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AT『アベルとテツの』冒険譚 if 異世界転生したおっさんが普通に生きる  作者: カジキカジキ


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ポタタ計画2

「二人にも手伝って貰ってすまんかったな」


 ドルドラさんがいつもの格好に着替えて戻ってきた。あの格好のままでも良かったのにな、久しぶりにゴウタウンの事思い出しちゃった。


 僕たちはお城の保存庫に案内されて、ポタタや大豆の他、農具に焼石灰など。ヴァルスガルド王国でアスラさんから借りたマジックバックの中身を、ドルドラさんが用意した別のマジックバックに移し替えてた。


「大丈夫ですよ。けれど、お任せして良かったんですか?」


 ドルドラさんは難しい顔をして近寄りながら。


「これは我が領での問題だ、これ以上迷惑かける訳にもいかぬ。それに、お二人はまだ旅の途中でもあるのだろう? ポタタの事はまた帰りにでも我らの成果を見てくれると良い。それに王子や孫もこの国を見て回れる良い機会だ、二人の事も押し付けてしまっておるのでな、これくらいは任せて貰って構わんよ」


 最後は、いつもの優しい笑顔になって僕の頭を撫でてくれた。


◀▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶


「アルとリザリスさんも用意はいいかい?」


 それから三日間ドルドラさんの所にお世話になり、俺たちは次の旅に出る事にした。次は西に進んで海沿いをぐるっと北上、山脈に当たって東へ戻りながら、もう一度ここへ辿り着く予定。一年くらいは大丈夫だと言われたのでゆっくり回って見てきますね。


 アルは顔の刺青が目立つので、フード付きのマントと顔を半分覆う布を巻いている。出来るだけ目立たないようになんだが、今のアルの姿を見て第一王子って気付く人いるのか?


「お祖父様、お祖母様。行って参ります!」


 リザリスさんも、ドルドラさんとウリスラさんに挨拶が終わったようだし。そう言えば、俺の長巻の柄の部分も赤く塗られていた。ウリスラさんが言っていた免許皆伝の印なんだそうだ。


「では、行ってきます!」


 俺も、お二人に出発の挨拶をする。


「おじいちゃん、おばあちゃん行ってきます」「行って参ります」


 他の二人もそれぞれ挨拶して、いよいよ出発だ!


 ・

 ・

 ・


 街の門を出ると、街道は一旦海の方へと進む。そこからはずっと海を見ながら西へと進む事になる。相変わらずアベルとアルはずっと話しているが、アルに少し笑顔が戻ってきてる気がする。


「リザリスさんは、アルと話したんですか?」


 リザリスさんは、前を歩くアルの姿を見てフッと笑顔を見せた。


「お祖父様とお祖母様からも言われたよ。一度本心で話してみろとな、私はウジウジと悩んでいるアルが嫌いだったんだが。今のアルはそれも薄まってる気がするから、この旅の中で話してみるさ」


「それがいいと思います」


 予定では一年はこの国を見て回るつもりなので、時間はたっぷりある。それまでに仲直りして下さい。

 

◀▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶


 僕とアルは並んで歩いている。左手側に海が見え、とても眺めが良いから歩いていても気持ちいい。後は、アルと前のように気軽に話せるようになれるといいな。


「おばあちゃん凄かったね」


 お城にいた三日の間に、僕とアルは何度もおばあちゃんと手合わせをしたんだけど、やっぱりおばあちゃんには敵わなかった。


 僕のスピードもアルの力もどちらも軽くいなされて、最後は気がつくと負けている。おばあちゃんは経験だと言っていたけれど、それだけじゃないよね。一応色々教わったりもしたんだけど、後はこの旅の内にリザリスさんに教えて貰うつもり。


「あの方は特別だ」


「んー? 凄いとは思ったけれど、特別なのかな?」


 アルがキッと僕を睨む。


「特別でなければ、何だと言うのだ?」


「そうだねぇ、元々おばあちゃんが持っている強さもあるんだろうけれど、戦ってきた経験かな?」


「何でそんな事が分かる。アベルだって経験は少ないだろう?」


 僕は、襟元に付いた襟章に触れて。


「僕たちが旅を始めて直ぐの頃なんだけど……」


 ・

 ・

 ・


「と言う経験をさせて貰ったんだ。初めて会った時のレベル四十オーバーと言う凄さと、今の僕たちが感じるその強さは多分違うと思う、僕たちが強くなったからと言われたらそれまでだけど。だけど、それだけじゃない! ドルガさんが弱くなった訳じゃないし、おばあちゃんが弱い訳でもない。僕たちがダンジョンに入ってボスを倒して経験を積んで、旅をして回って積んだ経験も積み合わせてやっと感じられる世界なんだと思う」


 アルは黙って聞いている。


「アルはこの前、六十層のボスを倒してレベルいっぱい上がったでしょ? だけど戦う回数は全然足りてない、積んだ経験も少ないんだと思う。今から旅して回る一年間は、そんな足りない経験をいっぱい積んで来いっていう、おじいちゃんとおばあちゃんの励ましの気持ちなんだろうね」

 

 アルが立ち止まって、おじいちゃんとおばあちゃんが居る城の方を振り返る。お城はもう見えないけれど、アルは頭を下げてからまた歩き始めた。


 

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