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AT『アベルとテツの』冒険譚 if 異世界転生したおっさんが普通に生きる  作者: カジキカジキ


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帰国3

 朝になり、朝食を済ませた僕たちは、ガングルさんの所へ行き、それぞれの武器を見て貰っていた。つい最近では四十層ボスのキングオーガともやり合っているし、その前にはボス級魔物を何体も切り倒している。僕らでもメンテはしているけれど、見えない部分の歪みや弱っている所があれば治して欲しいとお願いしたんだ。


「ふん、それだけの魔物とやり合ったにしては、存外まともな状態じゃないか。まっワシが打った武器だからな、ミスリル製って事もあるし、研ぎだけで大丈夫だろう。やっといてやるよ」


 ガングルさんは、武器をテーブルの脇に押しやると。


「で、お前さん達で六十層まで行こうってのかい?」


 と、凄い迫力で聞いてきた。


 僕たちは圧に押されるのを耐えてガングルさんに答える。


「無茶かも知れませんが、俺たちの力を試したいんです」


 ギシッ!


 威圧を解いたガングルさんが、椅子にもたれ掛かり腕組みをする。


「ふむ、無茶かも知れねえが、無理ではないかもな。ただし! お前さん達二人だけではダメだ。誰か信頼できる奴を二人は連れて行け」


 ガングルさんからそう言われた僕たちは、取り敢えずアルの所へ相談に行った。


「だったら、僕たちも一緒に連れて行ってよ」


 アッサリと連れて行けと言うアル。


「いや、簡単に言うなよ……」


 呆れた感じのテツにぃ。


「確かに、アルとロウさんが居たら戦いやすいけれど」

 

「……」


「ゴドスさんはどう思いますか?」


 ずっと黙っているゴドスさんにも聞いてみた。


「ワシと、アスラ殿も一緒に入って。二人やアルとロウを見守る。基本は四人だけで戦って、最後の六十層では、どうしても手助けが欲しいとなった時だけ手を貸す。と言うのではどうか?」


 それが可能だったら一番安心して僕たちも六十層まで挑めるけれど、アスラさんの都合はどうなんだろう? それに、まだアルやゴドスさんがアスラさんに会えるかどうかも分かっていないのだけどね。


 そう思っていたら、返事は直ぐに来た。と言うか、アスラさんが直接やって来たんだ。


「おー、ゴドスの!」


「久しぶりだな、アスラの!」


 二人は早速お酒を飲んでいる、もちろんガングルさんも一緒に。


「……と、言うわけで。暫く世話になりたい」


 ゴドスさんが頭を下げてお願いすると。


「気にするな、落ち着くまで何時迄もいて構わんよ。それに、二人がどれ程強くなったのかも気になるしな」


 そう言って、僕とテツにぃを見るアスラさん。


 それから数日で、ゴドスさんとアル達はアスラさんの屋敷に移動して行った。僕たちは、明後日にも冒険者ギルドの訓練場に行って、アスラさんと手合わせをする予定になっている。


◀▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶


 ドラコーン王国に行っていたアベルとテツの二人が帰ってきたと聞き。また、ゴドスから世話になりたいと手紙を貰って、ガングル殿の店へと行ったところ、ドラコーンの王子までついて来ていた。


 別に王子も預かって構わないのだが、私の屋敷で良いのかと聞くと、屋根があれば何処でも良いという。


「そう言う問題では無いだろうに……」


 とにかく二人とも問題無いと言うので、お付きの騎士も含めた三人を屋敷で預かる事にして。アベルとテツの二人の成長も確認する為に冒険者ギルドの訓練場に向かったのだが。


「やはりお主らも付いてくるのだな」


「勿論! アスラさんの剣術を見られるとあれば見逃せません! 剣闘大会での話はゴドスから何度も聞かせて貰っていますから、良ければ僕とも手合わせお願いしたい程です!」


 と、アルまでついて来た。まあ、アルが来るとなればロウも付いて来て、ゴドスも一人は嫌なのかついて来たので結局皆で来たのだが。


「ハッ!」「フンッ!」


 ガン! ヒュッ! ガッ!


「ヤッ!」


「ソレッ!」


 先に来ていたのか、アベルとテツが体慣らしの手合わせをしていた。


 その周りで、ずっと見ている他の冒険者達。


「お前たち、ボーッとしてどうした?」


 見ていた一人に声を掛けると。


「あっ、アスラさん。いや、あの二人なんですけれど、さっきからずっと手合わせしているのが激しくて、見ない顔ってのもあって、皆が見入っているんです」


 そう言われて、二人を見ていると。


 なるほど、軽い動きに見えて剣速は速くて重い。二人の雰囲気も軽く見えるが、あれはかなりレベルアップしているな。


「ふう」


 二人が休憩に入った所で声をかける。


「随分と腕を上げたようだな」


「あっ、アスラさん。見ていたんですか? 声かけてくれたら良かったのに」


 アベルは相変わらず気軽に話してくれる。気遣われる事が多くなってくると、この気軽な感じが嬉しくも思う。


 テツも水を飲み、汗を拭きながらこちらへやってくる。


「アスラさん、いつでも大丈夫です!」


 ふん、良い眼をしている。


 ・

 ・

 ・


 二人との手合わせは、私も久しぶりに存分に力を出せたと言える内容だった。二人はダンジョンレベルが上がり、力だけでなく。攻撃に対する反応や、受け、払いからの切り返し、揺さぶりなど。ダンジョンの魔物だけでなく、人との対戦でも十分に成長が見られた。


 その後は、アル王子や騎士のロウからも手合わせを願われて対応し、アベルやテツは、他の冒険者とも手合わせを行っていた。


 最後に「アスラよワシとも一戦」とゴドスが入って来たところで……。


「やめて下さい!」


 とギルド職員に止められて、あの時の再戦は叶わなかった。


◀▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶


「それで、ラージダンジョン六十層への挑戦に付いて来て欲しいのです」


 訓練場での手合わせが終わり、アベルたちも連れて屋敷まで戻った所で。テツから相談があると言われて聞いてみれば……。


「六十層……アースドラゴンに四人だけで……か」


 グッと四人を見る。四人は既に気持ちが決まっているのか、ジッとして返事を待っている。


「ゴドスと私は見届け人と言う事か……本当にいよいよと言う時まで手出しはしないぞ?」


「「はい!」」


 特にアベルとテツの気持ちは強そうだ。私は、テツの話を了承し、ラージダンジョン六十層への挑戦に付き合う事にした。


 十年ほど前、とある冒険者達による六十層の攻略。その際にダンジョンクリスタルの部屋が現れなかったと言う噂。それをもう一度確認することは、この十年叶うことはなかった。


 その噂を、アベルとテツが解き明かそうと言うのだ。我々年長者は、若者の挑戦が無謀であれば守ってやれば良い。可能性のある無茶な挑戦は、応援してやろうではないか。


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