ミドルダンジョン5
僕たちは今、三十層のボス部屋にいる。
ボス部屋には、僕らと極北の星のメンバー六人で入っているけれど。一時的に僕たち二人とウルススさん、ヤオフーさんをパーティメンバーに見立てて、四人でボス戦に挑んでいた。
ここに出るボスはトロル、オーガに近いけどもっと強いとドルガさんが言ってた。力も強いけど、切られても怯まないから戦い難いんだって。
ウルススさんが盾、ヤオフーさんは遊撃、僕たち二人はウルススさんの防御の隙にダメージを与えていく。タゲはウルススさんがしっかり取ってくれる……と言うか僕たちの攻撃には目もくれない、それこそヤオフーさんの攻撃の方がトロルは嫌がっている気がする。
「はぁっ!」
ザシュ!
ボドッ
やっと左腕を落とす事ができた。トロルはオーガと違って毛が密集して生えているから刃が通り難い。それでもさすがに腕を落とされたら僕たちに警戒を見せる。
「追撃しろ!」
ドルガさんから檄が飛ぶ。
「うりょ」
グサッ!
テツにぃがトロルの足を狙って攻め、トロルの頭が下がった瞬間!
ハアァーーッ!
ザシュ!
僕の渾身の一撃が決まり、やっとの事で首を落とせた。トロルが黒いモヤとなって消えてゆく。
「「はぁっ、はぁっ、はあっ」」
パチ、パチ、パチ、パチ
「お疲れさん、まあ初戦にしては上手くやったほうかな?」
ドルガさんが拍手しながら歩いてくる。
「さて、お待ちかねの宝箱の中身は……おっ!」
宝箱から出たアイテムを僕に投げてきた。
パシッ!
受け取ったアイテムを見て驚いた! 僕の欠点を手早く補える唯一の手段。
「これ……緑!」
「そうだな、そしてアベルが今一番欲しいアイテムだったんじゃないか?」
ドルガさんがニヤリと笑う。
緑の小魔石、人によっては白魔石より貴重と言う魔石。使用者が取り込むと基礎ポイントの強さが+一される。
簡単に強さが上げられる便利さと引き換えに、あまり魔石で強さを上げると、体の使い方が追いつかなくて後々苦労するらしい。使うのは一度に一個か二個までと言われてる。
「けど、これは皆んなの……」
「構わねえよ! 使っちまえ」
ドルガさんは、僕に使えと言ってくれるけど……。
「アベル」
テツにぃが、僕をみて頷く。
「いいの?」
「いいのよ。どうせ私たちだと上げても大した影響ないし、かわいい僕に使って貰った方が嬉しいわ」
タイタさんが近寄ってきて僕の頭を撫でる。
「ありがとうございます!」
そう言って僕は緑の魔石を握りしめた。フワッと光ったかと思うと直ぐに消え、魔石がポロポロと崩れ落ちる。アッサリとした感じで強化は終わった。
ボスがドロップしたのは青の大魔石だった。観光名所? のダンジョンクリスタルの部屋を覗いてから、皆んなで一層へ帰る。これで僕たちの依頼は終了だ……。
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ここは、最初に依頼した時に集まった食事場の個室。
「まあ、そうだな。お前たちのレベルにしては良くやれていたし、連携も理解して動けている。その中で一番足りていないのは……力だな!」
「「えっ?」」
僕もテツにぃも、てっきりメンバー不足と言われると思っていたので驚いた。
「メンバー不足と言われると思ったか? まあ、てっとり早く三十層まで潜って活動出来るようにするためなら追加メンバーが入れば簡単だろう」
「だが……お前たちはこのダンジョンで活動する訳ではないんだろう?」
「「!!」」
「ここでは俺たちがいたんで修行として依頼をしたんだろうが、お前たちはこれからも旅を続けて別の街に行って色んなダンジョンに潜るんだろ? だったらメンバーよりも個々の力を上げた方が早い」
ヤオフーさんやウルススさんも頷いている。
「最初に十層で見せた時のように、速攻で取り巻きを潰して、連携でボスを倒す! このやり方をもっと精度を上げて、もっと力をつけるんだ」
「幸い、お前たちの武器ならそれが出来る。本当ならお前たちレベルの武器でトロルの首が落とせる訳ないんだぞ? 俺たちだってたまげたわ!」
他の三人も同じように頷いている。やっぱりあの武器って相当のモノなんだね。
「良い武器に巡り合うのも運もある! 俺の紅蓮刀もやっとの事で手に入れた一品だからな」
「紅蓮刀って言うんですね、かっこいい!」
ドルガさんの武器は幅広の反りが大きな大剣で、持ち手には赤い組紐が巻いてあってかっこいいんだよ!
「だろ? 今回は使わなかったが、赤の魔石を使うと炎の効果が発生する魔刀なんだぞ」
「「魔刀!?」」
極北の星の他のメンバーが頭を抱えてる、何?!
「馬鹿ドルガ!!」
ドガッ!
タンタさんの蹴りが跳ぶ!
「すまないが、今ドルガが言ったことは聞かなかった事にしてくれ……」
ヤオフーさんが済まなさそうに手を合わせて言う。
「何のこと?」「何のことですか?」
「助かる……」
ずっと後になって知ったことだけど、魔刀は本当にごく一部にしか知られていないアイテムで、ラージダンジョンの深層の宝箱からしか出ない国宝級。使っている冒険者も本来ならドルガさんでは手に届かないもっと上位の人しか持っていない武器だった。よく手に入ったねドルガさん……。




