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AT『アベルとテツの』冒険譚 if 異世界転生したおっさんが普通に生きる  作者: カジキカジキ


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王都へ5

 メイドさんを先頭に、アルの自室に向かって歩いている途中。


「王妃様、魔石を凄く見てたね」


「そうだな、かなり見入ってたな」


 アルは黙って歩いている。


 自室のドアが開けられ。騎士が室内を確認した後、アルと僕たちが室内へと入る。


 パタン、とドアが閉じると。


「ふーっ」


 息を吐き、急に力が抜けたように椅子に座り込むアル。


「アル?!」「王子!」


 慌ててメイドさんがアルへと駆け寄る。


「いや、大丈夫。いきなりお母様やケンデュロスと話す事になって緊張したんだ」


 メイドさんがお水を用意してアルへと渡すと、アルは一気に飲み干した。


「あのさ……」


「ダメだぞ! アル!」


 アルが言いたかった言葉を、最後まで言わせずに途切る。


「まだ何も」


「お前の言いたい事は分かってる。あの魔石を母親に譲ったらダメかって聞きたいんだろ?」


「何で?」


「お前の顔を見ていたらわかるさ。とにかく、それだけは絶対にダメだ! 最悪リザリスさんとの婚約も無くなってしまうぞ」


 婚約が無くなるの言葉にビクッとするアル。


「そんなの、リザリスにはちゃんと謝るし」


「ダメだ! そんな事をするのなら、俺たちもお前の友達を辞めるからな」


「テツにぃ!」


 アベルも、俺の言葉に驚いて突っかかって来たけれど。


「そうですよね? 俺の方が正しいですよね? メイドさん」


 突然話が振られたメイドさんは当然意味が分からない顔をするが。


「こいつは、リザリスさんにプロポーズで渡したあの魔石を、お母さんに渡すって言ってるんですよ」


「「!!」」


 突然、部屋の温度が下がる。まるでダンジョンのボス部屋でボスが現れる前のような。


 訳が分からず狼狽えるアルと、周囲を警戒するアベル。


 スッと前に出る黒い影。


「王子……サイテー」


 絶対に王族に向けてはいけない目つきでアルを見るメイドさん。


「そっ、そ、そんなに?」


 ・

 ・

 ・


「仕方がない……」


 俺は、自分たちのマジックバックから魔石を取り出して。


「これを持ってお母さんに渡してこい。あの魔石はあげられないけれど、この魔石をお母さんにって言ってな」


 そう言って、暴走したダンジョンで倒したキングオーガの大魔石を渡す。


 メイドさんを見ると、腕組みしてウンウンと頷いている。


「でも、これは」


「元々倒したのはアルだったし、アルがお母さんと仲直りする為の、俺たちからのプレゼントだよ」


 ほれ、と魔石をアルに渡すと。メイドさんに言ってアルを王妃様の所まで連れて行って貰った。


◀▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶


 お母様の私室へと向かっている途中。


「良いご友人に出逢われましたね、ガルバルド王子」


 魔石を持って歩くメイドが、まるで姉のような態度で二人を誉める。


「まったくだ」


「王妃様は。赤色もお好きですが、事の他青色が大変お好きであられます。この魔石は青の大魔石、それにガルバルド王子からの贈り物となれば、王妃様もとても喜ばれると思いますよ」


 そう言われて思い返すと、お母様が持っていた小物や身に付けているアクセサリーに青色が多かった事を思い出した。まさかテツさん、そこまで見ていたのか?


 お母様の私室に着くと。中のメイドに訪問を伝えて貰う。


 暫くして。


 カチャリ、と扉が開き中へと案内される。


 室内には、ゆったりとした私服に着替えたお母様。服の色は白に青色の刺繍が入っていた。


「どうされたのですか? お父様達に剣を見せるのでは無かったのですか?」


 僕は、ドキドキしながらお母様の前へ進み。メイドが持っていた魔石を受け取ると。


「これを。お母様にお渡ししたくて、持って参りました」


 そう言って。魔石に被せた布を取り、お母様に差し出す。


「ッ!?」


 目を見開き、驚くお母様。


 お母様の手を取り、魔石をお母様に渡す。


 ジッと魔石を眺め……。


「ガルバルド……これを、私に?」


「はい。先ほどの赤の魔石は渡す相手がいるので、こちらをお母様にと思い、お母様は青がお好きでしたよね?」


 ハッとした顔で僕を見るお母様、その瞳には綺麗な涙が溢れそうになっていた。


「好きな色……覚えていてくれたのですね」


「お母様に。初めて摘んできた庭の花も、青色の花でした」


 お母様の目から流れる涙が止まらなくなった。


「ガルバルド……ガルバルド、長いこと意固地になっていてごめんなさい。貴方は何も悪く無かったのに、貴方が一番悩んでいたのに、母親として何もしてあげられずにごめんなさい」


 そう言って、お母様は暫く僕の胸で泣いていました。


 ・

 ・

 ・


「そう言えば、あの赤の魔石はどなたに渡すの?」


 帰り際、お母様から突然聞かれた言葉。


「渡す相手がいるのでしょう?」


 お母様も。周りのメイドも、話を聞くまで帰さないつもりだ。


「シュットガルド侯爵家のリザリス嬢に、結婚の約束をさせて頂きました」


「受て頂けたの?」


「勿論です!」


 メイド達がキャーキャー言っている。


 お母様は、優しい眼差しで僕を見ると。


「今度、お茶会に招待なさい」


 そう言うと、僕をお父様の部屋へと送り出してくれた。

 

 ・

 ・

 ・

 

 お父様とケンデュロスは、ワイワイ言って魔剣を振り回したり、撫でたりしてとても楽しそうだった。


「疲れた……」


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― 新着の感想 ―
アルくん…魔石だからピンとこないのかもしれないけど、好きな娘に婚約指輪を見せて結婚しよう!て言って了解もらった後でその指輪お母さんにあげるようなもんだよ…
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