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AT『アベルとテツの』冒険譚 if 異世界転生したおっさんが普通に生きる  作者: カジキカジキ


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ミドルダンジョン4

「オラオラ走れー!」


 僕たちは今、ダンジョン十一層の草原を走っている。


 かれこれ二刻はずっと走りっぱなしだ。


 途中に現れる魔物は、一緒に走っているドルガさんがあっという間に倒してしまう。走らされている僕たちは、さすがに防具は付けているけれど手ぶらで、ドルガさんは武器を持って魔物の相手もしてるのに僕たちより元気なんだ。


「ほらほら遅れてるぞ!」


 僕らの前には狐人族のヤオフーさんが先導して走っているのだけれど、ヤオフーさんにも全く疲れた様子がない。


 結局三刻で休憩になるまで走り続けてた。


「「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ!」」


「ハッハッハッ、もうバテたのか? こんなんじゃこの先では通用しないぞ」


 ドルガさんも、ヤオフーさんも平気な顔して水を飲んでいる。


「お前たちも水を飲んどけ、汗をかいたら水を忘れるな」


「あ、それ、オヤジもよく言ってた」


 ゴウさん、口ぐせみたいに水、水って言ってたよね。


「テツのオヤジさんも分かっているじゃないか。お前たちに狩りを教えてくれたのもテツのオヤジさんなんだよな?」


「そうです。そう言えばオヤジにもよく走れって言われたな、暇なら走っとけとか」


「なるほど……狩りの方はどうだった?」


「オヤジは凄いんですよ。足音が殆ど出なくて、森に入って気配を消したら何処にいるか分からなくなるし、(まれ)にすぐ隣にまで兎が寄ってきたりして」


「そうそう! 僕たちだとわからない足跡とか簡単に見つけちゃうし。新しい道具とか作るのも得意だったよね」


「レベルは?」


ドルガさんもゴウさんに興味を持ったみたい。

 

「たしか冒険者レベルはDと言ってたけど、ダンジョンレベルは聞いた事なかったな?」


「パーティ組んで旅してたんだろ?」


「そう言ってましたよ、母さんとも同じパーティだったって」


「僕も聞いたことある、たしかユユさんて弓使いだったんでしょ?」


「弓使いでユユ?」

 

「もしかして、剛弓(ごうきゅう)のっ……雷撃のユユ?」

 

 珍しくヤオフーさんが興奮した様子で入り込んできた。


「何それ?」


 電撃? カッコ良さそう、僕もテツにぃもヤオフーさんの話に食いついていた。

 

「昔いた弓使いの名手でな、普通じゃ引けない強さの超強弓で次々と矢を放つんでまるで電撃のようだと言われたのさ、さらに一撃必殺の時は超強弓をフルに引いて魔物を仕留める凄さもあったと聞いたな」


「へー、それじゃユユさんじゃないね」

 

「そうだな、母さんは優しいから」


「まっ、そうだな。そんな人がほいほい身近にいるわけないか。何せパーティ全員がノインフンダーとも言われる化け物パーティだったと聞くし」


「よし! お前たち休憩終わりだ! さあ走れー!」


 それから何日も僕たちは走り続けさせられた、時には武器を持ったままだったり、荷物入れに石をたくさん入れた状態とか、毎日ヘトヘトになるまで走らされたんだ。

 

 ・

 ・

 ・

 

 十六層。


 十層を超えた冒険者が一番疲れる辺り、ピンチになっても十層に戻るのも遠く、二十層は更に遠い。


 草原だった十一層とも景色が変わり結構な森になっている。


「この辺はしっかり覚えておけよ。比較的次の階段に近くて休憩ポイントになる場所だ」


 僕たちは地図を開き、教えて貰っていたポイントに自分たちで見た情報を書き加える。


「俺たちは、ギルドにもこの情報を記した地図を売れと言っているんだが、これを生業(なりわい)にしている冒険者もいるんでな。比較的階段に近い、最短距離での休憩ポイントくらいは教えているんだ。他の場所は自分たちで見つけるか売ってる奴らから買えばいい」


「「はい!」」


「じゃ、次いくぞ。しっかり警戒しろ!」


 それから数日で僕たちは遂に二十層まで辿り着いた。残念ながら実力ではなく極北の星のサポートがあり、魔物も間引きされた相手をしている程度、正直連れて来て貰ったと言った方が正しいんだろうな。


 それに……ここ迄の間、痛感している事もある。


「やっぱり、二人じゃ厳しいか」


 テツにぃもそう感じているみたい。


 僕らは二人とも戦士タイプ、僕は斥候も兼ねてテツにぃは避けタンク? 槍で牽制しながら僕が攻撃するチャンスを作ってくれる。けどそれは、相手と一対一か二体一まで、相手が三体以上でさらに格上となるとまるで相手にならない。


 今日も、極北の星の連携を見ながら考えてた。


 約束の期日まであと二週間、きっと二週間で三十層まで辿り着けるのだろうけど……その後、僕らだけでは絶対に続かない、きっと十四、十五層辺りをウロウロして終わりになるんだろうな。


 このダンジョンを糧にする冒険者ならそれでも良いのだろうけれど、僕らはもっと先を目指してる。僕の知りたい事も全然、まだ何も分かっていない……。


 チラッと冒険者証を見る、僕の冒険者証にはパーティ欄にテツにぃと()()の名前がある。あの時パーティ登録をしたまま忘れていたんだ。

 

「パーティかあ」


 パーティメンバー、ウルススさんのような盾役と本格的な斥候か弓役がいればもっと楽になるのかな?


「まっ! 今考えてもしょうがない。明日も精一杯やるだけだ。ほらアベル、コレしてやるからこっちおいで」


「んふふ〜、テツにぃのブラッシング大好き。そう言えばブラシ変えた?」


 何だか毛の通りが良い気がする。ツヤツヤにもなってるし。


「おっ! 気が付いたか。こないだタイタさんに教えて貰った雑貨屋で良いブラシを見つけて買ったんだよ」

 

 テツにぃからブラッシングされて、フワフワのしっぽにして貰ったよ。


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