間話 ラージダンジョンの噂
「ねえミミさん! ラージダンジョンと言えば……あの噂ですよね!」
「あれですか……私は既に結婚していますが、憧れますね」
「あの噂ってなに?」
「アベル君たちは知りませんか? ラージダンジョンの最下層のボスの魔石を持って意中の相手にプロポーズすると、一生幸せになれるって噂です!」
「へっ? へー……そんな噂があるんだ……」
「アベル君たちは、誰か魔石をあげたい人はいるんですか?」
「いやいや、まだ僕たちは旅の途中だし! そんな相手はいないよ!」
「何ですか慌てちゃって、へんなの?」
さっきからテツにぃが、僕の後ろから背中をドンドン叩いてる。
「なあにテツにぃ?」 ヒソッ
「おいアベル、俺こないだモモさんにラージダンジョンの魔石をプレゼントするって約束してしまったぞ! あれはどうなんだ? アウトか?」
「アウトって何? と言うかそんな話し知らなかったんだから仕方ないよ。けどモモさんがその噂を知ってたら勘違いしちゃってるかもねー」
「だよなぁ……」
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「ラージダンジョンの噂と言えば……そうだな」
「ガングルさん、何かあるんですか?」
「六・七年前になるか。ここ、王都のラージダンジョンに一流パーティが潜って六十層まで攻略したんだが。ダンジョンクリスタルの部屋が開かなかったという事で底無し、深淵のダンジョンだと言う噂が広がったんだ」
「王都のラージダンジョンは深淵だったのですね」
「凄いパーティがいたんだね」
「そう、パーティ全員が基礎ポイント九百オーバーと言われたノインフンダーでな、六十層のボス……アースドラゴンをたった四人で倒したと言われている」
「ドラゴン!?」
「六十層のボスがドラゴンだと言うのも噂だったんだがな。そのパーティが六十層に到達してボスを倒した事で本当だって事が分かった」
「ただ。その時にダンジョンクリスタルの部屋が現れなかったと報告されて、このラージダンジョンは六十層より下があると言う話が流れた」
「流れた?」
「そうだ、ギルドでも確認するために六十層のボスの魔石の提供を求めたが、無くしたと言ってな……王家でも買取りしたいと話があったそうだが、同じ理由で断ったらしい」
「王家の話を断れるんだ……」
「それ以降、六十層を実際に確認できるパーティが他に現れていないんでこの話も噂になりつつある」
「そのパーティってどうなったんですか? そんな凄いパーティなら名前とか知られてますよね?」
「う、うん、まあパーティ名はたしかサンライズ⭐︎スターだったかな?」
「サンライズスター?」
「いや、サンライズ⭐︎スターだ。⭐︎抜けるとメチャクチャ怒られたらしいぞ」
「……ダサ」
「そんなわけで、あまりパーティ名は広まっていない。個人の二つ名の方が有名だな」
「どんな二つ名なんですか?」
「まず唯一の女性メンバーで弓使い、雷撃のユユ。熊人族で壁役、極壁のタイガ。それから獣人族で重戦士、豪斬のアスラ。そして最後が電光のゴウ」
「へっ、ゴウ?」
「なんだテツ、ゴウの名前知ってるのか?」
「あ、いや、俺の父さんの名前もゴウだったから」
「……珍しいこともあるんだな」
「あっ、電光ってどういう意味なの?」
「電光のゴウはな。ボス戦になると両手両足、頭に黄魔石を付けて光らせながら戦っていたんだ、薄暗いボス部屋の中でピカピカ光って飛び回るから流星みたいだとも言われてたが、ジッとしてると光るだけなんで電光だな……」
「かっこいいんだかダサいんだか……」
「アースドラゴン戦でそのゴウが足を負傷してしまって、それきり引退したって話しを聞いたな」
ゴウといいユユといい、誰のことなんでしょうねー




