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AT『アベルとテツの』冒険譚 if 異世界転生したおっさんが普通に生きる  作者: カジキカジキ


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剣闘大会2

 せっかくなので、剣闘大会も見物に来ました。


 ガングルさんは貴族籍を持っているので専用の席でゆっくりと観戦できます。


「今回も豪斬のアスラかな」


 そう呟いたガングルさん。豪斬のアスラ? 何処かで聞いたような?


 コン! コン!


「失礼致します」


 その時、観戦席の扉がノックされてお客様がやってきた。ガングルさんも王都で有名な鍛冶師なので、王都にやってきた他の貴族や決戦に残った冒険者の人が挨拶に来たりするんだって。


「おうアスラか、ちょうどお前さんの話をしていた所だ」


「!!」


 案内されて入ってきたのは、豪斬のアスラさん。丁度ガングルさんが呟いていた本人だった! アスラさんは獣人族で黄金のたてがみが立派なライオン種の重戦士さんでした。かっこいい!


 今のアスラさんの武器はガングルさんが仕立てた逸品で、特にお気に入りなのだそうだ。


「その子らは?」


 アスラさんが僕らに気が付いて声を掛けてくれる。


「そいつらはアストリア伯爵領のゴウタウンからやってきたアベルとテツだ、まだヒヨッコだが目をかけてやってる」


「ゴウタウン? ガングルさんが目をかけてやってるなんて珍しいですね?」


 ガングルさんは頭を指で掻きながら。


「まあ、ワシの師匠の紹介で、弟弟子だからな」


「ガングルさんの弟弟子!?」


 アスラさんは驚いた顔してガングルさんを見る、そしてさっきから手の止まらない皿の上の物を見て。


「で? ガングルさんは先ほどから何を食べているのですか?」


「これか? これは、ポタタチップスだ。こいつらが持ってきたポタタと言う作物で作った食い物だが、パリパリとした食感と塩加減が絶妙で止まらんのだ」


 そう。僕たちは昨日まででフライドポタタの屋台は閉めて、剣闘大会の見学に来たんだ。せっかくなので観戦中のオヤツにポタタチップスを作って持ってきたけれど、さっきからガングルさんの食べる手が止まらなくなってたんだ。


 ほれ、とガングルさんがアスラさんに皿を向ける。


 アスラさんがポタタチップスを一枚手に取って口に入れると。


 パリッと言う音と共に、逆立つたてがみと立ち上がるしっぽ!


 ガングルさんと二人で皿のポタタチップスが無くなるまで食べて帰って行きました。


「何しにきたんだアイツは?」


 それから決勝戦が行われる日までの二日間、毎日アスラさんはやって来てガングルさんとポタタチップスを食べて帰りました。


 同じ獣人族のテツにぃとも気軽に話してくれて、テツにぃもアスラさんのファンになったみたい。


 いよいよ明日は決勝戦、どんな戦いか楽しみです。


 あっミドさんも決戦には出ていたんだけど、始めはトリッキーな動きで相手の騎士の人も戸惑っていたけれど、後半は動きを読まれて入り込まれて負けていました。残念だったね、ミドさん。

 

 ・

 ・

 ・

 

 パーッ! パパパラー、パパパラー、パッパラー!


 決勝戦が始まりました。


 決勝戦に残ったのは、前回優勝者のアスラさんと海を渡った隣の国から来た人だった!


 隣国から来たと言う人は、全身が鱗に覆われて太い尻尾を持った二足歩行のドラゴニア族、遠い昔にドラゴンを祖に持つと言われ、その事を誇りに思う気高い種族の人たちだと聞いた。


 両者が舞台に立ち、特別な玉座に座った王に礼をした後、お互いに礼をする。


「フシュー、強い奴と戦えると聞いてわざわざ海を渡って来てみれば、こんな犬野郎が相手とはな! この国の連中はヒヨッコばかりか?」


 太い尻尾で床を叩き、他を威圧しているようです。


 あれ? 誇り高い種族の方では? どうも誇りに拘り過ぎて自分たち以外の種族を下に見る人もいるようですね。


 アスラさんは全く気にした様子も無く。


「ふん、腕に自信がない者ほど強がって見せる」


 そんなことありませんでした……。


 舞台上はピリピリとした雰囲気が漂っています。近くにいる審判の人は顔が真っ青になって震えているんじゃないかな?

 

「しょうがねえなあ」


 そう言って、ガングルさんが席を立って何処かへ行ってしまいました。


 舞台を見ると、審判の人は震えて試合を始める事が出来ずにいます。


「あれ? ガングルさん?」


 消えたガングルさんが舞台横に現れ、審判の人を呼び寄せて何か話したかと思うと。あっという間に審判の人は舞台を降りて去って行きました。


 代わりに舞台に上がるガングルさん。


「待たせたな! 今から剣闘大会決勝戦を始める! 対戦は、豪斬のアスラと隣国の使者、ゴドス! どちらも準備は良いか!」


 物凄い大声で叫んで、その場を仕切り始めました。


 黙って頷き合う二人。


「始め!!」


 アスラさんが持つのは大剣、ゴドスさんが持つのは太槍、テツにぃは槍を使うので槍に負けて欲しくも無いけれど、アスラさんに勝って欲しい気持ちでモヤモヤしてるようです。


 舞台上の二人の戦いは凄かった、初めは静かに間合いを測っているかと思ったら、あっという間に距離を詰め打ち合う二人。アスラさんの剣の動きもだったけど、言うだけあってゴドスさんの槍捌きも凄かった。


 舞台上を固唾を飲んで見守る観衆達。


 踏み込みで舞台の床石が割れ、凪いた剣の風圧で観客の髪が舞い、力比べではお互いの口から血が滲み、武器を打ち合う音は王城の外まで響いていたという。


 お互いの武器が打ち合いでダメになり、素手で殴り合う二人、いよいよ勝負も引き分けかと思った時。


 たまたま、ホンのちょっと足の疲れから軌道がズレたゴドスさんの拳が、アスラさんの顎先を掠めた。


 脳が揺らされ、一瞬の脳震盪を起こし膝が落ちる。その隙をつき渾身の一発を振り下ろすゴドスさん!


 ゴドスさんの拳は、アスラさんの顔面を捉える直前で止まっていた。


「フン!」


 そう鼻息を吐いて舞台から立ち去るゴドスさん。


 少しして、ガングルさんの肩を借りて立ち上がるアスラさん。二人とも無言で舞台を降りる。


 暫くして観客席がザワザワし始めた頃、玉座から今年の剣闘大会は優勝者無しと発表された。


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