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AT『アベルとテツの』冒険譚 if 異世界転生したおっさんが普通に生きる  作者: カジキカジキ


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鉱山ダンジョン4

「リーンの頼みだから会ってやったけど、あんた達に何か作る気はないからね」


 最初からこの調子です。


「あの……僕たちの物ではなくて、リーンちゃんに新しい武器を作って欲しいんです」


「え! 私にですか?!」


 リーンちゃんにも言ってない事だったので驚かせちゃったね、ゴメン。


 アンコさんにも変な子達だと言われたよ。

 

「この子に使える重さで、さらに強力な武器ねえ……」


 考え込んでしまったアンコさん。

 

 トトン トトン トトン


「ん?」

 

 何の音だろうと思ったら、アンコさんが鉄筆を机に落としている音だった。指の間からストッと落として鉄筆が跳ねる音。


 跳ねる……そうだ!


「あの! アンコさん、こんなのどうでしょう」


 僕はアンコさんに断ってカップと鍛冶に使う砂鉄を用意して貰った。カップと言ったけどエールのジョッキが出てきたよ? ドワーフの人たちって何で皆んなジョッキなの?


 机の上にジョッキを置き、少し持ち上げて手を離す。


 ドン! ゴッ トン


 落ちた反動で跳ねて転がるジョッキ


「「?」」


 テツにぃとリーンちゃんは首を傾げて見ている。


「後で洗って返しますね」


 鍛冶用の砂鉄を適当にジョッキに入れる。


「これを、同じように」


 また少し持ち上げて、落とす!


 ドンッ。


 今度は跳ねない。


「重くなったからじゃないのか?」


「ちょい待ち……落ちた衝撃が跳ね返るから……それを……」

 

 急にブツブツ言い出したアンコさん。


「そうか! そうか! そうか! アベル君凄いよ! 凄い発見だよ! よしよし、コレなら何とか出来るかも知れないよ!」


 アンコさんはそう言って、そのまま工房の奥へと引っ込んでしまい、残された僕らはどうしようもないので宿へ戻る事にした。


 その夜

 

 トントントン!

 

「アンコさーん、アンコさんいますかー?」


 僕とテツにぃはアンコさんの工房を再度訪れていた。


「誰だい」

 

 扉が少しだけ開いてアンコさんが半分顔を覗かせる。


「何だ君達か、申し訳ないけど私は今とても忙しいんだ、緊急な要件でなければ暫く構ってられないよ」


 昼間会った時より疲れて見えるアンコさん。

 

「あの、今日の昼間の件で……これは、出所や誰が渡したかも内緒にして欲しいのだけど……」


 と言って、テツにぃが重そうに持ったアレをアンコさんに見せる。


「コレ、新しいアイデアの素材に使えませんか?」


 僕たちは、最初のダンジョンでボスを倒した時にドロップしたホフゴブリンの金棒を持ってきていた。


「何だいコレは?」


 テツにぃから金棒を受け取るアンコさん、テツにぃでも重くてヨロヨロするのに、アンコさんは軽々と持ち上げた。


「意外と重いね。単なる鉄製ではないね? なんの素材だい?」


「素材とかは分からないんだけど、スモールダンジョン十層のレアボスから出たドロップ品です」


「ホウ……ホウホウ」


 アンコさんは金棒に興味を持ったのか、色々角度を変えたりみたり、叩いてみたり、舐めたり!? して確かめていた。


「これは、もしかしたら使えるかも知れないね。ありがとう貰っとくよ!」


 そう言って引っ込もうとしたので。


「あっ、この事は」


「大丈夫、誰にも言わないよ」


 とだけ言って奥へと戻って行った。


 それから数日……十日……十五日が過ぎた頃、やっとアンコさんから連絡がきた。


 待っている間はリーンちゃんの素早さを上げるための特訓を続けていたよ。最後には十層のボスを倒してレベルを上げて少しは動けるようになったかな。


 アンコさんの工房の裏手には試し打ちが出来る庭があるのだけれど、僕たちは今そこにいてアンコさんを待っている。庭の真ん中には試し打ち用の金属鎧。

 

「さて、待たせたね。やっとアイデアが形になったので三人に来てもらったよ」

 

 アンコさんの両手には同じようなサイズの戦鎚。


「さてリーン、この戦鎚であの金属鎧を打ってみな、全力だよ!」


 リーンちゃんは戦鎚を受け取ると、握りを確認してから大きく振りかぶって金属鎧を打った!


 ガァーン!


 大きな音と共に、反動でよろけるリーンちゃん。


 金属鎧にもかなり大きな凹みが出来た。


「なるほど、なるほど」


 アンコさんは納得の表情。


「じゃあ、次はコッチで。さっきと同じように全力でね」


 戦鎚を持ち替え、同じように握りを確認すると。大きく振りかぶる。


 ガンッ! バキッ! ゴン! ドン。


 先ほどとは違う音と、全くよろけないリーンちゃん。


 さらには、金属鎧は土台の棒が折れて奥の壁まで飛ばされた。


「うんうん。思った通り!」


 呆然とするリーンちゃん、ハッと気がついて。


「何で!? 何で! 何で! 凄いです! コレ凄い!」


 凄い勢いでアンコさんに詰め寄っていた。

 

「はっはっはっ、説明するから聞いておくれ」


 そう言うと、工房の方へ戻り説明を始めた。

 

「前にアベル君が見せてくれた実験があっただろ? あれの応用で、この戦鎚のハンマー部分の中は空洞になっていて粒状の重りが入っている。粒の大きさや量の調整、ハンマーの強度の調整に手間取ったけど何とか形になったね」


 アンコさんはやれやれといった感じで肩を叩いている。


 あっ、僕肩叩きも得意だからやってあげますよー。


 アンコさんが椅子に座ったので、僕は後ろに回って肩叩きをやってあげた。かなり強く叩いてるつもりだったけど、アンコさんは『もうちょっとかな?』だって。


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