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66.ラッシュの想い、ラッシュの決意

 スーパーレアアイテムであり、おとぎ話に出てくるようなアイテムである『技能の種(スキルシード)(軌道予測)』は、ひまわりの種のようなサイズと形をしている。

 赤色をしていて、うっすら光っている感じだ。


 これを飲むと、種に内包されているスキルを身に付けることができるという驚きのアイテムなのだ。


 この種に内包されている『軌道予測』というスキルは、戦闘の際に、相手の攻撃の軌道を予測することができるというスキルである。

 回避能力が高まるのは、間違いない。


 そこで俺は、アタッカーとして接近戦を担当するラッシュに飲んでもらおうと決めた。


 そんな話をしたら……


「ダメです! 先輩が飲んでください! 先輩の安全が第一です! 中級悪魔との戦いの時だって、攻撃を受けてたじゃないですか。これを飲んで、スキルが発現すれば、避けられる可能性が高まるんですよ!」


 ラッシュが若干切れ気味だ。

 そして、涙ぐんでいる。

 俺のことを思って、言ってくれているんだろう。

 この子は本当にいい子だし、俺を優先してくれる発想は、素直に嬉しい。

 だけど……


「アタッカーとして接近戦で戦うラッシュが、一番攻撃を受ける確率が高い。

 だから、このスキルを身に付けることで、攻撃を受ける回数を減らせるなら、ラッシュの安全性が向上する。

 それはすなわち、俺の為でもあるんだ。

 俺の『献身』スキルで、ダメージを半分引き受けているわけだから、ラッシュが攻撃を受けにくくなれば、その分俺も助かるんだよ。

 だから俺たち二人の為だし、パーティー全体の為でもあるんだ。

 それに俺の周りには、いつも『大剣者』がいて、フォローしてもらえる。だから大丈夫だよ」


 俺は、気合を込めて力説した。


 だがラッシュは、涙目になりながら首を横に振る。


「私もっと頑張って、強くなって攻撃を受けないようにしますから、だから先輩が飲んでください!」


「ラッシュ……。俺のことを思ってくれるのは嬉しいけど、ここは合理的に考えて、やっぱりラッシュが身に付けてくれたほうがいい」


「今後の戦い方なんだけど……ヤマト君は『献身』スキルで、いつ、誰のダメージを引き受けるか分からないから、後衛で指揮に徹したほうがいいと思うの。

 だから、ヤマト君が接近戦をするのは、特別な場合に限られるはず。

 その限られた状況の時に、攻撃を避けやすくできるようにヤマト君がスキルを取得するのがいいか、普段からヤマト君が引き受けるダメージが少なくなるようにラッシュが取得するのがいいか、私は後者の方がいいと思うの。

 それにヤマト君が直接戦闘している状況で、同時にラッシュも戦っている状況は充分想定されるわけだから、ラッシュの回避率が上がっている事は、ヤマト君のダメージ率を減らすことと、一緒のことなのよ。私たちチームですもの」


 クラウディアさんが、ラッシュの肩を抱きながら、説得に加わってくれた。


「ラッシュが、このスキルを身に付けて、みんなに教えてくれれば、もしかしたら私たちにだって発現する可能性があるし。

 スキルの凄さを目の当たりにする為にも、ラッシュが適任だよ」


「そうね。レアスキルと言っても、実際スキル所持者が教えてくれれば、可能性はあるわね。

 それに、ラッシュが攻撃のキーマンなんだから、逆に、責任を持ってこのスキルを身に付けるべきよ。

 接近戦を行うラッシュが身に付けるからこそ、スキルレベルも上がりやすくなると思うのよね」


 イリーナとフランソワも、ラッシュの説得に加わってくれた。


「ラッシュ、俺の事は大丈夫だから。チーム全体のことを考えて、ラッシュに飲んでもらいたいんだ」


 みんなの説得も響いたようで、俺がそう言うと、ラッシュは黙って頷いた。


 よかった。納得してくれた。


 実際問題として、ほんとにラッシュが身に付けてくれたほうが助かるのだ。

 ラッシュを含め、みんなを俺の『献身』の対象から外すなんて事は考えられない。

 俺としては、このスキルがあるお陰で大切な、家族とも言える仲間が、一撃で致命傷を受ける心配をしなくても済む。

 だが逆に言えば、俺は、仲間のダメージをいつ引き受けるかわからない。危うい状況なわけである。

 クラウディアさんが言うように、後衛で接近戦をしない状況なら大事には至らないが、前回のように強敵と自ら戦う状況は十分に考えられる。

 その時に、仲間の受けたダメージを引き受けたら、一瞬動きが止まって、隙ができてしまう。

 その状況が、一番怖いのだ。

 その可能性を軽減するのは、やはり接近戦を行うラッシュがダメージを受けにくくなることなのである。


 それに仮に俺が、『軌道予測』のスキルを身に付けていたとしても、この前の中級悪魔のような強敵と戦うときには、それほど大きな役には立たないと思う。

 スキルレベルが、かなり上がっていれば別だが。


 それよりは、『大剣者』との連携を強化したほうがいいだろう。

 現状、『大剣者』の力を使いこなしているとは言えない。

 自覚している。

 超魔法AI搭載でアナライズ機能がある『大剣者』との連携が強化され、その力を十分に引き出せれば、軌道予測に似たようなことも可能かもしれないし。



 と言うことで、ラッシュが意を決して、種を飲み込んだ。


 ほんの一瞬、ラッシュの体が光った気がした。


「先輩、スキルが発現しました! セルフステータスで確認しました。ありがとうございます。私がんばります!」


 ラッシュが、強い決意で涙を拭った。


 ラッシュの今後の成長に期待だ。



読んでいただき、誠にありがとうございます。


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次話の投稿は、明日の予定です。


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