次の街へ
「長い間。お世話になりました」
僕らはいよいよ、この街を離れる事にした。
極北の星の皆さんに依頼を受けて貰った一カ月間。そのあとの自主練で約半年! この半年の間に十層のボスには六回、二十層のボスには三回、三十層のボスには二回挑戦した。最後はドルガさんだけが見守る中、二人だけで三十層のボスも倒せた! この事は、これからの僕たちにとって大きな自信になると思う。もっとレベルが上がれば何てことない出来事になるのだろうけれど、今の僕たちに出来る最大級の勝利なんだ! この自信を持ってさらに旅に出て、もっともっと色んな事を知りたい。その中で自分の事が少しでも分かれば良いな、と思ってる。
「テツ、アベル」
ドルガさんだ。タイタさんから何か受け取ると僕らの前に立つ。背の高さ以上に大きく感じるのはその雰囲気のせいなのか、そんなドルガさんが少ししゃがんで僕たちのコートの止め具のそばに何か付けてくれた。
「そいつは、俺たち極北の星のメンバーだけが付けている襟章だ。お前たちはパーティメンバーではないが俺たちが指導して力を認めた仲間として、この襟章を送りたい。是非受け取ってくれ」
星を形取った襟章で周りに六個の星がついている。ドルガさん達四人と僕たち二人の印かな。
「ドルガさん、タイタさん、ウルススさん、ヤオフーさん。ありがとうございました!」
僕たち二人は精一杯頭を下げて感謝を表した。
「で? お前たち次は何処に行くんだ?」
さっきまでの重い雰囲気が、いつもの調子に戻った!
「まだ全然決めていないんですよ。何処かありますか?」
「それなら、海のダンジョンとかどうだ? 少し変わってるんで気分転換にちょうど良いだろうよ」
「海?」
「海!? 海があるんですか?」
「ん? アベルは海を知っているのか?」
あれ? 何で知ってると思ったんだろ?
「知らない……かった……です」
「?……とにかくデカい川だな、反対岸なんて見えないメチャクチャデカい川だ!」
「へぇー、見てみたい!」
ドルガさんの説明によると、この街を出て王都方向へ進んで三日目位の町に分かれ道があって、そこを北方向に進むんだって。町の名前も聞いたし、海のダンジョンと言えば皆んな分かると言ってた。
「よし! じゃあ次は海のダンジョンを目指して出発だな!」
「それでは皆さん、「ありがとうございました!」」
「おう、元気でな!」「また顔見せにきてね」「頑張れよ」「……ス」
皆んな、僕らが見えなくなるまで手を振ってくれていた。
「いい人たちだったな」
青空が広がる街道を進む僕たち。
「うん! たくさん教えて貰ったね」
結局一カ月の依頼のはずだったのに、何だかんだダンジョンに潜る時は必ず誰かが付き合ってくれてた。本当に有難い事だよね。
出会った人たちとの思い出と、そこで得た力。僕たちはそれを求めて旅をしてるのかな?
街道を歩く、時には走る!
走れ! 走れ!
ドルガさんにも、ゴウさんにも言われた事。とにかく走れ!
そして水飲め!
僕らの旅は間違いなく進んでいる!
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僕たちは、野宿も含めて三日目に分かれ道のある町に到着した。
「今日はこの町に泊まって、明日は海のダンジョンだな」
テツにぃも海を楽しみにしているみたい。さっきからシッポがフラフラ揺れてる。
「えええーっ! まだそんなに遠いの?!」
宿屋に着いて、ついでに海のダンジョンの場所を聞いたんだけど、この町からはまだ四日は掛かるくらい離れているんだって! この町はたまたま分かれ道で分かりやすい場所にあるから目印になっているだけで、近くの町ではなかったよ。
翌日からもひたすら歩き、走り、時には魔物を倒し、海のダンジョンがある街を目指して歩いた。
「アレなんだろう?」
ついに四日目、お昼の干し肉を頬張りながら歩いていると、先の方に時々キラキラ光る場所が見えてきた。
それから一刻程歩いて、少し登った丘を超えたところで。
「うわあー!! 海だ!」
「へぇー、これが海か!」
僕らの目の前には海! 海! 海!
とても綺麗なマリンブルーの海! ではなくて……例えるなら玄界灘のような、青いのだけれど風波が立っている少々荒れた海。海からの風も強くて顔に当たる砂粒が痛いです……玄界灘って何ですか?
海の景色を堪能するより風の強さに負けてしまい、早々に街の門をくぐりました。
では、お待ちかねのゴウスカウターー!
テツ、十六才
獣人族(黒豹)
ダンジョンレベル:三十一
強さ:七十五
器用さ:三十
丈夫さ:五十五
素早さ:六十四
精神力:四十五
合計:二百六十九
アベル、十四才
犬人族
ダンジョンレベル:二十八
強さ:六十
器用さ:三十五
丈夫さ:五十
素早さ:四十
精神力:五十四
合計:二百三十九
極北の星の皆! テツとアベルを鍛えてくれてありがとう!




