あ、みちゃった…
ある日の学校帰りのこと。
部活を終えての帰りなので、辺りはすっかり夜色に染まっていた。
通りすぎる家々から漂う、夕食の香りでお腹を鳴らしながら、一人、家へと向かって歩いていると。
「…ん?」
近所の小さい公園の中の端っこ。街灯がちかちかとしているところに、ちいさいナニかがゆらゆらと立っていた。
「…へ?まさかゆうれ…」
冷や汗を掻きながら、俺はそのゆらゆらと揺れるものに、ゆっくりと近づいた。
なるべく、足音をたてずに…ゆっくりゆっくりと。
すると。
「はぁ~…みあちゃんにフラれるなんて…何がいけなかったんだろ。そして、僕はこれから誰を愛せばいいんだよ」
と、ゆらゆらと揺れるソレが言った。
俺は思わず「えっ?」と声を溢し、慌てて自分の口を押さえたが、時既に遅し。
くるりと、ソレは振り向いた。
ソレは2本足で立つ、ハチワレの白黒の猫。
猫はなんだか、今にも泣き出しそうな表情をしていた。
「…あ、ドモ」
僕の方に振り向いたその2本足で立つ猫は、そう言ってちいさく会釈すると、すとんと4本足に戻し、最後に。
「はぁ~…」
と、大きなため息を吐いて、肩ではなく尻尾を落としながら、公園の外の細い路地へと消えていった。
…………
「ええええええ!!!?」
今まで、たくさんのにゃんこと暮らしてきましたが、白黒系統の猫は、2本足で立って歩く率が高い(笑)(徳田家比)