85.弱体化が回復し、失われた『種族固有スキル』が発現
族長に、新しく取得した『光魔法——光の洗礼』を発動したところ、族長の体が光に包まれ、数秒後、その光は消えた。
族長は、生命エネルギーに満ち溢れた、うっすら輝いているような姿を現した。
見た目こそ若返っているわけではないが、雰囲気的にかなり若返った感じだ。
そして族長は、エネルギーが漲っているのか、体を振るわせている。
「これは凄い! 魔力が流出する感じがない。全身を魔力が駆け巡っている感覚がある。
……うむ! 今までなかった『種族固有スキル』まで現れている! 伝承されていた力のようだ。
我ら『河童族』が持つ本来の力を、取り戻せたのだ!」
族長はそう言って、再び涙を流した。
族長ドキアさんの話によれば、『河童族』は元々『種族固有スキル』としては『天合羽』というものを持っているとのことだ。
スキルの内容も簡単に説明してくれたが、水上歩行ができて、かつ地上歩行の際も、ある程度浮いて空中を歩行できるという能力らしい。
地上で使う場合には、悪路や山道を行く時に便利らしい。
そして移動スピードも速くなるのだそうだ。
今回、それとは別に、新たな『種族固有スキル』が発現したらしい。
『河童魔鬼』というスキルで、魔力鎧を全身に纏う戦闘用の強化スキルとのことだ。
その状態を、スキル名通り『河童魔鬼』というらしい。
河童が、魔力を纏った鬼になるということなのだろうか?
魔力鎧を纏った状態では、魔法吸収の効果があり、通常の魔法攻撃なら、受けても魔力に変換し、吸収してしまうらしい。
ランクの高い魔法攻撃は防げない可能性があるようだが、通常使われるような魔法攻撃では、ダメージを受けないということになるようだ。
自分の本来の魔力量を超え、吸収しきれなかった魔力は、体外に放出するというかたちになるようだ。
また、『河童魔鬼』の状態で、自身が持つ魔法スキルを使うと、威力が増大するらしい。
魔法攻撃に対する防御力といい、魔法の威力アップといい、まさに魔力の鬼ともいうべき状態になるようだ。
恐ろしいスキルである。
「ヤマト様、ありがとうございます。
種族としての寿命が尽きかけていた我ら『河童族』が、これで救われます。
どうかお願いいたします。他の者にも、そのスキルを……」
族長が、滂沱の涙を流しながら跪いた。
俺の呼び名は、ヤマト様に変わっている。まぁいいけど。
「わかっています。どうかお立ちください。順番に……ここにいる皆さんから、行いましょう」
「ありがとうございます。では皆の者、ここに並ぶのじゃ!」
族長の号令に、事の成り行きを呆然と見つめていた者たちが我に返り、一列に並んだ。
そして跪いている。
俺は、順番に『光魔法——光の洗礼』をかけてやった。
途中で魔力が切れそうになったが、自分に『光魔法——光の癒し手』をかけると、魔力も回復しするので、連続してやり切ってしまった。
『光魔法——光の癒し手』を使えば、魔法薬なしに無限に魔力を使い続けられる。
さすが『究極級』の魔法で、反則級の技だと改めて確信した。
「ヤマト様、ありがとうございました。
もしよろしければ、我らの里に招待したいのです。
たいした物は用意できませんが、我々の感謝を込めた食事をお出し致します。
そして……今日でなくても構いませんので、少しづつでも、里にいる者にも、スキルの使用をお願いしたいのです。
勝手なお願いで、本当に申し訳ないのですが……」
族長が、言いづらそうに、申し訳なさそうに頭を下げた。
「はい、わかっていますよ。里の皆さん全員に、スキルをかけるつもりです。お招きをお受けしましょう」
流れ的に断る雰囲気でもないし、『河童族』の里に招待してもらえるなんて、楽しみでしかない。
仲間たちも、ワクワクしたような顔をしているし。
「ありがとうございます。ささ、どうぞ、ご案内いたします」
族長は、再度深々と頭を下げ、俺たちを誘った。
山道をしばらく行くと、山の中腹だというのに、開けた平坦な場所に出た。
しかもかなり広い。
上から流れてくる沢がいくつか集まって、湖と言っていいような大きな池がある。
そしてその周囲には、いくつかの小さな池がある。
水場がかなり豊富だ。
一つ一つの家は大きくはないが、百軒ぐらいはありそうだ。
規模的には、三、四百人ぐらいの里だと思う。
一応確認しよう。
「里の皆さんは、全部で何名ぐらいいらっしゃるのですか?」
「三百六十九名になります。
カッパルは、百十一体おります」
族長が答えてくれた。
やはり予想通りの規模だ。
この面積の里で、この規模の人たちが安定的に食べていくのは、結構大変じゃないかと思うが……
「食べ物は、どうされているのですか?」
「もちろん自給自足ですじゃ。
肉は、山の生物や魔物を狩っております。
魚は、大きな川まで行って獲ることもありますが、養殖が得意なので、マスなどを養殖しております。
野菜も作っております。
我らは、野菜作りも得意なのですじゃ。
特に、我ら種族は、キュウリが大好きなもので、様々なものを作っております。
品種改良も行って、様々な品種を作り出しました。
一番のオススメは、『かっぱキュウリ』ですのう。
これは一口齧るとやみつきになり、一本をあっという間に食べてしまう最高の『キュウリ』なのですじゃ!
みずみずしく爽やかでありながら、旨味が強い最高傑作なのですじゃ! ガハハハハ。
おっと、これは失礼しました。
『キュウリ』の事となると、つい力が入ってしまいましてのう。ガハハハハ」
族長が、豪快に笑った。
『キュウリ』の話になった途端、さっきまでのかしこまった感じから、最初に会った時のような感じに戻っていた。
いや、それも違うか。
最初に会った時は、淡々とした感じだったが、今は感情を豊かに出しているからな。
その自慢の『かっぱキュウリ』とやらを、これから食べさせてもらえるのだろう。
楽しみでしかない。
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