったら、取られないのに!

 ――って? 氷室様!?



「ちょっとボク、名案が浮かんじゃったよ。試してみない?」

「おっ、どんな案や? ボケボケの雪だから余り期待はせんけど、言ってみるんや」

 失礼な! 太一後で殴る!

「こんなのはどうだろう――――」


 

 僕の作戦は少し修正されたものの採用された。

 だが、この作戦を行うにはタイミングが重要であり、一回きりしか効果がないので、ラスト5分になったら開始することになった。



 ムッチーの笛で後半が開始される。



「あれ? まだこのままなのか。少しは変わったことしてくるかと思ったけどな」

 僕をマークしている氷兄が軽口を叩いている。

「別に僕たちはこのまま守りきれば勝てるんだから、無理しなくてもいいしね」

 心で舌を出す。

「ふーん。まっいっか、このままなら雪とのデートが楽に手に入るってもんだしさ♪」

「言ってろ! あまり話してると、またカード貰うよ!」

 氷兄が慌てて、ムッチーの姿を探している。

 それぐらいの理性はまだ残ってるみたいだ。



 氷兄の予想は悔しいことに当たり、後半8分、14分と加点され、遂に逆転を許すことになった。

 そして、残り5分、1-Aが動いた。



 題して、氷室様をメロメロにしよう作戦が開始された。



 氷兄チームがボールを外に出したのを機に、一気にメンバーを替える。

 それも、全員女子とだ。

 現在、男子8人、女子3人だったところに、女子を3人入れて男子5人、女子6人にした。

 女子の布陣はキーパー1、FWに僕、残り4人の女子がMFとして前線に残る。


 

 太一がサイドラインに向かい、ボールを手に持って、ポンポンと地面にボールを叩きつけながらタイミングを図る。

 そして、それを機に僕がボールを貰いに向かう。

 当然、僕をマークしてる氷兄も付いてこようとしたが出来なかった。

 僕をフリーにするように、女子4人が氷兄を囲んだのだ。

「キャー、氷室様ぁ♪」

「かっこいいですわ」

「素敵です。氷室様!」

「その困ってる仕草もまた……」

「ちょ、なっ!!」

 氷兄の悲鳴は、黄色い歓声にかき消された。


 

 太一からスローインを受け取った僕は、相手ゴールに向かって進んで行く。

 最早障害は無かった。

 相手チームの女子はいつの間にか、うちのクラスの女子と何やら言い合っている。

 3-A男子の抵抗は、形だけというぐらいのモノしか来なかった。

 他のチームもそうだっけど、本当なんでだろうね?

 後残すはキーパーだけ。

 キーパーは数合わせの女子だ。

 貰った!



「受けてみて、これがボクの全力全開!」

 思いっきり踏み込み、右足を後方に上げる。

「スターーライトーーー○レイカ~~~~~~~!!」

「きゃー!」

 先輩女子がボクの勢いに悲鳴を上げて逃げる。

 それと同時に、チョンとボールをインサイドでタッチした。

 ボールは、怯える先輩女子の横をコロコロと転がり、そのままゴールラインを割って、ネットにぶつかり止まった。

 ムッチーのゴールインの笛が鳴る。



「やった♪」

 ミルクシューげっと!

「なんで、魔法少女やねん! そこは○○○○シュートやろが!」

 太一のツッコム声が遠くの方で聞こえた。

   

ここからスポ魂ものにしてやる! 

なんていう気も少しはあったんですが、結局こんな感じになりました。

予定通りの2部構成。

作者もやれば出来るみたいです。


※ 誤字、脱字、修正点などがあれば指摘ください。

評価や感想、コメントも是非にです。

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