隣国へ
デオニスさんが戻って来た!
何故かガングルさんの所にコッソリやってきたデオニスさん。さっきからガングルさんにコソコソとお話ししているけど何だろう?
「だ、だ、だ、だ、大丈夫でしょあか?」
あ、噛んだ。
「そんなに気にするな、これからもっと大きな商売も始まるんだ、それくらい持っていて当然だろう」
どうやら、ゴウさんが昔使っていたというマジックバックをデオニスさんに譲ってくれたらしく、デオニスさんが怯えている。ここに到着するまでも毎日ビクビクしていたんだって。
「間口は広めだが時間停止はないんだろ? それくらいならワシだって持ってるぞ、それに王都で商売する商人だったらマジックバックを持っていない者の方が少ないくらいだろう?」
あれ? マジックバックって意外と持ってる人いる? それなら僕らが持ってても変じゃないのかな?
「王都だとそんなもんですか?」
デオニスさんも、ガングルさんが持っていると言う言葉を聞いて少し落ち着いたみたい。
「そんなもんだろ? 知らんけど」
「「えーっ?!」」
ゴウさんから貰ったマジックバックにはポタタが沢山入っていて。馬車の荷台には大豆の袋と見せかけのポタタの袋が乗せてあるそうです。
あっ、チュータも一緒に来たんだよ! チュータはデオニスさんの弟子になってシャンとした服を着せてもらっていたんだ。似合うねって言ったら恥ずかしがって馬の世話しに行っちゃった。
ガングルさんから大丈夫だと言われたデオニスさんは、アスラさんに連絡を取ってもらい。いよいよ隣国へ向かいます。
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まだでした……。
隣国へ向かうのはデオニスさんと僕たちだけでなく。今度はこの国、ヴァルスガルド王国からの使節団も向かう事になっていて、その人たちの中に混じって僕らも行くそうです。
最初は自前の馬車で参加しようとしたのですが、余りにもボロすぎると言うことで王都でも大店の馬車のお古が回ってきました。
馬車を目の前にしたデオニスさんはアゴが外れそうなほどびっくりしていて、さらにその馬車を持ってきた大店の店主の方とも今後の取引の契約が出来たとかでさらに驚いていたよ。
実は……ポタタを運ぶ用にアスラさんからもマジックバック提供の話があったのだけど、すでに入手済みだと話してそれもデオニスさんの評価を上げる事になったみたい。
出発の日。
王城の門前では派手な出発式が行われているようですが、僕らは王都の一番外にある門の外で待機中です。
「すまぬな、一番重要な役目を任されている者たちがこんな扱いになってしまって」
アスラさんは使節団ではないので僕たちを見送りに来てくれました。
「大丈夫ですよ、僕たちがあの列に並んでいても緊張して何も出来ないですから」
デオニスさんも、並ばないで良いと聞いて本当にホッとしていたもんね。
「来たようだな」
使節団が出発して僕らの前までやってきた。ここで一度止まって、大きな荷物とかを乗せるんだって。
「ん? アスラ殿?」
使節団のリーダーの人がアスラさんを見つけて声を掛けてきた。
「おお、モルドール卿! あなたがこの使節団のリーダーでしたな。この度は大任ご苦労様です」
「ありがとう。で、なぜ貴方がここに?」
「今回、使節団に同行する商人が私の知人でしてな、その見送りに来ていたのですよ」
モルドール卿と呼ばれた使節団のリーダーの人が僕らをジロリと見る。
「ドラコーン王国に新しい作物を届けると言う商人か……。別に、我らだけでも構わぬのにわざわざ商人に頼むとは」
「まあまあ、モルドール卿。届けるのは今回だけとは限らぬ、何度もやり取りするとなれば商人がいた方が都合が良いとの判断であろう」
「……なるほど。おいお前たち、勝手にしろとは言わぬが、しっかりついて参れ。邪魔にはなるなよ」
そう言って、モルドール卿はサッサっと先頭へと戻って行きました。
「すまぬな」
アスラさんが頭を下げたので、デオニスさんも僕らも慌てて頭を上げてもらった。
そうこうしているうちに出発となったので僕らも列に並ぶ。今回の使節団は総勢で五十人程、使節団の主になる人は八人なんだけど、そのお付きの人や食事を作る人、護衛とかでこんなに沢山の人になり、馬車の数も相当だ。
豪華な馬車の集団のほぼ最後尾にデオニスさんの馬車。前はマジックバックに入らない大きな荷物を運ぶ馬車や料理人の人たちの馬車だ。後ろは使節団サブリーダーのコリンドさんと連絡係のサブさん、護衛の騎士が四人だけ。
コリンドさんも貴族なので本当はコリンドさんなんて呼んじゃダメなんだけど、当の本人が笑いながら呼んでくれと言うし。サブさんもコリンドさんて呼んでいるしね。
護衛の騎士の方たちは渋い顔してるけど、仕方ないよね。
これから、約二週間の旅が始まる。こんな大人数での移動とか初めてだからドキドキするな。
章分けはしていませんが、今回から新章に入ります。
第二章、隣国編です。
よろしくお願いします。




