続ドラコーン王国の旅5
先ほどから辺境伯がグルガン氏の事をチラチラと見ている。
「あなた、失礼ですよ」
気にした奥様が思わず声を掛ける。
「あ、あいや失礼した」
「私に何かお聞きしたい事でもあるのでしょうか?」
グルガン氏は、視線を気にせず聞き返す。
「グルガン……氏は、高名な防具職人とお聞き致しましたが、防具の注文は受けて頂けるのでしょうか?」
「嬢よ……」
「え?」
「グルガン嬢と呼んで頂戴。辺境伯の言いたい事は分かっているわ、ダンジョンを攻略する部隊の防具を作って欲しいという事でしょう?」
辺境伯は驚いた顔をして私たちの顔を見ると、大きく息を吐いて。
「アリアンテ男爵の所から来られたのでしたな、義兄は余計な心配をしてくれる」
どうやら、辺境伯の奥様のお姉さんがアリアンテ男爵の奥様だと言うことで、アリアンテ男爵は辺境伯の義兄という事でした。
「察しの通り、私たちはアリアンテ男爵から新しいダンジョンで起こった問題の話しも聞いています。その事については、私たちも協力するつもりでここに来ています」
辺境伯の顔が一瞬喜び、そしてすぐに慌てて王子の顔を見る。
「大丈夫、僕もこの旅で力を付けた。ダンジョンの調査には僕も行くよ」
「しかし!」
何か言いかけた辺境伯を奥様の手が止める。
「皆さまには何かお考えがあるのでしょう、お願いしてはどうかしら」
奥様に諭されて、辺境伯は渋々ながら私たちがダンジョンに入る事を認められた。但し、無理はしない事、何か異変を感じたり危険があれば直ぐに戻る事を条件に。特にアベルとテツには、絶対に王子に怪我をさせないと約束させていた。
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ダンジョンに入る前に準備を進める。
今回のダンジョンはほとんど情報の無いダンジョン。先に入った冒険者から聞き出せた僅かな情報だけなので準備にも時間を掛ける。ダンジョン前ギルドもまだ完成しておらず、ダンジョン前の登録ポータルには簡易の小屋が建っているだけだと言う。
マジックバックは辺境伯から時間停止の付いたバックを借りられたので食料をメインに入れるだけ入れた。各種色魔石も用意されていた。辺境伯が軍備からかなりの量を出して貰ったが、軍を出すよりはマシだと言う。
アルとリザリスさんの防具はグルガンさんの手によって新調され、僕らの防具は革の部分をより上位の魔物の革で強化された。
ダンジョンに入るメンバーも僕たち四人の他に、辺境伯の騎士から重戦士一人と冒険者ギルドから斥候に優れた冒険者が一人入る事になった。
グルガンさんは、辺境伯からの依頼で防具の生産をお願いされて、元々ダンジョンも得意ではないと言う事で残る事になった。
僕たちはこの六人で資源ダンジョンの一つのミドルダンジョンへ連携の訓練に入ったんだ。
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森の奥から斥候のキリギスさんが駆け出してきた!
「来るぞ! ハイウルフが三! 遅れてオーガだ」
ガサッ! ザザッ!
「ハッ」「うりょ」「セイ!」
キリギスさんの後ろを追いかけてきたハイウルフを、僕とアル、テツにぃで倒す。
「ゴガァー!」
続いて森から出てきたオーガに対して、辺境伯の騎士のロウさんが大楯を構えて対峙。オーガの攻撃はロウさんの大楯が全て防ぐ。
その横からリザリスさんとテツにぃの長柄組でオーガに傷を負わせ、弱らせた所をリザリスさんのグレイブの一閃でオーガの首が落ち、黒いモヤに変わった。
「ふーっ」
落ちた中魔石を拾ってリザリスさんに渡す。
今回、このパーティのリーダーはリザリスさんに決まった。絶対に帰さなければならないアルと、必ず一緒にいるリザリスさん。僕たちはアルを守り何があっても二人を逃がせる体制を作る。
何事もなくダンジョンの調査が終われば良いのだけれど、先の調査隊が帰らなかった事。冒険者たちも大怪我して帰ってきた事を踏まえて、最悪の事態も考えた行動をとっていた。
「それでは、最後に三十層のボス戦を行ってから終わりにしますか」
リザリスさんがそう言うと、キリギスさんを先頭にして全員で三十層への階段に向けて歩き出す。
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「ごめんねー、また来ちゃった」
三十層のボス部屋に入ると、そこにはボスの代わりにジョーカーが待っていた。




