ドラコーン王国の旅2
翌朝。朝食を食べるために準備をしていると、隣の部屋からもガタゴトと音が聞こえてきたので間も無く出てくるかな。
僕らが部屋を出ると、ちょうど隣のドアも開いた。
「おはよう、アル」
「おはよう、アベル」
「「……」」
テツにぃとリザリスさんは何故か無言で挨拶してる。
朝食は麦粥に肉! 朝から肉! アルもリザリスさんも普通に食べているけれど、結構な厚さの肉をガブリと食べているよ。まあ、僕らも全部食べたんだけどね。
「さて、今日も頑張って歩いて次の街を目指すよ。ダンジョンの街、リリザスへ出発!」
昨日までの道は王都に繋がる街道だったので整備されていて道幅も広かったけど、リリザスまでは大体こんな感じなんだって。
それじゃ僕たちは、体力作りも兼ねてまた走って進みまーす! さあ、アルもリザリスさんも付いてきてねー。
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お昼、僕たちは街道を少し離れた場所で軽く辺りを整えて火を起こし、お湯を沸かします。鍋にも麦粥に干し肉を入れたものを作り皆で食べる。
ドラコーン王国での旅は、少し楽が出来る事になりました。リザリスさんがマジックバックを持っていて、食糧や鍋などを入れてくれているからです。本当は僕たちもマジックバックを持っているのだけれど、まだ明かしていません。
地面に直接座らなくても良くなった椅子代わりになる丸太とテーブル。窯を作るためのレンガも入っているんだよ。間口が広いマジックバックだから出来る芸当だね。流石に時間停止は付いていないんだって、そんなの持ってたらどこの貴族様って感じだよね!
そうこうしながら街道を進み、ついに次の街が見えてきました。やっとダンジョンに入れるね! 前にダンジョン入ったのいつだっけ?
今日も宿屋に泊まって、いよいよ明日はダンジョンです!
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「リリザスダンジョン前ギルド、受付のリューシャです。よろしくお願いします」
僕たちがダンジョンに入るために冒険者証を受付の職員さんに見せると、とても丁寧な対応が帰ってきた。
「「よろしくお願いします」」
アルとリザリスさんは冒険者証の確認のみ、僕たちは国王発行の許可証を見せて無事に入れたよ。許可証を見た時の職員さんの顔はとても面白かったけどね。
「「ええぇー?!」」
ダンジョン入り口の階段を下りて、一層に出た僕たちは驚きの声を上げた。
「どうしたの?」
一層から驚いている僕たちに、アルが不思議な顔して聞いてくる。
「一層から空がある!」
そう! ヴァルスガルド王国だとミドルダンジョンの十一層から空がある階層だったのが、ここでは一層から空があったんだ! アル達は『平原のダンジョン』と呼んでいるみたいだけど、場所によってこんなにも変わるんだね。
出てくる魔物は僕らの知っているマウスやラビット、アントだったのでサクッと倒してどんどん階層を進んだ。
七層まで進んでコボルトやゴブリンをサクッと倒している辺りから、リザリスさんの対応が変わってきたんだ。
「あ、あの。アベル殿? 今、何をされたのでしょうか?」
向かってきたゴブリンの首をヒュッと落とした時、リザリスさんは何が起きたのか直ぐには理解できなかった見たい。
「え? ゴブリンの首を落としたんですけど?」
「あ、いや。それは分かります。でなくて、今、ゴブリンの首がスッて落ちましたよね?」
あっ、切れ味のことを言っているのかな。
「それは、この刀の切れ味の事ですかね? けれど今のように落とすには刀を通す道をしっかり見極めて、刃筋を立ててうまく刀を振れないとできないんですよ。僕も師匠に散々教えて貰いました」
リザリスさんのグレイブでも切れ味が変わらなければ同じことが出来ると思うんだけど。そう思ってテツにぃの顔を見ると……。
「リザリスさんのグレイブでも、振り方をもう少し変えると上手く出来ると思いますよ」
そうテツにぃがリザリスさんにアドバイスしたんだ。
それから、暫くリザリスさんの無双タイムが始まりました。
「あははははははーーっ!」
「あんな嬉しそうなリズねぇの顔、久しぶりに見るな」
僕の耳に、アルのこっそり呟いた声が聞こえてしまった。
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「大変申し訳ない……」
僕らの目の前には土下座するリザリスさんの姿。
リザリスさん、本当に嬉しかったのか階層をドンドン進んで一人で十層のボスまで倒してしまったんだ。
「まあまあリザリスさん、もう立ち上がって下さい。別にオレ達も怒ったりしてる訳じゃないので」
テツにぃがリザリスさんの手を取って立ち上がらせるけれど、リザリスさんは恐縮しっぱなしで尻尾も元気がなくなっちゃった。
僕は、ボスの魔石を拾って宝箱を開ける。
「ねえ皆んな! 宝箱から出たこの金貨で、美味しい晩ごはんでも食べようよ! ドラコーン王国の初ダンジョンと初パーティでの走破記念だよ!」




