海のダンジョン
「わくわくするね!」
昨日、やっと海のダンジョンがある町へたどり着いた僕たちは、その日は休みにして宿でゆっくり過ごした。
そして今日、ダンジョン前ギルドを訪れた僕たちに、ギルドの職員さんは特に説明もしないまま一層へ降りる事を勧めてくれたんだけど……。
「ふぅわぁ〜〜!!」「!!」
見上げる天井がキラキラしててお魚が泳いでる! お腹の方しか見えないけれど、これって海の中って事?! 見渡す景色も海の中みたい! 足元は砂浜になっていて通路のように先に続いてる! 海の底は見たことないけど、僕たちはまるで海の底にいるみたい! 頭の上はキラキラ光って、目の前をお魚が泳いでる!!
「ほぇ〜〜」
「凄いなぁ」
これを見せたくて詳しく説明しなかったんだね。ボーッとキラキラした頭上の海の景色を眺めていたら、突然後ろから声をかけられた。
「はははははっ! 坊やたち海のダンジョンは初めてかい?」
後ろを振り返って驚いちゃった……。だって兎人族のお姉さんと犬人族のお姉さんが凄い格好をしているんだもの。布の面積が少なくてお腹や足が見えてて、胸やお尻は隠れているけど、まるで水着? みたいな格好なんだもん、僕は思わずテツにぃの後ろに隠れちゃったよ。
「ん? 何だい坊や?」
お姉さん達はその格好を気にしていないのか、すごく近寄ってきた。僕の方が恥ずかしくて真っ赤になっちゃったよ。
「いや……その」
僕がうまく話せずにいると。
「お姉さん達の格好が刺激的すぎて、恥ずかしがってるんですよ。こいつ」
お姉さん達は、お互いの顔と格好を見くらべて。恥ずかしいのか喜んでいるのだか分からないテンションでメチャクチャ大笑いしてた。
「はぁーはぁー、そっかぁ、ごめんね坊や」
そう言ってお姉さんは涙を指で拭いながら、また近寄ってきて頭を撫でてくる。絶対からかって遊んでるでしょ!
「やめて下さい!」
テツにぃが止めるように言ってくれるけど、テツにぃも困ってるよね、だってシッポが下がって固まってるもの……。
「ごめんね坊やたち……そうだ! お詫びにこのダンジョンを案内してあげる。このダンジョンは普通じゃないから、ただ歩きまわるだけではダメなんだよ」
そう言って強引に腕を取られて、僕たちはダンジョンを案内してもらう事になった。
「まず一層はご覧のように海の中にいるような景色が広がっている。凄いよねこの景色! 私も初めて入った時の感動は今でも鮮明に思い出すわ」
「だけど一層はこれだけなの、魔物も出ないし、景色を楽しめるだけの場所なの」
「「魔物でないの!?」」
「そうなの、不思議なの」
なのなの言ってるお姉さんは兎人族のノノさんで、犬人族のお姉さんはチチさんだと自己紹介してくれた。
「魔物が出るのは二層からなの」
「それも襲ってこない魔物ばかりだけどね」
「「?」」
説明きいても全然分からないまま二層に下りる。
二層に出ると今度は海岸が広がっていた! 地上の海とは違うマリンブルーの海! 左手には岩場があって、右手側は砂浜だ。思わず走り回りたくなる!
「先ずは左からなの」
ノノさんに手を引かれて岩場の方に連れて行かれる。と言うかさっきからノノさんと手を繋いだ状態だ、テツにぃはチチさんがしっかり腕を組んで歩いてる。ここダンジョンだよね?
「これなの」
ノノさんが指差した先には、五十セルチ程の黒くてガサガサした貝? があった。
「これ? これは貝なのかな?」
「そうなの」
そう言ってノノさんは手を離すと。腰に付けていた剣をとり、鞘のままで貝を叩いた。
「ピューッ!」
貝の隙間から水が吹き出して、ノノさんはサッと避けたけど僕は水が掛かってしまった。
「こうなるから、この格好なの」
なるほど、水着の理由を教えてくれたんだね。
「それでそんな水着みたいな格好だったんだね」
「?」「水着? ってなんだい?」
「えっと、そんな風に濡れても大丈夫な格好で、水に入ったり泳いだりする時に着る服のこと……かな?」
「へぇー、いいねぇ水着かあ! 今度からこの格好の事は水着って呼ぶようにするよ」
お姉さん達も呼び方は決まっていなかったそうだ。
「コイツの本当の倒し方は……」
今度はチチさんが岩場の方へ向かう、貝を見つけると場所を確認し、貝の隙間にそっと剣を差し込んでグッと何かを切った。
「あとは」
貝はいつものように黒いモヤになって消えて、何か白い塊がドロップした。
「魔石じゃない?」
チチさんはドロップした白い塊りを手に取って。
「そう、このダンジョンで魔物を倒すと全て食べられる物がドロップするんだ」
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「はい、おまちどうさん。これがアンタ達が持って来てくれたホタテと牡蠣だよ。ホタテはバター焼き、牡蠣は塩焼きにしてあるよ」
「うわぁ、美味しそう!」
ホタテは貝柱と言う部分がドロップする、牡蠣はドロップした身が全然食べられるんだって。
「はむ!? んーーー!」
ホタテは固いのかと思ったらフワッとして貝柱が甘くてバターの風味と良く合ってて溶けちゃう感じだった! 美味し〜!
「牡蠣も美味いぞ、歯応えも良いんだけど、味が濃厚で塩味がメチャクチャ合う!」
テツにぃと二人で海のダンジョンのドロップをお腹いっぱい堪能しました。冬の時期には海の幸グラタンやシチューも美味しいんだって! 次は冬に来ようかな。
「ご飯おいしかったねぇ」
「そうだな、マジックバックに時間停止が付いていたらたくさん取って入れておくのにな」
テツにぃは牡蠣が気に入ったようだった、たくさん食べてたもん。
「あまり日持ちしないって言ってたもんね」
「これが持ち運べたら一気に金持ちになれるな」
「今でも結構お金もってるよ?」
マジックバックの中には、まだ一人金貨800枚は残っている……。
「そうだった……」
「さて、腹もいっぱいになったし、そろそろ寝るか?」
僕はブラシを取り出して。
「寝る前に、テツにぃコレやってよ!」
今夜もたくさん気持ちよくして貰ったよ。ムフー!




