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AT『アベルとテツの』冒険譚 if 異世界転生したおっさんが普通に生きる  作者: カジキカジキ


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ドラコーン王国の旅4

 あれから、何とも言えない雰囲気のまま次の旅が始まった。アルとリザリスさんを二人にしない方が良いかと思い、途中の宿屋や野宿の時も僕かテツにぃと分かれるように暫く過ごしていたんだけど。


「ねぇテツにぃ、今日がチャンスなんだから、ちゃんと聞いてね」


「分かってるよ、オレから言うから」


 今日は野宿の予定。組み合わせはテツにぃとリザリスさんで、僕がアルと組む番だ。昼間、アルには色々手伝って貰ったりして疲れさせているから、きっと夜はすぐに寝てしまうはず。


◀▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶


 パチパチと薪が爆ぜる音と虫の声、風の音以外は魔物や動物の気配もない静かな夜。


 オレの横にはリザリスさん。最初の頃、武器や剣術の話で盛り上がりかなり仲良くなっていたと思う。先日の件で少し話し難く(にくく)なってはいるが、オレの事は嫌われてはいないはずだ。オレは心臓がどうにかなったのかと思うくらいドキドキさせながら、思い切ってリザリスさんに声を掛けた。


「あの、リザリスさん……」


 リザリスさんは、寝ている二人を起こさない為にか、声を出さずに顔をこちらに向ける。


「リザリスさんは話し難いかも知れませんが、アルの事故って何だったのか教えて頂けませんか?」


 リザリスさんは、話しかけられた意図が分かっていたのか、暫く焚き火を眺めたあと少しづつ話し始めた。


「もう数日も進めば私の故郷の街に入る、そうなれば私の身分もアルの事も知られてしまうだろうから、ちょうど良いのかも知れないな」


 リザリスさんは、ここから六日ほど進んだ先にある侯爵領の領主の娘だった。侯爵領に住んでいるのは祖父母で、父親と母親は王都の屋敷に住み、王城で大臣の役目で働いていると言う。


 アルはこの国の第一王子、正式な名前は『ガルバルド・アルス・ドラコーン』 アルと言うのは幼い頃の呼び名でリザリスさんも久しぶりに呼んだと言う事だった。


 話しにあった弟とは、もちろん第二王子と言うことになる。生まれて間もない弟王子とガルバルド王子が初めて会った時に事故は起こった。


 なんと、ガルバルド王子が赤子の手を握り潰してしまったのだ……。幸い、周りには身内と一部のメイドしかおらず誰もこの話を漏らさないように王女からキツく言われ。怪我も王城に準備してあった白魔石ですぐに治され完治し、その後の後遺症もなにも無かったのだが。


 どこからともなく第一王子が弟王子を殺そうとしただの。弟王子の力を妬んだ第一王子が剣を持てないように仕組んだ。と言った噂が王城の中で密かに広まっていた。


 実際には、弟王子は生きており、手も白魔石で治療され見た目では普通に過ごされていたので噂はそれ以上広まることも無かったのだが。


 弟王子が十二歳になった年の成人の儀式でソレは起こった。


 ドラコーン王国では、初代国王のドラコーンの伝説により十二歳になると成人の儀式が行われ、王家の血筋と力を示す赤い刺青が体に現れると言う。


 初代ドラコーンの肖像画には、全身に赤い刺青が描かれておりその血統が表されているが。今代の王は第二十三代、既に五百年以上の時が過ぎ、赤い刺青は体の何処かに僅かに現れる程度となっていた。


 現に、第一王子のガルバルドも、背中に薄く現れていただけで真の後継者ともてはやされていた。


 それが……。


◀▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶


「おおおおおおおっ!」


 王を始め、成人の儀式に立ち会った貴族や文官達にざわめきが広がる。慌てて表に飛び出して行った文官もいた。


「これぞ、真の後継者の証! 第二王子ケンデュロス様こそ王位を継ぐに相応しいお方ですぞ!」それまで第一王子派だった侯爵が叫ぶ!


 弟王子……成人の儀式を終えて正式に第二王子となったケンデュロス王子の額にはしっかりと赤い刺青が現れていたのだ。


 侯爵の声はあっという間に城内に広まり、それまで第一王子派だった貴族が続々と第二王子派へ鞍替え。王も周りの貴族や侯爵に諭され第二王子を後継者と考えるようになっていたと言う。


 そんな中で、ずっと幼い頃から面倒を見てくれていたゴドス卿からガルバルド王子と旅に出てみないかと声を掛けられた。


 あの事故以来、力を使うことを怖がり表に出なくなってしまったガルバルド王子。リザリスの両親は早々に第二王子派を名乗ったので、自分からガルバルド王子に会いに行くこともできず、ガルバルド王子に対する鬱憤(うっぷん)ばかり募ってしまっていた。


 ゴドス卿は、城から出て外の空気を吸えば、何か新しい事が始まるかも知れない。丁度よく隣国から腕の立つ冒険者もやってくるので、身分を偽り四人で国を回ってくると良いと送り出されたのだ。

 

◀▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶


「そうだったのですね……」


 弱くなっていた焚き火に薪を追加して火を強くする。


「話してくれてありがとうございます」


 リザリスさんは俯いたままジッと何かを見つめていた。


 リザリスさんは話してくれたけど、正直オレ達に何か出来るかと言われると難しい。ドラコーン王国は力が一番、王家はその刺青が血統を示すとなれば、今のままでは第二王子の方が圧倒的に有利だろう。アルを王様にしたいかと聞かれたら正直オレらには分からない。アル……ガルバルド王子の気持ち次第だろう。


 まだアルとリザリスさんとの旅は続く、その途中で何かキッカケがあれば良いのだけれど。


本日の更新で十万文字を超える事が出来ました。これも、読んで貰えている皆さまのおかげです。

 皆さまの反応、応援が励みになります。

これからも『AT「アベルとテツの」冒険譚 if 異世界転生したおっさんが普通に生きる』よろしくお願いします。

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