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すのーでいず   作者: まる太
第二章
18/84

油断大敵!

高校生活スタート 2.5 の誤字を修正しました。

7/5 追加誤字修正致しました。

「大体さぁ、今迄黙ってたってどうなのかなぁ?」

「又、その話かい昨日も謝ったやんかぁ。そろそろ勘弁してーな」


 

 入学式翌日の朝、僕と太一は学校に向かって歩いていた。

 氷兄? 居るには居るけど、僕らの少し後ろを陰鬱な顔して付いてきている。



 太一がぼやいているのは、あの後すぐ何故此処に居るのか問い詰めたからだ。

 その時に、補欠入学の通知が来た時に僕が寝込んでたこと。

 知らせようと思ってもそのせいで出来なかったのだから、半分は僕のせいみたいなことを言われた。

 確かにそうなんだけど、何だか納得いかないんだよねぇ。



「ああ、それにあれや。雪は聞いて無い言うけど、この学校の制服が届いたってちゃんと言ったやんか。それで理解しろや」

 むむ? そんなのあったっけ、ってあれは違うじゃん。

「確かに制服は届いたと聞いたけど、星桜の制服なんて一言も言ってないし、普通なら太一が行くと思ってた、北稜高だと思うよ」

「そうかぁ? でも他の学校の制服が同じ日に届くって変やろ? 想像力の翼を広がせば答えは見つかるもんやぞ。まだまだ名探偵にはなれんなぁ」

「別に名探偵になんてなるつもりはこれっぽっちも無いんだけど」

「じゃー何になりたんやエ、リ、カちゃん? ぷぷぷ」太一が思い出し笑いをしたようで噴出した。 

「むっ、なんだろねぇ、まだ決めて無いや、副委員」鼻で笑ってやる。

「あーー。あれなんでやろなぁ。納得せーへんわぁ。パンダめー覚えてろよ!」

 僕の勝ち!   

「二人共楽しそうだな――なぁ太一よ。お前はなんでいつも俺と雪の恋路を邪魔するんだ?」

 此処で氷兄が口を挟んできた。

 もう立ち直ったのかぁ、さすが変態は回復力が早い。



 実は氷兄がこうなったことには訳があった。

 氷兄が太一に「俺って雪のカマドウマなんだぜ」と自慢をしたのだ。

 太一は当然その正体を知っていた。だって僕は太一から教わった言葉だもん。

 そして、便所コウロギと教えられた氷兄がショックで沈んでいたのだ。



「そんなことしてまへんて。氷室兄ちゃんの気のせいですわ」

「そうかぁ? 雪は太一が居ると俺をないがしろにする気がするんだが? 俺と雪との為に半径10m以内立ち入り禁止にしようぜ] 

 うーん。まだ引き摺ってるなぁ。このダーク氷室の相手をしてるのは疲れそうだなぁ。

「そんな御無体な、お代官様勘弁してくだせーな」

「ならん、ならんぞよ。つーわけで太一、早く10m前歩けや」

 うわ、本気で言ってたんだぁ仕方ないなぁ。

「じゃー氷兄、僕の半径15m以内に立ち入り禁止ね。ということで僕の後方15m後ろを歩くように!」

「何故そうなる!」

「だって氷兄と太一が10m禁止なんだから、僕と太一が話すにはそれぐらい離さないと駄目じゃん」

「違うだろ。太一と雪が10m以内立ち入り禁止なんだって!」

「なんで僕が太一と離れないといけないの?」

「それは俺をないがしろにするからとさっきも言っただろうが」

「ふーん。じゃぁメンドクサイから氷兄と登下校一緒に行かなければ問題解決だよね」

「うわ。そこまでする!」

 あらら氷兄がイジケだしちゃった。

 大男がそんなことしてるとみっとも無いよ。

「まぁまぁ、氷室兄ちゃん。そう落ち込んだらあかんて、雪だって本心で言ってるわけあらへんですってば」

 なにやら太一から目配せが飛んでくる。

 機嫌とれって意味なんだろね。

 はぁ、なんで僕が。

 でもこのままブツブツ言われるのも嫌だし善処するかな…… 

「本当か? 雪」  

「うんうん。だからお兄ちゃん♪も余り文句言わないでね。一歩引いて見守るみたいな大人の魅力を出してくれたほうがカッコいいよ」(スキル ぷりてぃえんじぇる 自分比 可愛さ2倍)を使用してみる。

 手を後ろに組んで、前かがみになりながら上目遣いで微笑むだけなんだけどね。

「そうか! そういう考えもあるのか」氷兄はすぐ元気になる。

 舌をぺロッと出してるのが太一に見られてしまった。

 太一は呆れた顔をしてるが、太一がやれって言ったようなものだから文句言われる筋合いはないよね。


  

 下駄箱に到着しても、氷兄は付いて来ていた。

 3年の下駄箱は間逆なのだから、なんでこっちに居るのか不思議に思う。

 でも変態の思考を一々把握するのは無理ってものなので、気にするのを止めて下駄箱のドアを開いた。


 

 ――白や黄色の物体が目の端を捉えた。見なかったことにしてドアを閉めた。

 まさか、昨日の今日でこんなものが入ってるとはね……

 はぁ、どうしよう。

 悩んでる間に、氷兄がガンガン近付いてきて、僕の下駄箱のドアを開けると、中から先程見たモノを取り出した。

「あっ! ちょ、氷兄何すんだよ」

 氷兄は僕の問いに反論すらしないで、そのモノ、やはり手紙だったを上下左右から検分している。

「おお、さすが雪やなぁ、モテモテやん。で、今日は男? それとも女どっちなんや?」

 太一が僕の声で気付いてしまったらしく、皮肉たっぷりの顔をする。

「なんなんだよ、その言い草! だいたい男からなんて……貰ったことがないとは言えないけど。別に太一が気にすることないだろ」


 

 男からの方が、女の子よりも遥かに多かったのは僕のプライド上言えないのだ!


