初めてのダンジョン
「おはようございます。ダンジョン登録をお願いします」
翌日、朝イチでダンジョン前の冒険者ギルドに向かった僕たちは、ギルドで登録する為の順番を待っていた。
ちなみにこの街のダンジョンはスモールダンジョンと言ってダンジョンの規模としては一番小さいダンジョンになる。よその街にはミドルダンジョンやラージダンジョンって大きなダンジョンもあるんだって。
「おはようございます。ダンジョン登録ですね、冒険者証を確認させて頂きます」
子供だと見下さず、キチンと手続きしてくれる職員さん。きっといい人だ。
「初めての登録には説明を受ける義務があります、説明を希望されますか?」
受けないと登録されないのだから、もちろん希望するのだけれど、受けない人もいるのかな?
「「受けます」」
「では、お二人に説明を行いますのであちらの部屋に移動をお願いします」
そう言って、別の部屋に案内してくれる職員さん。
「今日は先ほども説明を申し込まれた方がいたので、三人で説明を受けて頂きますね」
と言って案内された部屋には、先に席に座って待っている人がいた。
ん? この匂いは。
「お待たせしました。ルルさん、もう二人説明を受ける人がきたから一緒に良いかしら?」
ルル、と呼ばれた子は黙ったままコクリと頷く。
僕たちも席に座り、教壇になっている前の席に座ったギルド職員さんの方を見る。
「では、改めましておはようございます。私は当スモールダンジョンの受付と本日の説明を担当する。ミミと申します。よろしくお願いします。」
「「「よろしくお願いします」」」
三人揃って頭を下げる。
「本日は三人とも初めてのダンジョン登録と言う事で、説明を受ける義務があります、よろしいですね。」
「「「はい」」」
ミミさんの、僕らを見つめる目がとても優しい。
「はい、では本日の説明の内容ですが、ダンジョンとは何か? なぜ登録が必要か? ダンジョン内でのルールと冒険者の義務とお願い事項、となります。手元に資料も渡してありますので、内容はそれに沿って説明しますから聞きながら一緒に見てもらうと分かりやすいと思います」
へえー、結構細かく纏められているんだね。
「それでは、最初の項目、ダンジョンとは何か? ですが、ダンジョンの事はまだ何も分かっておりません」
「「「へ?」」」
「ダンジョンがある。とは国も認定していますが、ではそのダンジョンが何であるか? と言われると詳しく分かっていないのが現状です。ダンジョンがある事で引き起こされる現象がありますが、何故その現象が起こるのか、どうやって発生するのか。その辺がまだ分かっていないのです」
ミミさんが続けて話す。
「なので、本日話すダンジョンとは何か? とはダンジョンが引き起こす現象についての説明になります」
ダンジョンが引き起こす現象
ダンジョン内には魔物が発生し徘徊しており、もし魔物を倒さず放置し続けるとダンジョン内の魔物が増えすぎて魔物溢れ、通称スタンピートが発生する。(スタンピートの発生を抑える為の機関として冒険者ギルドを活用する)
ダンジョン内の魔物
ダンジョン内の魔物を倒すと魔石を残して本体は消滅、稀に魔石以外のアイテムや素材を残す事がある。魔石は魔物の強さによってサイズが変わり、含まれる魔力によって青、赤、黄、緑、白に別れる。(魔石に付いての詳細は別途記載)また魔物を倒すことにより経験値が溜まり、溜まった量によりレベルアップする。
ボス部屋
ダンジョンの十層毎と最下層にはボス部屋と呼ばれる部屋があり、その部屋にはその階層で一番強い魔物が待っている。ボスを倒すと魔石と宝箱がドロップしボスの強さに応じた宝を得ることが出来る。ボスの再発生については三日から約一週間と言われる。
ダンジョンクリスタル
最下層のボスを倒すと奥の部屋が現れ、ダンジョンクリスタルが設置された部屋に入れる。ダンジョンクリスタルを破壊するとダンジョンが消滅するのでクリスタルは絶対に破壊してはならない。(ダンジョンの状況により管理しているギルドの判断で破壊する事もありえる)
移動ポータル
ダンジョン入り口と十層毎に移動ポータルがあり、個人またはパーティ単位での往復が可能、但しその階層に辿り着いた個人またはパーティでないと移動は出来ない。
「以上が、ダンジョンが引き起こす現象についての説明になります。何か質問はありますか?」
「はい!」
アベルの元気な返事に、ミミさんの優しい笑顔が漏れる。
「はい、アベルさん何でしょう?」
「ダンジョンクリスタルを壊してしまったら罰とかあるのですか? 故意ではなくても罰せられますか?」
「いい質問ですね。ダンジョンクリスタルを故意に破壊した場合、そのダンジョンのある町や国への貢献度合いによって罰の重さが変わります。それでも最低で鉱山送りですので破壊しない方が賢明です。故意でなく何かしらの原因があっての破壊の場合は、その原因によって現地のギルドマスターや領主の判断で決まります。宜しいですか?」
「はい!」
とにかくダンジョンクリスタルには触らない! 覚えた!
その後は、ダンジョン登録について、ダンジョン内でのルールと冒険者の義務とお願い事項の説明を受けて今日は終了。
最後に、登録の終わった冒険者証を返して貰い首から下げようとした時、隣にいた子のフードが外れてしまったのが見えたんだ。
「あっ、猫ちゃん!」
ギッ!
思わず声が出てしまい、睨まれてしまった。
「ごめんなさい…… 耳が見えたんで思わず」
ルルと呼ばれた子は猫人族の子だったらしい。真っ白な耳をフードで深く隠していた。
「かわいいのに」ボソ
その後、テツにぃとダンジョンに向かうとき。ギルドの受付であの子が職員さんと揉めているのを見たけど、何かあったのかな?
人物紹介
アベル、犬人族、イメージはラブラドール
茶色い毛、垂れた耳、ふわふわのしっぽ。
テツ、獣人族、イメージは黒豹
黒く艶のある毛、ピンと立った耳、スラリと長いしっぽ。
ルル、猫人族、イメージはペルシャ
白い毛、クリッとした目、ふわふわの耳としっぽ。
猫人族とバレるのが嫌でいつもフードを深く被っている。
その姿を鼠人族と間違われるのが大嫌い。
犬人族は、馴れ馴れしくてすぐに触ってこようとするので嫌い。




