王都のダンジョン
次の日。武器をガングルさんに渡し、あの大剣も材料として使って欲しいと言って渡したら。
一瞥して「フンっ」と言ってポイってされた、あれミスリスなんだよね?!
それからミドさん。昨日の掃除していたドワーフのお兄さんに工房の奥に連れて行かれて、僕とテツにぃの代わりの武器を探したんだ。リーンちゃんも色んな武器が見られるからとついてきた。
「「ほえー」」
何だか無造作に置かれた剣や槍、箱に纏めて入れられたモノの他に。しっかりとした箱に入っているのは凄いやつだったりするのかな?
「あっ、その箱の中は見ちゃだめだぜ! 人には見せられない親方の試作品が入れてあるんだ。まあ、親方が酒飲んで機嫌が良いと、取り出して見せてくれるんだけどな」
ミドさんが見たことあるのは、本体の横に枝分かれしたみたいに小さな刃が生えている剣や、鉄の線で繋がってバラバラになったりくっ付いたりする剣だって、使い方がわかんねーって言ってた。
僕たちは、今まで使っていた剣と槍にバランスの近い武器を選んでダンジョンに入ることになった。
王都には、ミドルダンジョンが二つとラージダンジョンがある。ミドルダンジョンは伯爵領の時みたいに街の外にダンジョンがあるのだけれど、ラージダンジョンは王都の中、三重になってる厳重な塀で囲まれた中にあって。ミドルダンジョンと同じ三十層までは比較的簡単に入れるらしいけど、それより深い層に入るのは特別な許可が必要なんだって。
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「お願いします」
ミドルダンジョンに入るために冒険者証をギルドの職員さんに見せる。職員さんは僕たちの顔をみて、それからミドさんに気がつくと。
「あれ? ガングルさんの所のミドさん?」
「あっ、どうもネネさん。この人らは親方のお客さんで数日前から王都に来ているんです。暫くは王都でダンジョンに入る予定です」
ネネさんと呼ばれたギルド職員さんは、ボソッと「ギルマス案件」と呟いていた。何で?
手続きを済ませてミドルダンジョンに入った僕たち。王都のミドルダンジョンは特別でも何でもなく、初めて入った時と同じ洞窟タイプで倒せば消える魔物しか出ないダンジョンだったよ。
「えい!」
ドゴッ!
「ほぇー」
ミドさんがリーンちゃんの戦鎚の攻撃力をみてたまげている。十層までに出てくる魔物だと完全にオーバーキルだもんね。
リーンちゃんの素早さを上げるために、少しでも多くの魔物を倒すようにして来たおかげでコボルト相手でも振り回されないようになってきたね。
「リーンちゃん、後ろからも来るよ!」
「はい!」
振り向きざまに戦鎚を短く持ちかえ、クルンと回って打ち飛ばす。
最近のリーンちゃんの得意技。戦鎚の先は攻撃力はあるけど重いから、速度が欲しいとなった時に戦鎚の槌側を持って振り回すと早く動けて、軽い魔物だとコレで倒せるようになっていた。
「だいぶ動けるようになったね」
「はいっ!」
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「で、どうだった?」
ワシは、今日一日ボウズ達に付き合わせたミドにダンジョンでの様子を聞いていた。
「はい。アベルとテツはダンジョンにもかなり慣れた感じで、武器の使い方も安定していました。今日も危なげなく十層まで下りて帰って来ましたし、リーンちゃんはまだ危なかしい所もありますが、あの戦鎚は凄かったですよ」
「二人のレベルはテツが三十七でアベルが三十六だったか? アストリア伯爵領都のミドルダンジョンでかなり鍛えてきたと言っていたな。明日も入るんだろ?」
「はい。明日は十層から下りて二十層まで行けたらと話していました」
「なるほど、ミドも暫くアイツらに付き合ってダンジョンに潜って来い。力をつけりゃ鍛治の役にも立つだろう、その代わりラージダンジョンに入る時は俺も行くから一緒に連れて行ってやる」
「はい!」
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「さてと……」
ボウズどもが置いて行った武器をもう一度手に取る、間違いなく師匠の作品だ。それも、ワシも知らない技術が入っている新作。あの人は、今でも新しい技術を探求しているってわけか……。
パサッ
そして、その技術を何の惜しげもなく他人に教える懐の深さ。ワシらの名前を出したって事は少しは認められているのだろうが、お前にコレを超えられるか? と、試されている気もする。
「やってやろうじゃねえか」
作り方も分かる、手本もある、必要な材料もある。これで超えられなければ職人じゃねえ。いつまでも居なくなった師匠の尻ばかり追っかけてられるか!
「おう! ボサってねえで窯に火いれろ! 今からミスリルを溶かすぞ! いつもより温度も高く難しい作業になるからな! まだやったことない奴はしっかり見とけ」
久しぶりに手応えのある仕事になりそうだ。




