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5

 しばらくして、僕はサディ様に呼ばれた。部屋に入ると、彼女は鞭を持って待っていた。


「さあ、青太郎。今日もビシバシいくわよ」


「はい! お願いします!」


 朝食の後は大抵調教タイムとなっていた。サディ様は僕に乗っかると鞭を打った。

 女児1人にしては大き過ぎる部屋の外周をぐるりと走る。サディ様は手に懐中時計を持っていて、逐一タイムを計測した。


「ほら、目標よりも2秒遅いわよ!」


 部屋を一周したところで、サディ様の激励が飛ぶ。彼女の鞭が、思い切り僕の体を叩いた。


「ぶひひ〜ん! すみましぇ〜ん!」


 僕はスピードを上げて部屋を走るのだった。


 ふとサディ様の、くすくすとした笑い声が聞こえた。一体どうしたのだろうと僕は思う。


「ふふっ、今朝のスゴクお兄様の間抜けっぷりったら、ぷふふっ」


 思い出し笑いをされているサディ様はとても可愛らしい。確かに今朝のスゴクはとても無様だったと思う。


「よくやったわね、青太郎」


 サディ様に褒められて、僕は光栄だった。浮かれた気分で部屋を走り続ける。


 再び一周を終えたところで、サディ様は「1秒遅い!」と厳しく言い放った。どこに隠し持っていたのだろう、サディ様は僕のお尻にフォークを突き刺した。


「あいすばん!」


 嗚呼、堪らない、と、僕は思った。




 調教を終えると、僕はサディ様をベリィ様の部屋へと案内することになった。

 基本的にサディ様はベリィ様の元に毎日通い、裁縫や音楽、語学等の教養を学んでいるようだった。


 サディ様を背中に乗せて、僕はベリィ様の部屋に入る。玉座に座るベリィ様は、相変わらず美しかった。


「ごきげんよう、サディ」


「ごきげんよう、お母様」


 部屋の中程でサディ様が降りると、僕は自ずから部屋の外に出ていった。




 ひたすら待機をして昼食の時間になる。サディ様とベリィ様が共に部屋から出ていらっしゃった。サディ様は僕の上に乗る。数時間ぶりの彼女のお尻の感触が心地よかった。


 食堂の前でサディ様達を見送る。僕と使用人は部屋の前で突っ立った。


 少しして、スゴクが部屋の前にやってきた。彼は僕の方をきっと睨みつけたが、その顔はほんのりと赤く、どこか恥ずかしげだった。


 スゴクと入れ違いに、サディ様と、また別の使用人が部屋から出てくる。使用人の手には、にんじんの盛られた皿と、水の入った皿があった。使用人はそれらを僕の前に置いた。


「たくさん食べるのよ」


 サディ様は朗らかに言った。僕はそれを四つん這いの姿勢で、頭だけを動かして食べなければならなかった。


 餌は基本的ににんじんだった。きまぐれに大根やごぼう等、他の野菜が出ることもあった。生の根菜はとても固かった。

 ペプチドと共に過ごしていた頃は、使用人が持ってきたパンとスープを、奴隷部屋で食べる毎日だった。量的には少なかったが、以前の方が幾分マシだと思えた。


 僕はにんじんをゴリゴリと齧った。その様子を見て、サディ様は満足そうに「ふふふ」と笑う。やがて彼女達は部屋の中に戻っていった。僕がにんじんを残さずに食べ切るのを、茶髪の使用人が黙って見ていた。




 食事を終えたサディ様を部屋へ送り届ける。昼食後、サディ様は1人、部屋で休まれるようだった。僕は使用人と共に、廊下でぽけーっと待機する。そうしていると、長身の使用人が僕達のところにやってきた。交替の時間なのだろう、茶髪の使用人は奥の方に消えていった。


 立ちながらうとうととしていると、部屋の扉が開いてサディ様が出てきた。


「さぁ、行くわよ」


 すぐに僕は四つん這いになり、そこにサディ様が乗っかる。

 午後も彼女は得てしてベリィ様のところへ向かった。勉強熱心な彼女は、凄いスピードでいろいろな物事を吸収していくことだろう。

 サディ様を背に乗せて、僕達はいつものルートを辿った。

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