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8.『献身』スキルの機能開放

 『日曜神(にちようしん)テラス』様から再び受けた天啓に従い、俺は引き返すことなく森の奥を進んでいる。


 もうかなり奥まで来た。

 途中からは道もなく、草を掻き分けながら進んでいる。


 ここまでに、何度か魔物に襲われた。

 だがスキルを得たお陰で、ほぼ瞬殺で片付けることができた。


 ただ、魔力が持つか心配だったのだが、途中で、もう一つのスキル『光魔法——光の癒し手』を自分にかけてみたところ、『身体力(HP)』の回復だけでなく、『魔力(MP)』まで回復するということがわかった。


 スキルレベルが1だから、全回復するわけではないが、半分以上回復するので、これを繰り返すと事実上無限に『魔力(MP)』を保てることになる。

 我ながら、信じられないすごいスキルだ。


 襲ってきた魔物は、現時点で十三体倒しているが、最初に現れたあの鹿魔物ほど強いものはいなかった。

 ネズミ魔物、ウサギ魔物、イノシシ魔物、狐魔物、蛙魔物が現れている。

 運ぶ手段を持っていないので、『魔芯核』だけを取り出して放置している状態だ。

 本当は、パーツなども回収したいのだが、やむを得ない。


 『魔芯核』は、最初の鹿魔物のものと合わせると十四個確保できたから、七日分は確保したことになる。

 気持ち的に、だいぶ余裕が持てる。



 ん、なんだ……?

 森の中に大きな岩がある。

 三メートル以上の高さのある巨石だ。


 ————辿り着きましたね。今こそ、あなたのスキルの力を使う時です。


 また頭に声が……テラス様?


「テラス様……スキルを使うとは、いったい……?」


 ————あなたの固有スキル『献身』を使うのです。その巨石に手を触れ、スキルを発動するのです。

 ————ダメージを半分背負うのです。そうすれば目覚めます。


 ……目覚める?

 石が……?


 石が目覚めるとは思わないが……誰かを救うことになるのかもしれない。


 よくわからないが、テラス様の言うことだ……信じてやってみよう。


 俺は、そっと右手を目の前の巨石に当てる。


 そして『献身』の対象として巨石を指定する。


 ぐっ、うぉぉ……。


 ……ダ、ダメだ……力が抜ける……すごいダメージだ……。


 意識を保つのがやっとだ……。


 セルフステータスを確認するまでもなく、俺の『身体力(HP)』は1だ。

 ギリギリ死ぬのを、踏みとどまっている状態だ……。


 『献身』のスキルレベルが2になってから、引き受けたダメージが俺のHP以上だった場合、1で踏みとどまるということができるようになっていたが、今がまさにその状態だ。

 この機能がなければ、俺は死んでいるということだ。

 感覚的には……俺のHPをはるかに超える量のダメージを受けた感じだ。


 しかし……何のダメージなんだろう……?


 まさか巨石のダメージを、半分引き受けたということではないと思うのだが……。

 今まで試した事はないが、当然のことながら生き物が受けたダメージしか引き受けられないと思っていた。


 もしかしたら……生き物以外の物品のダメージも、半分引き受けることができるのだろうか……?


 ただ、もしそれができたとしても、そもそもこの巨石が大きなダメージを受けているようには見えない。

 俺のスキルが発動したことで、大きな変化をしたわけでもない。


 まぁ考えてもしょうがないか……。

 それよりまずは、回復をしないと。

 この状態で、何かに襲われたら俺の命がない。


 魔力は残っているから、『回復魔法——光の癒し手』を自分に使い、『身体力(HP)』を回復する。


 ……ふう、回復して楽になった。


 ————固有スキル『献身』のスキルレベルが、3に上がりました。新しい機能が解放されます。


 なんだ!?

 また頭に突然、声が響いた。

 だがこれは……テラス様の声ではない。

 ……『天声』というやつだ。


 前にも、聞いたことがある。

 固有スキル『献身』が発現した時だ。


 『天声』というのは、特別なスキルが発現した場合や何かその人に重要なことが起きた場合に、極稀に聞こえることがあると言われているものだ。


 固有スキル『献身』が発現したときに、一瞬脳内に声が流れたのだが、それ以降は全く聞いたことがない。

 『献身』のスキルレベルが2に上がった時も、通常スキルを獲得した時も、俺自身のレベルが上がる時も、一切聞こえていない。

 やはり、何か特別なことが起きた時だけに聞こえるということなのだろう。


 『天声』は、神の声や啓示だと思っていたのだが、テラス様のそれとは明らかに違う。

 前に誰かに聞いたが、『天声』についても、詳しくは解明されてないということだった。

 やはり今の時点で、深く考えても意味はないことだろう。


「新しい機能ってなんですか?」


 俺はテラス様の時と同じように、『天声』に話しかけてみたが……全く反応がない。


 しょうがないので、自分でステータスを再確認することにした。


 固有スキルの『献身』に焦点を当て、詳細表示を見ると……確かに、新たな機能が追加されていた。


 それによると……『献身』の対象者のダメージを引き受けた際に、俺が受けたダメージが『献身ポイント』として記録されているらしい。

 そして、その『献身ポイント』が10,000を超えると、『献身による加護』を発動できると説明されている。


 10,000の『献身ポイント』を消費して、『献身による加護』を発動すると……スキルを取得したり、何かいいことが起きるらしい。


 しかも、『献身ポイント』が100,000を超え、まとめて10回分の『献身による加護』を発動すると、と11回分の『献身による加護』を受けられると追加説明されている。


 なんだろ……? 10回分まとめてやると、1回お得ってこと?


 この説明が本当なら……すごい。


 下手したらスキルを、11個取得できる可能性もあるということか……。


 そして……今現在の『献身ポイント』は…… 100,000ポイント以上ある!


 俺がダメージを受けたHPの数値分が、そのまま『献身ポイント』になるみたいだから……今まで勇者候補パーティーにいた時に肩代わりした分や、ついさっきの大きなダメージを受けた分も、全部合わさっている。

 100,000ポイントを大きく超えているから、間違いないだろう。


 ただ……今までのダメージを計算していたわけではないが……感覚的に多いような気がする。


 多分だけど……俺が肩代わりしきれなかった分……HP1で踏ん張ったときの余剰分のダメージも、『献身ポイント』としてカウントされているのかもしれない。


 ……なんかすごいな。


 よし! 早速10回分まとめて『献身による加護』を発動してみるか!




読んでいただき、誠にありがとうございます。


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次話の投稿は、本日中の予定です。


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この物語は、私の書いているもう一つの連載「異世界を魅了するファンタジスタ 〜『限界突破ステータス』『チートスキル』『大勢の生物(仲間)達』で無双ですが、のんびり生きたいと思います〜」と、同一世界線の違う時代の違う場所の物語です。

https://ncode.syosetu.com/n8768ff/


もしよろしければ、そちらも読んでみてください。

よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >引き受けたダメージが俺のHP以上だった場合、1で踏みとどまるということができるようになっていたが、 外部サイトのレビュー見れば現実の方向ツッコミげと、ここはゲーマーとしてツッコミし…
[一言] まさかのガチャチュートリアル
[一言] 細かい事言って申し訳ないんですけど、スキル発言した時だけしか天声聞いてないなら今回のレベルアップでは聞こえないですよね。以前聞いた時のところに前回レベルアップした時ってのも入れておいた方がい…
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