 

「ふ~ん。まぁ~ええねんけど、なぁ~」

 その言い方がム~カ~ツ~ク!

「ちょっと氷兄、それ返してよ。ボクが貰ったものなんだから!」

 取り返そうとすると、氷兄はひょいと手を上に伸ばして、僕から届かない位置に上げてしまった。

「これは、没収だ。俺の雪に手を出そうなんて不届きモノには、神の鉄槌を食らわせないといかん。嫌な予感がして付いてきて正解だった」

「え? どういうこと? こうなるって知ってたの?」

「雪は本当に自分のことになると鈍いよな。少しはその可愛さを自覚した方が良い。入学式が終わった後、俺のクラスですら話題になってたぞ。超絶美少女が居た、北欧の妖精を見た。エリカちゃんが実在したみたいな感じでな。まぁ最後のエリカちゃんは良く判らんかったけど」

「う……」

 恐るべし、ヴァンパイアプリンセス! 

 って、なんでそんな噂になるんだろ……僕はそんなに目立つことした覚えがないんだけど。 

「つーわけだから。予想は出来てたんだ。どうせ雪は押しに弱いんだから、何されるか判ったものじゃないしな。コレは俺に任せておけばいいって」

「でも、やっぱり誠意を込めたものだろうし、僕がちゃんと返答したいんだけど」

「だから、そこが甘いと言っているんだ。どうせ甘くするなら俺だけにしろ」

「むー。氷兄には今でも100倍砂糖ぐらい大甘なんだけど、これ以上甘いなんて無理じゃない?」

「これでか……どんだけ元が低いんだよ!」

「はいはい、二人とも少し大人しくしたほうがええで。かなり注目されてるがな」

 太一の忠告に素早く顔を動かすと、あからさまに視線を外す仕草をする人が結構な量いた。

 その態度で見ていたのバレバレなんだけどね

「氷兄のせいで、目立っちゃったじゃない。どうしてくれるんだよ」

「もうあれだな。このまま俺と付き合ってると公言すればいいんだ。お兄ちゃん♪はいつでもOKだぞ」

「……太一、この変態なんとかしてよ」

「氷室兄ちゃんとも付き合い長いからなぁ。今に始まったことじゃないし、諦めるしかないんちゃう?」

「はぁ……」結局それだもんなぁ。

 もうこれ以上目立ちたくないし移動することにしよ。

 手紙の主にはゴメンナサイと心の中で謝る。

 素早く上履きに履き替え、教室に向かうことにした。

 当然、外履きのままの氷兄は追いかけることが出来なく、やっと静になる。

「俺を置いてくのかー」みたいな台詞が後ろから聞こえたけど気にしたら負けだよね。



 階段を登っている途中、ふとした疑問に気付いて振り返る。

「なぁ太一? なんで僕の後ろを歩いてるんだ?」

「ああ、気にせんでええぞぉ。こっちの方が都合がええんや」

「何の都合だよ。はっきり言って話し辛いし、横に来てくれたほうが楽なんだけど」

「そんなこと言うなや、横なんていったら、見えなくなるやろが――」太一はしまったという顔をして口元を押さえている。

 ……今の一言で良く判った。

 パッと後ろ手でスカートの裾を押さえて、軽く睨みつける。

「太一の馬鹿! 信じられない!」

「いやいや、だってあれやん。そんな無防備にポンポン登っていったら、見える気がするやん。そして、見えそうなら見るのが漢ってもんやろが!」

「ううう。僕が悪いっていうのか?」

「そ、そうや! これで今後は注意して登るのを覚えたやろ? 見てたのが俺でよかったやないか」

 コメカミの辺りに汗をかいてるのがどうみても白々しいんだけど……

「なんか納得出来ないんだけど。それだったらさ登る前に注意してくれれば良いじゃんか」

「いや、だからな。まさか何も考えずに登るとか思わへんやん。別にわざとやないぞ。さすがに見たいからってそこまではしないからな」

「結局見たいんだ……大体、そんなことばっかりしてたら捕まるよ?」

「馬鹿を言え、美少女のパンツだから見たいのであって、誰かれ構わずの訳ないやろが、そこ重要やから復習しとくように」

「なんで先生口調なんだよ! とりあえずさっさと横に来てよ。太一が上がってくるまで動かないからね」

「しゃーないなぁ。ええ眺めやったのに」

「何か言った?」ジロリと睨みつける。

「いやいや、気のせいですわ」太一が慌てたように登って僕の横まで来た。

「恥かしいんだから、止めてよねそういうことは」

「判った、判ったって、もうしないから勘弁してーな」

「本当に判ってる? で僕のパンツは何色だった?」

「ああ、可愛い青と白の縞々パンツやったわ」太一は再びしまったという顔をして口元を抑える。

「殺す!」

 僕の殺意を感じて太一は教室まで逃げていった。

 それをすごい勢いで追いかける僕。

 後から考えると、今、後ろから見られたらモロ見えだった気がするけど、誰もいなかったしセーフだよね。


 


※ 誤字、脱字、修正点などがあれば指摘ください。

評価や感想、コメントも是非にです。

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