表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

84/228

84.河童族を救える新たなスキル

 俺は、『河童族』の族長ドキアさんと打ち解けて、握手を交わした。


 その瞬間、パチンとはじけるような音とともに、全身を静電気のようなものが駆け巡った。


 そして次の瞬間、頭の中に声が響いた——


 ————愛し子よ、あなたにスキルを授けましょう。


 この感じ、この声……テラス様だ。


「テラス様」


 俺がそう声を漏らしたので、周りにいる仲間や『河童族』の人たちが驚いて、俺を見つめている。


 だが俺は微動だにできない。

 テラス様の啓示を受けて、集中した状態なのだ。

 そんな状態でも、周りの状況が、なんとなくわかる。

 みんなの反応が、情報として脳に入ってくるのだ。


 ————あなたは、『河童族の友』の『称号』を得ました。

 ————『河童族』に有用なスキルを授けます。『河童族』を救いなさい。そして、力を合わせるのです。


「はい、分りました。私で助けになるなら、精一杯努力します」


 ————それから、私の啓示を受けし愛し子が、まもなくあなたの下に到着するでしょう。力を合わせるのです。


「はい、分りました。その人はいったい?」


 ————それはお楽しみです。


 この声が消えるとともに、テラス様の気配も消えた。

 最後は少しイタズラっぽい感じに聞こえた。

 神様も茶目っ気とかがあるのだろうか?


 まぁそれはいいが、啓示は終わったようだ。


 周囲を見回すと、みんな俺の言葉を待つように注視している。


 そして、待ち切れないといった感じで『河童族』の族長が、カッパルの上で立ち上がった。

 淡々とした感じから打って変わって、感情を露わにする感じで言葉を発した。


「ヤマト殿、今、テラス様の神託が降りたのですな?

 ワシにも、少しだけお告げがありました。

 『光の聖者』が『河童族』を救うと。

 『光の聖者』とは、ヤマト殿ですな?」


 族長が、神妙な顔だ。

 テラス様からの短い啓示もあったようだ。

 それもあってか、俺の呼び方が“ヤマト殿”に変わっている。


「はい、私は『光の聖者』の『称号』をいただいています。

 そして今、テラス様から啓示がありました。

 『河童族』の皆さんに役立つスキルを授けてもらったようです。そして皆さんを救うように言われました」


「おお、なんと!

 ヤマト殿は、紛れもなく我らの救い主なのですな。

 そしてテラス様は、我らを救ってくださるのですな……」


 族長はそう言うと、体を震わせ涙を流した。


「……うう、我ら『河童族』は、種族として終わりかけていたのです。

 いつの頃からか、魔力が漏れ出す体質となり、魔素が濃い魔物の領域でしか住めなくなったのです。

 代を重ねる毎に、その体質は強くなり、今では、魔法系のスキルを発現する者はほとんどいなくなりました。

 その代わりに、体を鍛え、物理系の能力はかなり高まったのですがのう。

 古の言い伝えで、種族としての危機を救う『救いの主』が現れると予言されていたのですじゃ。

 我らの濁ってしまった体を浄化し、失われた能力を呼び覚ます『救いの主』が現れると。

 それがヤマト殿であるのは、もはや疑いようがありません」


 族長は、神妙な顔でそう言った。


 族長の話からすれば、今得たスキルによって、弱体化している『河童族』を救うことができるのかもしれない。


「族長、少しお時間をいただけますか? 今取得したスキルをセルフステータスで確認してみます」


 俺はそう言って、ステータスを確認した。


 それによると取得したのは、『通常スキル』で、『光魔法——光の洗礼』だった。


 これも『光魔法——太陽光線(ソーラーレイ)』『光魔法——光の癒し手』と同様に、『究極級(アルティメット)』の魔法スキルだった。


 詳細表示によれば、『光を凝縮した光流で対象を浄化する』とある。

 『精神波動を下げるマイナスの感情や精神の汚れを浄化する。

 また、精神に障害をもたらす魔法等の効果を打ち消すことができる。

 アンデッドに対しては特効がある』とも説明されている。


 『河童族』に特別な効果があるとは表示されていないが、このスキルを使うと、彼らの弱体化を救うことができるのだろうか?


 俺は、このスキルについて、族長たちに説明した。


 本来なら、スキル情報は秘匿するべきだが、ここは話すべきと考えたのだ。


「おお、そうですか。『光の洗礼』というのですか。

 それをワシに使ってみていただけませんか?

 おそらくその浄化の力とやらで、弱体化した我らの体質を元に戻すことができるのだと思います。

 何卒、お願いしますのじゃ」


 族長が、地面にひれ伏した。


「やめてください族長、私にできる事は何でもやりますので、どうかお立ちください」


 俺は、すぐに族長を立たせた。


「ありがとうございます。遠慮は要りません。どうぞ私に、そのスキルを使ってみてください」


 先ほどまでは、淡々と冷静な、感情の起伏を見せない長老という感じの族長だったが、今はかなりの興奮状態だ。


「わかりました。それでは、早速スキルを発動してみます」


 俺は、族長の希望に応えて、スキルを発動する。


「光の洗礼」


 発動真言(コマンドワード)と共に、対象を、視線で族長に指定する。


 すると、族長の頭上に光の粒子が収束し、大きな水滴のような形になった。

 そして、そのまま族長の頭に流れ落ちた。


 頭から、まるで水をかぶったように全身に光の粒子が流れる。


 族長自身も、うっすらと輝いているようだ。


 ……数秒して、元の状態に戻った。


 先ほどまでは、ヨレヨレな感じだった族長が、エネルギーに満ち溢れたような、若々しいオーラを出している。


 白髪白髭のままだし、若返っているわけではないが、エネルギーに満ち溢れている感じなのだ。


「おお、力が漲る。そして魔力が、漏れ出ない!

 素晴らしい! これが我らの本当の力なのか!?」


 族長が、感動に打ち震えている。


 どうやら、うまくいったようだ。




読んでいただき、誠にありがとうございます。


ブックマークしていただいた方、ありがとうございます。

評価していただいた方、ありがとうございます。


次話の投稿は、明日の予定です。


もしよろしければ、下の評価欄から評価をお願いします。

励みになります。


ブックマークも、よろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