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AT『アベルとテツの』冒険譚 if 異世界転生したおっさんが普通に生きる  作者: カジキカジキ


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アルの想い

「ガルバルド王子、次はどうなさいますか? 予定より早く戻られましたが、まだ旅は続けられますか?」


 ドルドラ卿の書斎で、僕はドルドラ卿と二人だけで話をしていた。


「もう旅は終わりにするよ。リザリスの事もあるけれど、僕は父と話しをしなければならない」


 僕の顔を見て、ドルドラ卿は頷き。書斎の引き出しから一枚の紙を取り出した。


「それは?」


 卿は、僕の目の前に紙を置くと。


「第二王子を次の王に推す、第二王子派のリストです。このリストの連中を減らしつつ、中立派を取り込むために、私も王都へご一緒しようと思っております」


「!?」


義息子(ぎむすこ)にも、少々灸を据えてやらねばなりませんからな」


 そう言ってドルドラ卿が高笑いを見せたかと思うと、急に鋭い眼光で僕を睨み。


「ところで、ガルバルド王子は我が孫娘をどう扱って下さるおつもりで?」


 そこには、キングオーガより怖い孫馬鹿祖父の顔があった。


 ・

 ・

 ・


 数日後……。


 屋敷の前には立派な馬車が何台も並び、主人が乗るのを待っていた。


 さすがに王都へゆく侯爵が歩きという訳にはいかず。僕らも全員馬車での移動になった訳だが。


「馬車って苦手なんだよねー、お尻が痛くなるし」


 アベルの声に、緊張していた僕の顔も緩む。


「侯爵家の馬車だ、クッションも積んであるし快適なはずだよ」


「けれども、馬車で二十日も掛かるんだよね?」


「真っ直ぐ行けばもっと早いが、今回は途中で寄り道もあるのでな。我慢しておくれ」


 僕とアベルの会話を聞いて、ドルドラ卿が近寄ってきた。アベルの背中をポンと叩き笑う。


 次々と荷物が積まれる馬車。


「間も無く出発するぞ、忘れ物はないか?」


「大丈夫です!」


 僕たちは、それぞれの馬車に分かれ。最初の目的地、隣領のシャーナンドへ向けて出発した。


◀▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶


 馬車が出発し、領都の門を出てから街道を進み始めた頃。

 

「ちょっとー! その馬車止まりなさーい!」


「あれ?」


 何となく聞き覚えのある声に、馬車の窓から後方を見ると。出発した馬車の列を、すごい勢いで走って追いかけてくる人影があった。


「私を置いて行くなんて許さないわよー!」


 驚いた護衛の騎士たちが剣を構えて待ち受ける。


「ま、待った! あれはもう一人の客人だ!」


 ロウさんが慌てて最後尾へと馬を走らせ、走ってくる人影へと近寄った。


「グルガンさん、大丈夫です! 間に合いましたから! 落ち着いて、あの馬車に乗って下さい!」


 グルガンさんは、ロウさんに指示されて僕たちの乗っている馬車に無事合流出来た。


「グルガンさん、良かったね間に合って」


「間に合って良かったね。じゃないわよアベル! 何よあの手紙は!「もうすぐ街を出るから荷物纏めておいてね」って。出発の日も書いてなくて、冒険者ギルドで今日出発って聞いて慌てたわよ!」


「冒険者ギルドに預けておけば、グルガンさんが立ち寄ったら伝わるかなって思ったんだけど」


「伝わったけど、もっとやりようがあったでしょう! もう!」


 馬車の中が急に賑やかになったけれど。とにかく、無事にグルガンさんも合流出来て、王都に向けて出発できました。


◀▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶

 

 後方で何かあったみたいだけれど、今回の旅の経路はこうだ。


 侯爵領を出発し、左手に小高い山々を見ながら北へ登り隣領のシャーナンドへ。シャーナンドはシュットガルド領とは友好領で領主と軽く会食。シャーナンドからは南へ進みいくつか街を通り過ぎて、一つ隣のオウルスト領へ入りオウルスト伯爵と面会予定。既に早馬を飛ばしてそれぞれの領には手紙を運ばせている。


「シャーナンドの所はすぐに済むとして、問題はオウルストだな」


「オウルスト領はドラコーン王国最大の農地を持つ領地でしたね」


 僕とドルドラ卿、リズ姉は同じ馬車で移動している。僕の騎士になったロウは騎馬で並走しているはずだ。


「さよう、ドラコーン王国の中では唯一、作物が育ちやすい土地で、この国の最も重要な場所の一つだ」


「代々オウルストの領主は『我らの責務はドラコーン王国の民を飢えさぬ事』と言って(まつりごと)には積極的には関わってこなかった中立派だが、今回はここに第二王子派が何か仕掛けてきておるそうでな。せめて中立派の立場を守って貰いたいと話しを通しておきたいのだ」


 僕はドルドラ卿の話をしっかりと聞き、学び取り、知識として活かそうとした。


 今は自分の力だけではどうにも出来ない。確かに入れ墨を見せれば簡単に認めてくれるだろう。だけど、それでは誰も付いてきてくれない。あっという間に一人になり、策略を張られ、飾りだけの存在になってしまうだろう。


 そんな僕に見せるために、ドルドラ卿は僕を連れて回ってくれるんだ。僕はその期待に応える為にも、一言一言を漏らさず聞き取り、自分の力としたい。


「!」


 僕の緊張が伝わったのか、リザリスの手が僕の手の上に重なってきた。


「大丈夫よ、ガルバルド。あなたはこの半年にも満たない旅の間だけでも沢山のことを学んだわ。あなたの力になってくれる存在も増えている。すぐに結果を出す必要もないわ、焦らないで大丈夫」


「リザリス」


 ・

 ・

 ・


「ウォッホン!」


 慌てて手を離す僕たち。


「王子、まだ正式に発表される前ですからな。迂闊に他人の目に入りでもすれば足をすくわれますぞ」


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