リザリスの記憶6
翌日、朝食の時に入ってきたメイドさんが、リザリスさんが起きた事を知らせてきた。リザリスさんも朝食の為にここに来るという事だ。
僕たちは、食事が終わっても席を立たずにリザリスさんが来るのを待った。
「おはよう」
リザリスさんが入ってきた。緩やかな薄水色の服でスカートもふわっとしている。おばあちゃんとお揃いなんだね。
リザリスさんは、食欲はあるのか朝食をしっかりと食べ。アリアンテ男爵のお茶を飲むと幸せそうな顔をした。
そして、さっきからソワソワしているアル? おばあちゃんに言われたでしょ!
カチャリ。
ゆっくりとお茶を飲み、茶器を戻したリザリスさんがアルの顔、そして皆の顔を見回すと。
「さて、私に聞きたい事があるのでしょう? 何でも聞いて下さいな」
皆、顔を見合わせて誰から話すのかと押し合っていると。
「んん゙っ」
アルが咳払いをして聞き始めた。
「リザリスは、その……辺境伯領での事は、どこまで覚えてるのだ?」
リザリスさんは、アルの言葉に頷いてから。
「そうだな。ふざけた存在のジョーカーから別のダンジョンに飛ばされて、暴走したダンジョンを止める為に皆で十層まで行った」
皆がリザリスさんの言葉に頷く。
「そこで、ホフゴブリンの最後の足掻きで私が足を掴まれ隙を見せてしまった時、キングオーガの剣が飛んできたのだったな」
「それで……」
「うん、その先は……何となくアルが私のそばで叫んでいたような気もするが。それがダンジョンの中なのか、この屋敷のベッドでの事なのか、はっきりしないのだ」
「辺境伯領からここまでの帰り道の事は?」
「そこは、覚えていないと言える」
「なるほど」
そこまでの話を聞いて、アルが少し小さくなってしまった。
「目が覚めて、この屋敷での事は?」
「そうだな。何となく、思い切り体を動かしていた気がするが。後は、昨日ベッドから起きた辺りから……かな」
リザリスさんが忘れているのは。ジョーカーから生き返らせて貰って、ここに帰ってきて昨日の免許皆伝の試練で気を失った所まで……って事かな。
「その位なら……思い出せなくても困る事もないのかな?」
「困る! 僕は……困る」
アルが突然大きな声で叫んだと思ったら、また小さくなってしまった。
皆、訳が分からず顔を見合わせて居たんだけど。おばあちゃんだけは優しい眼差しで二人を見ていた。
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朝、目が覚めると「やはり……」と言う感想しかなかった。
私は、いつの間にか辺境伯領を出てシュットガルドのお祖父様の屋敷にいた。メイドのスーダンに聞くと、私たちは二日前に到着したそうだ。昨日は私がお祖母様にお願いして免許皆伝の試練を受け、その衝撃で気を失ったらしい。
朝の身支度を終えて、食堂へと移動する最中にもスーダンは昨日までの事を話してくれた。
その、最後のアルとの会話は恥ずかし過ぎるのだが……。
食堂へと到着すると、他の皆は既に食事を終えて私を待っていた。私は、ゆっくりと食事を済ませ、お茶を楽しんでから皆に向き合った。
私が覚えている事を話すと、皆はホッとしたような表情を見せたのだが、アルだけは小さくなり。
「困る! 僕は……困る」
と叫んでいた。
それは……先ほどスーダンからも聴かされたあの会話の事か。
スーダンを見ると、頬を両手でおさえ真っ赤になっている。なにを想像しているんだスーダン。
とにかく、私が思い出していない間の出来事を教えてもらい。今後、どうするかを考える事になった。




