海のダンジョン2
「うりょ」
ドスッ!
今日は海のダンジョンに本格的に入っています。せっかくだから十層まで到着したいしね。
六層まで来ると、大きなカニさんが出てきた! 何故かゴブリンもいた! 流石にゴブリンは魔石を落としたけど、どこにでもゴブリンはいるんだね。ゴブリンはGなのか? G……Gって何?
「アベルー、ほらカニの爪だ!」
カニは、大きはカニの爪をドロップしたよ。焼いて食べると美味しいんだって!
あまり大きいと持って歩くのが邪魔になるのでマジックバックに入れておくんだけれど、今度は出す時の量とタイミングが難しくなるんだよね。
「次は七層だな」
だいたい階段に向かうまでに出会う魔物は倒すけれど、積極的に探して倒したりはしない。
ガン! ガン! ドガッ!
七層に出ると、いきなり重い物で何かを殴る音が聞こえてきた。誰かが戦っているのかと思い、音の方に近寄ってみると……。
「でっけえ」「おっきい」
人よりも大きなサイズのカニと犬人族の女の人が戦っていた。何で女の人と分かったのかって? それは昨日のお姉さん達のような格好で、それに胸が……ね。
お姉さんは金属のハンマーを使い、大きなカニの攻撃を避けながら器用にカニの足を一本一本叩き潰していく。片側の三本目が潰れたタイミングでカニの体が傾いて倒れ、そのまま頭を潰されて黒いモヤに変わった。
ドロップした食材? を拾った所でお姉さんに声を掛ける。
「凄いですね! あんなに大きな魔物を一人で倒すなんて」
お姉さんは気付いていたと言う雰囲気で、ニッコリ笑って答えた。
「黙って見ていたなんてスケベな坊や達だね。アンタ達かな? 昨日ノノが言っていた可愛い冒険者達って」
「スケベだなんてそんな! 黙って見ててゴメンなさい……」
僕はあわてて手を振って謝った。
「ハハハハ! いいよ気にするな、からかっただけさ。さっきのはダンジョンクラブと言う魔物で殻が硬いのが厄介な魔物さ、倒すには鈍器を使って殻ごと潰すか、器用に関節を狙って切ってダルマにするかだね」
お姉さんは笑って許してくれたけど、歩いて近寄ってくる度に揺れるから目のやり場に困ったよ……。
「坊や達は何処まで潜るつもりだい?」
お姉さんが興味深そうな目をして聞いてきた。
「今日は十層まで行くつもりです」
「ヘエ」
お姉さんの目つきが鋭いモノに変わった。
「アンタたち以外とレベル高いのかな? 簡単に十層なんて言えるって事は」
「一応、それなりには」
テツにぃが一歩前に出て答える。お姉さんは目の前だ。
「興味湧いちまったな、邪魔かもしれないけど一緒について行って良いかい?」
「十層までなら」
何かそのまま、ずっと付いてきそうな言い方だったよね?
「……まあいいか、じゃあ今日一日よろしくな」
その間は何だったの?! 本気でずっと付いてくるつもりだったの?
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それからこのお姉さん、この海のダンジョンで女の人達だけで作っているパーティ、海の美姫のリーダーでモモさん。この海のダンジョンではかなり有名なパーティなんだって。
モモさんと三人で八層、ここは何て言うんだろう。一層のような岩場だけど、あちこちに岩場が点在して間は海。岩場は飛んだり、ちょっと勢いをつければ渡れるくらいの間隔で離れている。
「岩と岩の間を渡る時は気をつけろ、飛んでる際中に魔物が飛び出してくる事があるからな」
えっ? と思って飛んだ瞬間に海から何かが飛び出してきた!
「うわっ!」
足にドスッと衝撃が走る。ぶつかった魔物はそのまま海に落ちて行った。
「アベル! 大丈夫か?」
慌ててテツにぃが近くまで来てくれたけど、狭い岩場だからこっちまでは来れないでいる。
「大丈夫! 足に当たっただけで怪我はないよ」
衝撃はあったけど、特に問題は無さそうだった。
「運が良かったな、今のは跳ね魚だったからぶつかっただけだが、槍魚だったら太ももに突き刺さってたかもな」
どうも魚の魔物は岩場に立ってると飛んで来ないけど、コッチが飛んだタイミングで襲ってきてバランスを崩させて海に落とすんだって。
海に落ちるともっと強い魚の魔物が寄ってきて、食べられている間に小さな魚の魔物がおこぼれを貰うらしい。
どうやって倒すかと言うと、網でまとめて捕まえて棍棒で殴って倒すんだって! 漁なの?!
一度、飛んでくる魚をタイミング良く切り倒してみたけれど、ドロップも海に落ちていっちゃった……。
「何だか面白いダンジョンだな、階層毎に専門の漁師が必要だなんて」
テツにぃの感想も本当にそれだね。
さてダンジョンツアー? も、いよいよ最後、十層にやってきました。
「この十層も変わっていてね、時々でボスが変わるんだ。今日のボスは何が出るかな?」
モモさん、ちょっと嫌な顔しながらボス部屋の扉を開けた……。
「あーっ! 無理無理、ゴメン! 私今日はここまで! ここで待ってるから二人でやっちゃって!」
モモさんは、中のボスを見た途端ヤル気を無くして出ていっちゃった。
入れ替わりで僕らが中に入る。中にいたのはタコ? の魔物。長い足? がウネウネ動いて、女の人は確かに苦手そう。
「一応、ソイツの名前はダンジョンオクトパス! 上位種のクラーケンよりは弱いから! その足についている吸盤で武器やら体やらくっ付いて動けなくしてしまうんだよ。私の武器よりアンタ達の武器の方が相性良いから、上手く足を避けて切り落としな、弱点は目と目の間の所だよ!」
モモさんが入り口を覗きながら教えてくれた。僕はモモさんに手を振って挨拶し、ボスに向き合う。
「さて、久しぶりのボス戦で初めての魔物だ、頑張りますか」
そう言ってテツにぃが拳を伸ばす。僕もテツにぃの拳に拳を合わせる。
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何だよあの子ら、坊やと思って甘く見てたけど結構……いや、かなりヤルじゃん。
テツと言った獣人族の子が槍の間合いで上手く牽制してアベル君が剣で攻める。連携も上手いしタイミングの取り方も慣れてる。
あのダンジョンオクトパスの厄介な八本の足も、別々の角度から襲ってくる足がまるで少し離れた所から見ているかのように避けて捌いてる。
あっ、また一本落とした!
すごい、結構面倒な魔物なんだけど。まるで格下相手に練習しているような気までしてくるよ。
前の四本の足が切り落とされ、ダンジョンオクトパスは体を支えるだけで精一杯になった所でテツ君の槍が眉間を捉へ、ダンジョンオクトパスは黒いモヤに変わった。
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「凄い凄い!」
モモさんは戦いをみて興奮したのか、僕たちに飛びついてきた。いやあのモモさん、モモさんのモモが……。
「あんなに簡単にダンジョンオクトパスを倒してしまうだなんて、アンタ達かなりやるねえ」
さっきからモモさんは僕達をずっと褒めてくれる。それは嬉しいんだけれど、ずっとくっ付いてくるから……その。




