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すのーでいず   作者: まる太
第一章
13/84

制服と再会 1

思ったよりも長くなってしまった為に2部に別けました。


「ダイヤモンドダスト!」コトッ、握りこぶし大の氷の塊が現れ、床に落ちる。

「絶対氷壁!」コトッ、握りこぶし大の氷の塊が現れ、床に落ちる。

「アイスバーン!」コトッ、握りこぶし大の氷の塊が現れ、床に落ちる。

 ふっ、又ツマラナイモノを凍らせてしまった――


 

 実はこの叫び声、意味が無かったりする。

 なんとなく気分が出るからやってるだけなのだ。 


  

 お昼ご飯を食べ終えた僕は、自室に戻って必殺技? の練習に励んでいる。

 雪女の血を濃く受け継いでいるのだから、氷の力みたいなものを自由に操れるに違いないと考えたのが始まりである。

 推論は半分当たりで、半分外れみたいなモノだった。

 体が覚えていたみたいで、結構簡単に氷を作成することは出来た。

 初めて空を飛ぶ雛が、誰にも教えて貰わなくても飛行出来る感覚、と説明すれば判りやすいかもしれない。

 しかし、作る事は出来るけど、今みたいな小さいモノだけなのだ。

 はっきり言って役に立たない。

 アイスでも持って帰る時に重宝するぐらいだろう。

 つまりこの体になって得したことは、保冷に便利になったのと少し寒さに強くなったぐらいのものなのだ。

 それを認めたら悲しいので、更なる進化を期待して頑張っているのだが、中々上手くいかなく歯噛みしている最中なのである。

 決して、壁に掛かっている星桜学園の制服から現実逃避してる訳じゃない。

 でも本当は……



 星桜学園の制服は一言で言うなら、可憐というものだろう。

 氷兄が着ている黒の学生服を着ると思っていたから、余り記憶に残っていなかったけど、僕が見ても可愛いと思う代物だ。

 紺を基調としたブレザーに、桜色のラインが入ったチェックのスカート。

 そのスカートと同色のリボン、中に着る丸首の白いブラウスにも首周りに桜色のラインが入っていた。



「はぁ」この制服を見れば見るほど、溜息しか出てこない。

 どうするのこれ……

 この際冬耶にでも着せて見ればいいか、なんて暗いことを思い浮べるぐらいだ。

 冬耶の身長は僕と大差ないし、着れないことは無いだろう。

 スカートの腰周りとかはキツイかもしれないが、ホックを付けないでファスナーで止めとけば何とかなる筈。

 多少心に傷を負うかもしれないけど、若い時の苦労は買ってでもせよという言葉もあるし意外とイケル気がしてきた。

「でも、所詮は先延ばしなんだよなぁ……」

 どうせ一週間後にはこれを着なくてはいけないのだから、今着なくても結果は変らない気がする。

「…………………」

「……はぁ、着るか」

 いつまで悩んでても変わらないし、嫌なことはさっさと終わらせたほうが精神的にも良いだろう。



 今着ているプルオーバーとキュロットを皺にならないようにベットの上に置き、下着姿になった。

 もうさすがに自分の体に見慣れてしまい興奮することは無くなったが、此処でも油断は出来ない。 

 我が家には変態ズがいるのだ。  

 特に変態ナンバー2の父さんは、ここぞとばかりに写真を取り捲るだろう。

 以前、脱衣所で撮られそうになった経験があるだけに信用出来ない。

 まぁ今は仕事で家には居ないから、危ないのはナンバー1の母さんと、3の氷兄ということになる。

 この二人だと抱きついてきそうなので、父さんよりも危険度は増しそうだ。

 ということで、この格好はヤバイのでさっさと着替えることにする。

 先ず最初に丸首のブラウスを着て、スカートを履いた。

 着る前は抵抗感バリバリだったのに、いざ着てしまえばそれ程でもないのはなんでだろう?

 ひょっとして、毎日女物の服を着させられていたので感覚が麻痺したのだろうか?

