ラージダンジョンへの挑戦4
「ハァッ!」
ザシュッ!
「セイッ!」
ドスッ!
「右からも魔物、ホフゴブリンだ! 盾構え!」
階段から三十一層に出ると、あちこちで騎士団の人達が魔物と戦っていた。六人一組でキッチリ魔物に対応し、危なげなく倒している。
「この辺は、黄色か」
騎士団の人達は、受け持つ階層で色分けされている。この三十層から四十層にかけては黄色の布が首に巻かれている七組、四十二人。四十層からは緑で同じく七組、五十層から先で俺達について来る先鋭は赤の一組と聞いている。
他にも陣営を守り、怪我人を避難させる為に白の布を巻いた人達が二組ずつ、黄色と緑の組に付いている。
「では、我らは先に進ませて貰おう」
騎士団の人達に分かりやすいように、今回はアスラさんを先頭にしてダンジョンを進む。有難い事に、以前アスラさん達のパーティが六十層まで到達した時のマップがギルドに提供されていたので、そのマップとアスラさんの記憶を元に順調に進んでいる。
前回の三十二層を過ぎ、三十三層に入った所で、緑の布を首に巻いた騎士団の人たちに追い付いた。
「オーウェン、君たちの班が最後尾か?」
オーウェンと呼ばれた騎士が振り返り、俺達の姿を見て一瞬驚いた後に、ハッと姿勢を正して。
「アスラ卿、もう追いつかれたのですか。緑のズィーベン隊は自分達が最後尾です。先頭は間も無く三十四層へ階段に辿り着くのではないでしょうか」
「君たちが途中の魔物を倒してくれていたから、楽にやって来れたよ」
実際、階段までの最短経路では、魔物の姿は少なく戦闘の数も少なかった。これから黄色隊や冒険者パーティが入って来て、フロア毎に広く魔物を倒してゆけば、かなり数が減らせるんじゃないかと思う。
「三十一層に最初に下りた隊が驚いていましたよ。かなり魔物が多かったみたいですね」
「昨日、我々が倒したのも経路上の魔物だけだったからな」
オーウェンさんと別れた俺たちは、先頭の組を目指して進んだが、基本的には騎士団が経路上の魔物を主に倒して進んでいるので俺たちの出番は少なかった。
「ガァー!」「ッガァー」
「ハッ!」「セイッ!」
「フンッ!」
ガァン!!
「今だ!」
ドスッ!
「グゴガァー!」
三十四層では、二体のトロルと緑の布を付けた騎士団が戦っていた。それぞれが役割通りに動いて対応しているが、トロルの毛で刃が通り難く、苦戦しているようだ。
「手伝いますか?」
俺は気になってアスラさんに手伝うか聞いてみたが。
「不要だ、彼等は訓練も兼ねておる。あの程度であれば問題ない。それより、もっと下まで進まなければならぬのに、この有り様とは……」
確かに……緑布は五十層まで進む班のはずだが、トロルに手間取っていたら四十層まででも厳しいぞ。
ダンジョン入り口で、次々に移動していく騎士団の姿を見ていたときは逞しく感じていたが。中に入ると、その広さから人がバラけてしまう。班ごとで移動しているが、複数の魔物が出て来ると手数が足りていない感じだ。
不安に思いながらも、俺たちはダンジョンを先へと進む。彼等が無事に役割を果たしてくれるように、服の中のペンダントにそっと触れて祈った。
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「くそっ、何だこの魔物の多さは!」
俺たちは王国騎士団から選ばれた先鋭のメンバーだ、多少増えた魔物を減らすのなんて簡単だと思っていたのだが……。
「ハァッ!」
ザグッ!
「くそッ」
ガァン! ガンッ!
力も強く、その体毛で剣の刃が通り難い魔物、トロルを相手にしていると、後方から強者の雰囲気を持った一団がやってきた。
黄金のタテガミ、その立ち姿でわかる豪斬のアスラ。我ら騎士団でも御指導頂いている剣の達人だ。
我らとトロルの戦いを、アスラ卿は鋭い眼差しで見ている。
「情けない所は見せられないぞ!」
仲間にも声を掛けて、トロルの動きを盾で制限する。
ガァン!
「今だ!」
仲間の槍が勢い良く突き出される。
ドスッ!
「グゴガァー!」
トロルは叫び声と共に、黒いモヤへと変わっていった。
「どうですか!?」
咄嗟にアスラ卿がいた場所を振り返って見たが、アスラ卿達の一団は既に立ち去った後だった。
◀▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶
俺たちは三十六層まで下りてきた、ここまでは騎士団の人たちも下りてきておらず。ここからは俺たちが通路上の魔物を倒しながら進まなければならない。
「ハアッ!」
「ウリョ!」
スパッ! ザクッ!
ロウさんが大楯で魔物を止めて、俺とアルだったり、アベルに代わったりしながら魔物を倒す。組み合わせを替えるのも訓練という事なのだろう。
アスラさんとゴドスさんは、見守るだけかと思っていたら、ハグレで出でくる魔物をどちらが先に倒すかと言って、意外と楽しんでいた。
三十六層でも、二人にはまだまだ余裕そうだな。
俺たちも負けないように魔物を倒しながら、ダンジョンをさらに下へと進んでいった。