 そこまで考えてのことなら、母さん恐るべしという奴だ。

 次はリボンをっと――脅かすから結ぶの大変かと覚悟してたけど、リボンタイになってて後ろで結ぶだけじゃん。簡単簡単。

 そして最後にブレザーに袖を通した。



 うん、少し大きめに感じるけど、これは成長を想定してのことだと思うからサイズは合っているのだろう。

 そう僕だってまだまだ伸びる筈なんだ!

 せめて170は欲しい。

 いや、贅沢は言わないので160は……

 軽く部屋に置かれた姿見の前でターンすると、ヒラリとスカートが揺れた。

 特に問題は無さそうだ。普通に可愛い女子高生に見える。

 この可愛いについても、考え方を変えるように努力している。

 今までは男だったから可愛いと言われるのは気にいらなかったが、現状女になってしまってる訳で、そう言われて顔を顰めてたら変に思われるに違いない。

 実はこれも母さんからの指摘であるのだけどね。

 それにしても、白い髪がこの紺の生地に妙に映えていて更に目立ちそうだ。

 憂鬱になってくる……

 髪全部を染めてやろうか。

 でも毎回染めるのはお金もかかるしメンドクサイよなぁ……


「ピンポーン」本日二度目のチャイムが鳴った。良く鳴る日だね。

 まぁ、母さんが出るだろうから特に関係ないだろう。

 こんな格好で出る訳にもいかないし、気にしない気にしない。

 その後鳴らなくなったのだから、無事に応対出来たのかな。



 それから数分たった頃だろうか、

「雪ちゃーん。ちょっと~」いきなり母さんがドアを開けて部屋の中に入ってきた。

「ちょ! ドアを開ける時はノックぐらいしてよ!」

「あらあら、まぁまぁ。うふふふふ。へぇ~♪」母さんが非難など無かったかのように、僕の周りをくるくる廻りながら変な声を上げている。

 なんで、このタイミングでくるんだ。絶対センサーでもついてるよ!

 恥ずかしいし、早く消えて欲しいなぁ……

「なんだかんだ言って、雪ちゃんも着たかったのよね♪」

 何故そうなる!

「母さんがサイズが合わないと困るって言うから調べたのだろ。もう脱ぐんだから出てってよ!」

「素直になれば良いのに。はぁ、でもどうしよ。こんな可愛い娘が歩いてたら、母さんだったら襲っちゃうわぁ」

 何か手を頬に当てて苦悩してる変態が居ますよ? 台詞も危ないし。

「そんな変質者は母さんだけだから大丈夫だって。日本の治安の良さは世界でも際立っているんだからね」

「そう? そうなのかしら、でも雪ちゃんの初制服姿、このもやもやした気持ちは何?」

 なんだこの流れ、身の危険を現すサイレンが鳴り響いてるのだけど。

「で、何しに来たんだよ? 急用があったんだろ?」

 このままだとヤバそうだし、話しを逸らすことにした。

「あー。そうそう。雪ちゃんがそんな”ママ萌”させる格好してるから、忘れるところだったじゃないの」

 ママ萌え? 母さん、何歳いくつだよ……

 母さんがジロリと僕を睨んだ。

「な、何?」

「今なんだか悪意のようなモノを感じたの。気のせいかしらね?」

「へ、へぇ……」

 こ、恐い……

「話しが中々進まないわねぇ。ということでちょっと雪ちゃんリビングまで今すぐ来て」

 話しが進まないのは母さんのせいだろと言いたい。

「だったら、すぐ着替えて行くから待っててよ」

「あら、別に作業する訳でもないから、そのままで良いわ。いや逆に今のままのほうが好都合かも。じゃ行くわよ!」

 母さんに腕を引っ張られて部屋を出される。

 何かよからぬことを企んでそうなのは気のせいだろうか?


 

 母さんに連れられてリビングに入ると、 

「なっ!!」思わず目を見開いた。

 そこには、親友の太一が居たからだ。

やっと、主要人物の一人を出すことが出来ました。


※ 誤字、脱字、修正点などがあれば指摘ください。

評価、コメントも是非にです。


少し、誤字があったので修正しました。

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